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「素晴らしい技術も、全ては皆さんを映画の世界に連れていくためのサポートに過ぎないと思っています」『猿の惑星/キングダム』ウェス・ボール監督【インタビュー】

エンタメOVO / 2024年5月13日 8時0分

-この映画には、廃虚になった人間の世界が出てきました。あれは68年版の自由の女神とつながる感じがしましたが。

 まさにあれが鍵でした。68年版は人類の造った物の名残が全てなくなってしまった世界。それがどんなふうにして消えていったのか。この映画はその始まりを描いています。そうしたつながりを描くことは楽しかったです。

-今回、監督が一番こだわったのはVFXだと聞きましたが、それはWETA(VFX制作会社)との関わりが大きかったということでしょうか。

 巨大ですね。製作費で一番かかったのもWETAへの支払いだったし(笑)。多分皆さんが理解できないぐらいのレベルでのディテールへのこだわりがあります。例えば、1つの絵があってそこにエイプがいる。エイプはデジタルなわけですけど、彼らの目標は、それが100パーセント信じられるかどうかというレベルではありません。後ろで風が吹いて葉っぱが1枚動いただけでも変えるみたいな、そのレベルで作り込んでいくんです。何か気になるところがあったら、1本の毛でも修整するとか、本当に膨大な仕事量で、いくら褒めても褒め足りないです。世界でも一番素晴らしいアーティストたちだと思います。彼らの仕事によってエイプが存在している世界が完全に信じられますよね。でも、それはイリュージョン、幻想です。でも僕は、やっぱり映画全体を見てほしいから、「ここはいいVFXだね」とは言ってほしくないんです。もう完全にストーリーとキャラクターに入り込んで、リアルだと思いながら見てほしい。だから、素晴らしい技術も、全ては皆さんを映画の世界に連れていくためのサポートに過ぎないと思っています。

-最後に、日本の観客へメッセージをお願いします。

 もちろん、これまでこのシリーズを見てきたファンの人たちにも楽しんでほしいですが、初めて「猿の惑星」に触れる方にもぜひ見てほしいです。普遍的な物語、深くてエモーショナルな心動かされる物語であると同時に、とても楽しい作品になっています。見知らぬ人たちと一緒にファンタジーの世界にいざなわれるという体験は他にはないと思うので、ぜひ映画館の大きなスクリーンで見てほしいです。

(取材・文/田中雄二)


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