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40歳からは黒・赤・緑・白をしっかり見るべき…体の異変をいち早く示す「21種類のうんこ」の色と形

プレジデントオンライン / 2024年3月28日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/shironagasukujira

体調変化にいち早く気づくにはどうすればいいか。医師の石井洋介さんは「うんこの変化は体調変化を知らせる最初のサインで、そこには体内の情報が詰まっている。色や形、硬さ、においなどで、私たちにサインを出している。その目安のひとつになるのが、うんこの『形』と『性状』をもとに7段階に分けた『ブリストルスケール』で医療現場でも広く使われている。日々の自分のうんこの状態を把握するためにも覚えておくといい」という――。

※本稿は、石井洋介『便を見る力』(イースト・プレス)の一部を再編集したものです。

■うんこの変化は、体調変化を知らせる最初のサイン

皆さんは、トイレで自分のうんこをしっかり見ていますか? うんこは体内の変化に敏感に反応するため、体の不調はまずうんこに出てきます。たとえば便秘が続くと肌荒れする、とよくいわれます。

けれど実はこれ、体内で便秘と肌荒れ両方の原因となる不調が起きていて、先に便秘の方が症状として現れているというだけなのです。便秘が先に起こり、追いかけるように肌荒れが起こるので、便秘のせいと思ってしまうのですが、実は原因は同じだったりします。

うんこの変化は、体調変化を知らせる最初のサインで、そこには体内の情報が詰まっています。けれど、残念ながらそのサインは見過ごされがちです。

皆さん、鏡で自分の顔を見て肌荒れしていたり顔色がくすんでいたりすると、寝不足かな? 脂っこいもの食べ過ぎたかな? などと自分の生活や体調について振り返りますよね。

また、熱っぽかったり、くしゃみが出たり、喉が痛かったりすると「なんだか風邪っぽいな」と考えて、早めに休んだり、薬を飲んだりするでしょう。

便についてもこれと同じようになればいいと、私は思っています。うんこを見ることで、体調の良し悪しを知ることができる。

たとえば下痢っぽいときは食べ物がおかしかったかなとか、便秘気味ならストレスが溜まっているのかなというように、便の色や形から、自分の体調変化に気づけるようになってほしいのです。

自分が「風邪っぽい」かどうか、たいていの人がわかるのは普段の自分の体の状態と明らかに違うから。「熱っぽい」と言えるのも、自分の平熱を知っているからです。説明できる言葉があるから、自分の状態を把握できる。

■自分の便にどれだけ興味を持てるか

それと比べて、そもそも自分のうんこが普段どんな状態なのか、生活状態や体調によって、どのように変化するのかを知っている人は少ないでしょう。

仮に、便の形がいつもとちょっと違うなと思っても、熱っぽいとか風邪っぽいというようなわかりやすく表せる「言葉」がありません。言葉がないから、状況把握もしにくいんです。

けれど、自分の便に興味を持って見続けていれば、小さな異変に気づけるようになるかもしれないし、それを言葉で説明することができるようになるかもしれません。そのためにはまず、「うんこを見ること」を日常にしたい。

毎日、自分のうんこを見て、自分の「平便」がわかるようになってほしい。うんこを自分の生活や体調を振り返るきっかけにしてほしいのです。

この「うんこを見ること」、医学用語では「観便(カンベン)」と言います。カンベンをすることで直接的に大腸がんを見つけられるわけではありません。けれど便がいつもと違うということは、自分の体の中でいつもと違う何かが起きているのかもしれない。

そう意識できるようになるだけでも、腸の健康を保つためには大きな一歩です。そのためにも、若いうちから毎日のカンベン習慣を身につけていきましょう。

■うんこの約80%は水分で食べカスは5〜10%

まずは「うんこ」は一体なんなのか、ということから話を始めましょう。

口から食べた食べ物は、「口→食道→胃→十二指腸→小腸→大腸→肛門」という道をたどってうんことして出てきます。おそらく多くの皆さんは口から入れたもののうち「水分がおしっこ」「固形物がうんこ」として出てきていると思っているのではないでしょうか。

それは間違いではないのですが、実はうんこを構成する成分の約80%は水分です。さらに残りの成分の3分の1が大腸菌などの腸内細菌の死骸、3分の1が古くなってはがれ落ちた腸粘膜の細胞、そして残りの3分の1が食物残滓(ざんし)。

実はうんこの中で食物残滓、つまり食べ物のカスが占める割合は、ほんの5〜10%なんです。仮に一日のうんこの量を200gとすれば、食べカスは10〜20g程度ということです。

便が形成されるまでを表した図
出所=『便を見る力』

■うんこの形・色が教えてくれる体の変化

「うんこ」は、体の中のさまざまな情報を教えてくれます。とはいえ、うんこは言葉や文字を使えませんから、色や形、硬さ、においなどで、私たちにサインを出しているのです。

私たち医師も、うんこの状態から、ある程度、腸の状態を予測していきます。その目安のひとつになるのが「ブリストルスケール」。これは1997年にイギリス・ブリストル大学の教授が発表した、便の状態を示す基準となるもので、医療現場でも広く使われています。

うんこの「形」と「性状」をもとに7段階に分けられた「ブリストルスケール」は、日々の自分のうんこの状態を把握するためにも覚えておきたいものです。

健康なうんこは黄土色をしています。この色は「胆汁」に含まれる黄色い色素によるものです。「胆汁」は肝臓でつくられる黄褐色の液体で、胃で溶けきれなかった脂肪を十二指腸内で分解する働きをしています。このとき、便に胆汁の色がついて黄土色になるのです。

