ママの不在時に娘がけいれん…オキエイコさんが描く、大変さを乗り越えて“父親にしてもらう“夫たちの子育て
Woman.excite / 2019年3月27日 10時0分
ママの不在時に娘がけいれん…オキエイコさんが描く、大変さを乗り越えて“父親にしてもらう“夫たちの子育て
オキエイコさんのTwitterより
当事者になってみて初めて身に染みる育児の大変さ。
頭で理解しているのと、実際に体験するのとでは、やはり大きな違いがあります。
とくに最近では核家族化の影響により、「ワンオペ育児」に苦しむ母親たちが増え、加えて女性の社会進出や夫の長時間労働の問題により、夫婦の育児分担について議論される機会も以前に比べ増えてきています。
「なんで私ばっかり…」、「自分優先なんてあり得ない」、理解不能な夫の言動に怒りを募らせる妻たちも少なくないでしょう。
そんな夫婦の関係をあらためて見つめ直す機会を与えてくれるのが、人気コミックライターオキエイコ(@oki_soroe)さんの育児漫画。
「1歳の娘が高熱で搬送された話」の後日談として描かれた「髄膜炎のその後」のなかには、妻に育児を任せっきりだった夫が浴びた育児の洗礼とともに、「男性が父親になること」について妻である筆者の想いがつづられています。
■1歳の娘が高熱を出した…その時夫は
「1歳の娘が高熱で搬送された話」では、40℃の熱を出した娘をめぐり、夫と妻の育児への温度差が浮き彫りになります。
その日は、1歳の娘ハナちゃんが高熱を出し、病院に連れて行くも「よくあることですよ」と処置を行ってもらえませんでした。
オキエイコさんのTwitter「1歳の娘が高熱で搬送された話」より
不安を胸に抱えながら帰宅し、夫にすべてを報告するも、夫の口から出たセリフは…
オキエイコさんのTwitter「1歳の娘が高熱で搬送された話」より
「ところで今から実家のお祭り行っていい?」というのんきな言葉。
エイコさんはブチ切れするものの、結局要望を受け入れ、夫は3日間、実家に帰ってしまいます。
その翌日に、ハナちゃんはけいれんを起こして、救急車で運ばれる事態に…。
オキエイコさんのTwitter「1歳の娘が高熱で搬送された話」より
泡を吹いてけいれんするわが子の姿に頭が真っ白になりながらも、必死で冷静さを取り戻して、救急車を呼ぶ母。
その後も検査の痛みで暴れるハナちゃんの姿を目の当たりにしたり、泣き叫ぶハナちゃんを必死になだめたり、母ひとりでつらい時間を乗り切ります。
夫は実家から戻り病院に駆けつけてくれたものの、検査の結果「髄膜炎」と判明し、明日から入院が必要と聞いても、祭りの手伝いが残っているから…という理由で、再び妻と娘を置いて実家へ…。
オキエイコさんのTwitter「1歳の娘が高熱で搬送された話」より
エイコさんは、夫のあり得ない言動に頭が真っ白になり、もはや反論する気力さえも失せてしまいます。
しかし、「父親としてこのままではいけない」という神からのお告げなのか、その後、夫はしかるべき洗礼を受けることになるのです。
■体の震えが止まらない…初めて娘のけいれんを目撃した夫
入院から1週間後には熱が下がり、無事退院を迎えたハナちゃんは、幸いにも後遺症は残らなかったものの、高熱のたびけいれんを起こす体質になってしまいます。
そのため、エイコさんはハナちゃんが熱を出すたびにハラハラしつつ、大きなけいれんのときには救急車を呼び、軽度の場合は家で様子を見たりと、子どものけいれんとの付き合い方を見つけていきます。
対して夫は、全国各地に平日は出張に出かけていることもあり、家を留守にしていることが多く、娘がけいれんした姿を一度も目撃したことがありませんでした。
しかし、“そのとき”はついにやってきてしまうのです。
エイコさんがコンビニへ向かい、買い物をした帰り道のこと。
オキエイコさんのTwitter「髄膜炎のその後」より
今回のけいれんはかなり軽症で、自宅処置で十分な状態であったものの、初めて娘のけいれんを目の当りにした夫は、驚きのあまり即119番をしたようでした。
病院の待合室で、いろいろと考えをめぐらすエイコさんは、当時1歳だったハナちゃんがけいれんを起こし、入院したときのことを思い出します。
オキエイコさんのTwitter「髄膜炎のその後」より
今回、現場に居合わせなかったエイコさんは、なんとなく当事者意識を持てないでいる今の自分自身と当時の夫を重ね合わせることで、あることに気が付くのです。
当時、あり得ないと感じた夫の言動は、もしかしたら娘のけいれんを実際に目撃していなかったことにより事の深刻さを理解できなかったからではないか…と。
そして、今、隣で震える夫は、あのときとは別人。
実際に目で見て体験するのと、話を聞くだけでは見える世界が全く違うからこそ、体験者と非体験者の間には、埋まらない溝や温度差がときに生じてしまうこともあります。
それこそが、育児において夫婦間のすれ違いを引き起こす原因でもあるのです。
オキエイコさんのTwitter「髄膜炎のその後」より
■限られた時間のなかで“父”に“母”に“家族”になる
無事回復したハナちゃんの様子に心からホッとする夫の姿を見て、エイコさんは今まで夫の本心を間違って読み取っていたのではないかと感じるのです。
当時、高熱を出した娘を置いて、実家に帰っていた夫は、家族よりもお祭りが大切だったというわけではなく、ただ想像力が足りていなかっただけ…。
オキエイコさんのTwitter「髄膜炎のその後」より
本人にとっては、全く悪気はなかったのかもしれません。
しかし、根本的な認識がずれることで、とるべき行動も善悪の判断も何もかもかみ合わず、夫と妻はすれ違ってしまう…。
育児の場面では、特に妻が負うことが多いため、ともに体験できない夫たちは、“父親になること”に関しては、妻より遅れをとってしまうのも事実です。
しかし、すべてを妻任せにして、育児の責任から逃れていれば、いつまでたっても親としての当事者意識を持てないまま、ますます夫婦の溝は広がってしまいます。
オキエイコさんのTwitter「髄膜炎のその後」より
「母である自分自身がそうであったように、夫自身も今、娘に“父親にしてもらっている”…」。
一連の出来事のなか、エイコさんはそう考えるにいたります。
妻に比べて、絶対的に育児への参加が少なくなる傾向にある夫たちは、学ぶ機会が得られないことで、育児において妻との連帯感を持てずにいることもあるでしょう。
だからこそ、自ら積極的に体験することで、育児の大変さをあらためて理解し、助け合いの大切さを学ぶことができるのです。
オキエイコさんのTwitter「髄膜炎のその後」より
そして、エイコさんが最後の一コマにつづるように、お互いがそれぞれ父親・母親になるための試練を乗り越えながら成長し、家族になっていくのかもしれません。
オキエイコさん
娘のハナちゃんと出張の多い夫との3人家族。妊娠から出産、育児における自身の体験をリアルにレポートする育児漫画がSNSで人気を集めているコミックライター。
●オキエイコさんのブログ:「なんとかここまでやってきた」
●オキエイコさんのツイッター:@oki_soroe
●オキエイコさんのインスタグラム:@soroe.handmade
(倉沢れい)
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