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日本で知床だけが認められた「世界遺産の登録基準」とは?

ウェザーニュース / 2021年2月20日 5時0分

ウェザーニュース

北海道の北東端に位置する「知床(しれとこ)」は、2005年に世界自然遺産(世界遺産のうちの自然遺産)に登録されました。

知床周辺では通常、2月中旬から3月中旬に海氷や流氷を最も多く確認できます。

海氷や流氷がよく見られるこの時期に、知床がどうして世界遺産に選ばれたのか見てみましょう。

「海−川−森」に連なる生態系と食物連鎖

ロシアと中国の国境付近を流れる大河であるアムール川の淡水は、オホーツク海に注いでいます。寒くなると、オホーツク海の海水は凍り、海氷になります。

海氷は割れて流氷になり、知床沿岸にも接岸します。そして春になり、暖かくなると、海氷や流氷はとけていきます。

オホーツク海の海氷や流氷は豊富な栄養塩類を含んでいて、知床周辺では、まず植物プランクトンが爆発的に増えていきます。

その後、植物プランクトンを餌とする動物プランクトンも増え、それらを餌とする小魚や貝類、甲殻類も増えていきます。小魚・貝類・甲殻類などは、トドやアザラシといった海生哺乳類に捕食されることもあります。

また、海から川をさかのぼったサケやマスなどの魚は、ヒグマやキタキツネなどの陸生哺乳類や、タカやワシなどの猛禽類に捕食されることもあります。

こうして見ると、知床では海と陸が連続する特異な生態系が育まれ、海−川−森がつながる食物連鎖が存在していることがわかります。

知床に特徴的な自然はまだあります。ヒグマの生息密度が世界で最も高いこと、さらに絶滅危惧種のシマフクロウやオジロワシが生息し、天然記念物のオオワシが越冬する地でもあることです。

「絶滅危惧種の生息域で、生物多様性を示す遺産」は日本で唯一

世界遺産には、文化遺産と自然遺産、合わせて10項目に及ぶ登録基準があります。

知床といえば美しい自然景観が魅力的ですが、実は景観としての世界遺産登録基準は認められていません。

知床は、登録基準(ix)の「動植物の進化や発展の過程、独自の生態系を示す遺産」と、登録基準(x)の「絶滅危惧種の生息域で、生物多様性を示す遺産」の2つの登録基準を認められ、世界遺産に登録されました。

日本の世界自然遺産は、知床のほかに「白神山地」「小笠原諸島」「屋久島」がありますが、登録基準(x)の「絶滅危惧種の生息域で、生物多様性を示す遺産」が認められているのは知床だけです。

知床で海氷や流氷が見られるこの時期、知床が世界自然遺産になった意義について、改めて考えたいものです。

参考資料など

環境省「日本の世界自然遺産」(https://www.env.go.jp/nature/isan/worldheritage/index.html)、『世界遺産300 世界遺産検定2級 公式テキスト』(監修/NPO法人 世界遺産アカデミー、著作者/世界遺産検定事務局、マイナビ出版)、『日本の365日に会いに行く』(編著/永岡書店編集部、永岡書店)

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