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佐藤二朗、「芝居の垢を排除したい」 持つ者と持たざる者の境界線を描いた書き下ろし戯曲で宮沢りえと舞台初共演【インタビュー】

エンタメOVO / 2024年10月25日 8時0分

-なるほど。今回、介護や障害者に目を向けたきっかけがあったのですか。

 垣内俊哉さんというミライロという会社の方です。障害者手帳というものは、これまで100何種類あったらしいんですよ。ゆえに偽造もあったらしいんです。だけど、それを運輸省に働きかけてJRで統一した「ミライロID」という共通の障害者手帳を作ったりしたすごいやり手の方なんです。ご本人も車椅子なのですが、その人が番組で話していたことが、俺がやりたいことと重なったんです。「バリアフリーではなくバリアバリュー」。「障害がかわいそうではなく、障害を武器に、障害が価値になる」。その分かりやすい例として彼が話したのは、彼がバイトで入った会社の社長に営業をやらされたと。「僕はデスクだと思っていたら、なんで車椅子なのに外回り?」と。そうしたら、成績がものすごく良かった。もちろん、垣内さんが優秀だからというのは大きいと思うんですけど、その社長もすごいなと思ったんですよね。「障害を誇りに思え」と垣内さんに言ったそうです。だから、もちろん溝がない方がいいに決まっているし、同じように共生できる社会がいいと思うんだけど、僕が祈るような気持ちで信じたいのは「負は力に変えられる」ということなんです。だから最初は健常者の方にこの障害のある役を演じてもらおうと思ったけれども、実際、僕がこの目で、板の上で見たかったので、そうなる姿を。それで、ハンディキャップのお二人にオファーしたということです。

-ちょうどハンディキャッパーの方々のお話になったので、佐藤さんが感じる、佳山(明)さんと上甲(にか)さんの魅力は?

 僕は「歴史探偵」という番組をやっていて、そのプロデューサーが「バリバラ」というEテレの番組をやっていまして、その番組で「障害者は俳優になれないのか」という特集があったんです。そこで上甲さんがいらして。NHKのSDG’sドラマ「真ん中のふたり」を見たり、他にいくつか演技しているのを見たり、じっくり面談をして、彼女の意向も確認した上でオファーしました。佳山さんは『37セカンズ』という映画の主演をやられていて拝見しました。お二人に共通して言えることは、芝居の「垢(あか)」がないということ。ちょっと抽象的ですが。僕も芝居の垢をなるべく排除したいと思って日頃からやっていますが、彼女たちには本当に垢がない。これは素晴らしいことだと思います。垢があると、どんどん生(なま)から遠ざかってしまうと思うので。

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