ラニーニャ現象に近い状態は徐々に解消へ(エルニーニョ監視速報)
ウェザーニュース / 2025年1月10日 16時30分
今日1月10日(金)に気象庁は最新のエルニーニョ監視速報を発表しました。
現在はエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られますが、ラニーニャ現象により近い状態が続いています。冬の間はラニーニャ現象により近い状態が続くものの長続きはせず、今後は平常の状態が続く可能性が高くなる予想(80%)です。
ラニーニャ現象に近い状態に
12月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は−0.4℃で、基準値よりも低い値となりました。また、エルニーニョ/ラニーニャ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の10月の値は−0.4℃で、基準値に近い値でした。
太平洋赤道域の海面水温は西部で平年より高い一方、中部から東部では平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発で、中部太平洋赤道域の大気下層の東風(貿易風)は平年よりも強くなりました。
このような大気と海洋の状態は、ラニーニャ現象に近い状態になっていることを示しています。
次第に平常の状態に戻る予想
実況では太平洋赤道域の中部から東部で海洋表層の冷水が継続しています。
エルニーニョ/ラニーニャの動向を予測するコンピューターシミュレーションの結果によると今後、太平洋赤道域の西部から中部で貿易風が強い状態になっていて中部から東部の冷水がさらに強まり東進するため、冬の間はラニーニャ現象に近い状態が続くものの長続きはせず、春にかけては海面水温が再び上昇して基準値に近づくと予測しています。
以上のことから、2月まではラニーニャ現象に近い状態が続くものの、3月以降は平常の状態となる確度が徐々に上昇し、ラニーニャ現象発生の定義を満たすまでには至らない見通しです。
▼エルニーニョ/ラニーニャ現象発生の定義
気象庁ではエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合を「エルニーニョ現象」、−0.5℃以下となった場合を「ラニーニャ現象」と定義しています。
春の訪れは早まる見通し
ラニーニャに近い状態では上空を吹く強い西寄りの風であるジェット気流が日本付近でやや南に蛇行し、寒気が流れ込みやすくなります。
ラニーニャに近い状態が徐々に解消される3月にかけてはジェット気流の蛇行が小さくなり、段々と冬型の気圧配置が続かなくなると予想されます。
気温の傾向は1月が平年並みか低めで、2月になると平年並みに戻る見通しです。3月は平年並みか高めの傾向となり、3か月の平均では全国的に平年並みか平年より高い予想となっています。冬の間は1月を中心に厳しい寒さとなるものの、春の訪れは早まる見通しです。
出典
気象庁
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