1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

【医師監修】子どもの腹痛、もしかして便秘が原因? 子どもの便秘「10人に1人」<パパ小児科医の子ども健康事典 第10話>

Woman.excite / 2019年1月14日 20時0分

写真


イラスト:ぺぷり


夜間の小児救急外来をしていますと、腹痛をうったえるお子さんが受診して、便秘が原因であることはよくあります。

「便秘くらいですいません…」と申し訳なさそうにする保護者の方も多いのですが、便秘には腹痛、排便困難感、食欲低下などの症状があり、子どもにとってとてもつらいものです。

ある調査結果によると、子どもの10人に1人くらいは便秘といわれています(※)。便が出れば解消することから、病院へ行くほどでもないと軽く考えがちですが、便秘は立派な病気です。しっかりと治療、予防をしていく必要があります(主に1歳以上の子どもを想定しています)。

便秘のしくみ「体内で何が起こっている?」

便秘はなぜ起こるのでしょうか?

まれに先天的な病気などで便秘になる場合もありますが、多くはそのような特別な原因がない便秘で、「機能性便秘」と呼びます。

排便の機能は個人差があり、毎日スムーズに出る子もいれば、毎日は出ない子もいます。あまりスムーズに出ないタイプの子は、便が固くなったりして排便の時に痛みをともなうようになります。

痛みがあるとさらに排便を我慢して、出しにくくなるという悪循環にはまってしまい、便秘症の完成、つまり慢性的な便秘となってしまいます。

便秘の症状・診断「目安は1週間で3回未満、5日以上出ない」

便秘の症状としては、便がたまっておなかがはってくるので、腹痛や食欲低下、ときにおう吐を引き起こすことがあります。

また、排便困難感があって、排便のときに痛そうにする、顔を真っ赤にしていきむ、トイレをいやがる、なんとなく不機嫌、おしりが切れて血が出るといった症状が起こります。

診断の目安として、1週間に3回より少なかったり、5日以上出ない場合は便秘となります(※)。

ただし、毎日出ていても、排便のときに痛がる場合は、便秘として治療が必要です。

排便の頻度や回数だけではなく、おなかを触診して便のかたまりに触れるか、おなかのレントゲンを撮影して便やガスがたまっているかなどから総合的に診断します。

便秘の治療「医師と相談しながら進める3つの手順」

便秘の治療には、医師と相談しながら、次の手順で進めます。

1. 浣腸:まずは一度、便秘の悪循環をリセットする必要があり、浣腸してひとまず便をだします。これは病院でできますし、ドラッグストアで浣腸を購入する方法もあります。

2 .浸透圧性下剤の投与:便をやわらかくして出しやすくするお薬です。これ自体で腹痛を引き起こすことは少なく、比較的使いやすいお薬です。浸透圧性下剤には、次の2つがあります。

糖類下剤:マルトース(麦芽糖)。代表的なものにマルツエキス(和光堂)。
塩類下剤:酸化マグネシウム。

ただし、量が多いと下痢をしますし、少ないとあまり効果がないので、医師と相談して調整しながら適切な量を決めなければなりません。

3 .刺激性下剤の投与:ラキソベロン(帝人ファーマ)を代表的なものとするピコスルファートナトリウムを主成分とした薬で、腸を動かし排便させるものです。液体のお薬を水に混ぜて飲むもので使いやすいのですが、排便時に痛みをともなうことがあります。


また、排便によりおしりが切れている場合は、おしりのケアも大切です。ワセリンなどで表面を保護してあげてください。





便秘の予防「まずは食物繊維をしっかり摂取」


イラスト:ぺぷり


便秘の予防にはまず、食事療法が重要で、食物繊維をしっかりとります。一般的に子どもの多くが食物繊維不足ですので、野菜、海藻、果物、芋類、豆類などを意識的にとってください。

小学生にとっては、学校で排便することが恥ずかしいということがあるかもしれません。学校でトイレに行けず、便秘を悪化させてしまうことはよくあります。そのような場合は、家で朝、もしくは夜にトイレに行って排便するよう習慣づけるとよいでしょう。

規則正しい排便には、十分な睡眠や規則正しい食事、適度に運動が大切です。もちろん、学校でトイレに行くことは決して恥ずかしくないことを教育していくこともあわせて重要です。

子どもの便秘「よくあるQ&A」

便秘について診察室でよくうける質問をまとめました。

Q. 水分をとったら便秘が治る?
A. 水分不足で便秘になる可能性はありますが、たくさん水分をとっても尿として出ていきますので、それだけでは改善しません。

Q. 浣腸はくせになるからしないほうがいい?
A. 浣腸は便秘の悪循環を一度リセットするものです。浣腸で出したあと、緩下剤や食事でコントロールして悪循環にはまらないようにしなければなりません。

浣腸しないと排便できないという状況は、くせになっているというよりは、便秘の悪循環から抜け出せていない状態ととらえてください。

Q. トイレトレーニングの時期は?
A. おむつがはずれる時期は2~4歳と幅があり、個人差が大きいです。トイレトレーニングの時期が本人にあっていないと、排便はつらいものになり、便秘の原因となる可能性があります。

うんちをしてスッキリすることは気持ちいいいということ教えていくためにも、子どもにとって適切な時期に開始していかなければなりません。

赤ちゃんの便秘「綿棒の刺激で排便サポート」

最後に赤ちゃんの便秘にも少し触れます。

生後すぐは排便の力が十分ではありません。肛門の綿棒刺激をしてアシストすることでだんだん自分でも出せるようになってきます。寝た態勢では排便しにくいので、首がしっかりしてきたら支えながら座らせると「うーん」ときばりやすくなります。

それでもなかなか出ない時は、浣腸をしたり、医師と相談のうえで下剤の使用を検討してください。

以上、最近増えている子どもの便秘に関する対策をまとめました。

規則正しく、すっきりとうんちを出すことは健康のバロメーターです。便秘は、ときにのたうちまわるほどの強い痛みを起こすこともあり、「病気」ととらえてしっかりと予防、治療していきましょう。


参考資料
※ 「こどもの便秘−正しい知識で正しい治療を−」(小児慢性機能性便秘診療ガイドライン作成委員会)
http://www.jspghan.org/constipation/files/pamphlet.pdf





(パパ小児科医)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください