ジャカルタ「日本製電車」地元ファン熱狂の引退劇
東洋経済オンライン / 2026年2月14日 6時30分
「東急の車両は操作性がよく、加速が力強い」と、車両基地のあるデポックからジャカルタコタまで8618編成の回送を担当したKCIの運転士、フェリー氏は言う。同氏は過去に日本車輌製造で3年間、技能実習生の経験があり、一度は車両製造会社のINKAに入社したものの、電車運転の夢を諦められず転職したという異色の経歴の持ち主だ。
フェリー氏は、元東急の車両がまだまだ主力として活躍していた15年からKCIで運転士を務めており、8500系への思い入れも深い。「しかし、衝動が大きいので気を遣う。やはり205系のほうが運転はしやすい」と同氏は言う。その言葉通り、13年以降に元JR東日本の205系が導入されると、元東急の車両は徐々に活躍の場を狭めていった。
【写真】大勢のファンや関係者らに見送られて走り去る8500系「JALITA」
運転台の電源スイッチであるマスコンキーがフェリー氏からジャカルタコタ駅の検車係に渡されるのを目の当たりにすると、ついに引退のときが来たことが感じられた。普段は車両留置のある終電間際でないと、当駅でこのような光景は見ることができない。
「JALITA」はミニミュージアムとして車内が開放され、開会式典後も同編成に限って11月16日まで展示された。会期中の来場者は延べ2万人を超え、日本のほか台湾や中国、香港から訪れた鉄道ファンもいた。当初は土曜・日曜をはさまず11日から14日までの予定だったが、あまりの人気の高さに、会期が急遽延長された。
11日の引退記念イベント開会式典には、日本大使館やJICAの関係者らが出席し、これまで車両譲渡に関わってきた東急グループ関係者らの姿もあった。
【写真】引退記念イベント「ARIGATO KRL」のビジュアルイメージ。車両のイラストや富士山、鳥居など日本をモチーフとしたデザインだ
在インドネシア日本国大使館の上垣礼子経済部参事官は式典で、「日本の車両が当地でもさまざまな思い出とともに、生活の一部となってきたということのみならず、これらの車両の長年の運行を支えるために両国の数多くの方々のご尽力があり、たくさんの交流と友好が生まれてきたことも改めて実感した。これまでの関係者に心より敬意を表したい。人々の生活や経済活動に深く根ざした鉄道分野での協力は、確実に両国の強固な友好関係の土台となっており、今後とも発展していくことを願っている」とコメントした。
25年4月に開かれた、電車運行100周年を記念した同様のイベントでは、残念ながら日本側からの出席者がなく、過去40年来のハード、ソフト両面からの日本の支援、協力について語られることがなかった。その点を考えると、今回は名誉挽回といえよう。
日本語の「ありがとー」に見送られ…
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