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吉田恵里香氏 憲法第十四条は「人間らしく生きるためのスタートライン」 「虎に翼」脚本家が作品に込めた思い(後編)【インタビュー】

エンタメOVO / 2024年9月15日 12時30分

(C)NHK

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。女性として日本で初めて法曹界に飛び込んだ主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)の物語は、まもなくクライマックスを迎える。数十年前の戦前から戦後の昭和を舞台にした物語は、私たちが生きる現代にも重なり、大きな反響を呼んだ。全話の脚本執筆を終えた吉田恵里香氏へのインタビューの後編では、作品の根底に流れる日本国憲法第十四条の「平等」の精神を踏まえて描かれたさまざまな問題について聞いた。


-物語後半では、昭和30年代を舞台に、寅子の再婚話や轟太一(戸塚純貴)とその恋人の遠藤時雄(和田正人)の存在を通して、夫婦別姓や同性婚という題材も取り入れていました。その狙いは?

 日本国憲法第十四条には「すべて国民は、法の下に平等であって…」と「平等」がうたわれています。にもかかわらず、昔に比べれば改善されたとはいえ、まだまだ平等に扱われていない方が多いのも事実です。その大半は、令和の今始まったわけではなく、寅子たちが生まれる前から存在しています。調べれば調べる程、その存在があえて描かれなかったことが分かってきます。大半の人たちが当時、見ないようにしてきたそういうことを、きちんと描くことに意味があると考え、劇中にも取り入れました。それまで寅子が出会ってきた人たちのことを考えれば、普通に通る道だと思ったので、「挑戦」や「尖ったことをしている」という意識はまったくありませんでした。

-性的マイノリティーなどの話題に触れるとき、描き方を間違える怖さもあると思います。その点、吉田さんはどのように向き合いましたか。

 当事者の方は、それ以外の方にとっての教材として存在しているわけではありません。だから、それを当事者の方が矢面に立って訴えるのではなく、エンターテインメントを通して伝えることも、きっかけとしては大事なことだと思っています。ただ、私も当事者の方にいろんなことを聞いてしまったり、描く上でやり方を間違えて傷つけてしまったりすることがあり、それは本当に申し訳なく思っています。


-そうでしたか。

 でも、「怒られるからやめておこう」という姿勢は、それをなかったことにしたい側の思惑に乗ることになりますし、「そのうち変わっていくから、今は怒られない範囲にしておこう」と未来に託し過ぎるのも、歩みを大きく遅らせることになります。だから、私が元気なうちは、勉強しながらエンタメで描き続け、それを当たり前のことにしていけたら、と思っています。

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