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「花のように飾れるおひな様」伝統と革新のかたち 少子化の時代 "自分用"のインテリアにも活路

東洋経済オンライン / 2025年2月12日 14時0分

屏風やぼんぼりもモダンなデザインで統一し、リビングや玄関先に飾りやすいコンパクトサイズ。写真のひな人形に付けられた名前は「実萌沙(みもざ)」。春先に咲くミモザの爽やかな雰囲気が伝わってくる(写真:春蔵)

空間をパッと明るく、華やかに彩るひな人形。制作しているのは、埼玉県川越市のひな人形ブランド「春蔵」だ。ひな人形職人である父・津田直人さんと、民間企業出身の娘・祐希奈さんが二人三脚で日本の伝統を後世に伝えるべく、日々奮闘している。

【写真】細部にまでこだわった衣装が美しい「春蔵」のひな人形

「父のひな人形を広めて、ひな祭りの文化を次世代につなげたい」と話す祐希奈さんに、春蔵のひな人形の魅力や伝統を継承する難しさ、そしてひな人形への想いについて聞いた。

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プリンセスのような色彩美を取り入れて

「春蔵のひな人形の魅力は、独自の色彩感覚を活かした着物の色合わせです」(祐希奈さん、以下の発言すべて)

春蔵では、父・直人さんが業界で培ってきた色合わせのセンスと、娘である祐希奈さんの若い感覚を合わせて生地を仕入れ、ひな人形をデザインする。

祐希奈さんは、子どもにひな人形を選ぶ親と同世代で「私のアイデアを取り入れている点も、春蔵の武器のひとつです」と話す。その言葉通り、春蔵のひな人形には、今の親世代がかつて心ときめかせた物語のプリンセスを想起させる色合いが多い。

華やかでモダンな印象を持つ春蔵のひな人形だが、伝統や文化もしっかりと感じられる。モダンさと伝統のバランスはどのように取っているのだろうか。

「日本の伝統文化として昔から引き継がれてきたひな人形の要素は、次世代につなげていきたい。そこで春蔵では、色彩は現代の住宅やインテリアに合わせて現代風に、着物の形や着付け、人形の制作技法は伝統を忠実に守り、再現しています」

例えば、近年では着物の重ねの枚数を省略しているひな人形もあるなか、春蔵のひな人形は重ねの枚数を省略せず、十二単を忠実に再現している。さらに「人形の上、正面、横のどこから見ても着物が一枚も重ならず、美しく見えるよう、細部までこだわりを持って制作している」という。

「ひな人形の形にもこだわりがあり、人形の芯の部分である木胴(もくどう)の削りから緻密に計算・調整し、頭・肩・腰が一直線になるように制作しています。また、腕や腰、脚までしっかり綿を詰め、人肌のような柔らかさやぬくもりを表現しています」

インテリアとして購入する人も

取り扱っているのは「殿」と「姫」の親王飾りのみで、屏風や小道具などとセットにして価格帯は20万円台が主流。一般的なひな人形と比べると高価格だが、「質の高いものを求めているお客さまが多く、色彩に惹かれて購入する方や、ひな人形ごとに打ち出している『花』や『宝石』などのイメージ、制作ストーリーに共感して購入する方が多い」という。

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