その後腸の中にとどまる時間が長いと、水分が余計に吸収されてしまうため、便秘気味のうんこは濃い茶褐色になり、反対に消化不良で早く出てしまう下痢気味のときは黄色味が強くなるのです。

黄土色から茶褐色のうんこは健康の証し。けれど食べたものや体調、あるいは病気などによってうんこの色は変わってきます。ここからはうんこが「色」で我々に伝えようとしている体の変化について見ていきましょう。

便を観察するための一覧表(ブリストルスケール)
出所=『便を見る力』

■真っ黒なら胃の中で出血が起きている可能性

〈黒〉

黒いうんこは便秘が原因の場合と、食道、胃、十二指腸、小腸など消化器官からの出血が時間を経て黒く変色している場合があります。胃潰瘍(かいよう)や胃がんになると胃の中で出血が起こります。胃の中には胃酸があるため、その影響で血の中にあるヘモグロビンは酸化され、ドス黒い色の血に変色するのです。

まるでコールタールのような便になるため、これを「タール便」と呼びます。コールタールのイメージがつかない方は、イカスミパスタの色を思い出してみてください。イカスミパスタなんて食べていないのに、あのように真っ黒の便が出たら、胃の中で出血が起きているのかもしれません。可能性のある病気としては、十二指腸潰瘍や胃潰瘍、胃がんなどが疑われます。

また、貧血の治療として鉄剤を飲んでいる場合も黒いうんこが出ます。

黒のコロコロ便(type-1)

便秘がひどく、まるで木炭のように真っ黒でコロコロしたうんこが続く場合、水分を多めにとって様子をみましょう。それでも改善されない場合は、何か病気が隠れているかも。

黒の硬い便(type-2)

アルコールやお肉を過剰摂取すると胆汁の分泌量が減り、うんこが黒くなってしまう場合があります。胆汁はうんこをなめらかにして排出しやすくする働きもあり、胆汁が減ると便秘にもなりやすくなるので注意が必要です。

黒の普通便(type-4)

イカスミパスタやお肉、黒い食べ物などをたくさん食べたあとの黒いうんこは食べ物の色が出ているだけかもしれません。一時のものであれば心配なし。ただし、それが続く場合は病気が隠れていることがあるので、毎日うんこを確認しましょう。

黒のやや軟らかい便(type-5)

食道や胃、十二指腸など上部の消化器官で出血している場合、便に混ざった血が黒く変色して「タール便」と呼ばれる真っ黒なうんこになることがあります。

黒の水様便(type-7)

腹痛が数カ月続く、3カ月間で急激な体重減少、下痢と便秘を繰り返すなどの症状が一緒にある場合は、何か重大な病気のサインかも。なるべく早く医療機関に相談に行って、検査をしましょう。

■赤い便が続くようなら大腸がん、潰瘍性大腸炎を疑う

〈赤〉

一般的にうんこの色が赤い場合は血が混ざっている可能性があります。いわゆる「血便」です。出血している場所によって、赤の濃さや色味が変わるので注意が必要です。可能性のある病気としては、大腸がんや潰瘍性大腸炎、クローン病、痔(じ)などがあげられます。

最も多い疾患は痔ですが、痔だと思っていたら大腸の病気だったということもあるため、他に症状がある場合や、連日続くような場合には注意が必要です。赤い便が続くようなら消化器内科を受診しましょう。

年齢によっても考えるべき疾患は違います。40歳以上になると大腸がんの可能性が年齢とともに上がっていきます。一方で、10代ではクローン病、20代と40代では潰瘍性大腸炎が起きやすいとされているので、同じ血便をみても年代によって医師が真っ先に考える疾患は変わります。

クローン病や潰瘍性大腸炎の場合には、炎症が広がっていくため、腹痛や発熱、下痢を起こしやすくなります。これらを伴う血便がある場合には消化器内科を早めに受診してください。

トイレットペーパーに書かれた顔が赤い涙を流している
写真=iStock.com/Mukhina1
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Mukhina1

■「いちごゼリー」のような便に注意

赤のコロコロ便(type-1)

便秘で硬くなった便をしたときに、肛門が切れて痔になることがあります。排便時に便の表面に血がつくので、鮮やかな赤いコロコロ便が出たときは痔の可能性が大きいと言えます。

赤の硬い便(type-2)

こちらも痔の可能性を疑ってみましょう。ただしtype-1とともに、直腸がんによる出血の可能性もあるので、油断は禁物です。

赤のやや硬い便(type-3)

大腸がん、潰瘍性大腸炎、直腸がん、その他大腸炎などの可能性があります。

赤の普通便(type-4)

便器が真っ赤になるような場合と、茶色の便の中にうっすらと血が混ざる場合があります。他にも茶色の便の周りにいちごゼリーのようなものがついていることも。大腸がん、潰瘍性大腸炎、直腸がん、痔、その他大腸炎などの可能性があります。

赤のやや軟らかい便(type-5)

大腸がん、潰瘍性大腸炎、直腸がん、痔、その他大腸炎などの可能性があります。またトウガラシやパプリカ、トマトなど赤い食べ物をたくさん食べたあとは便が赤くなることがあるので、数日前までの食事内容を思い出してみるのも大事です。

赤の泥状便(type-6)

真っ赤な血が混ざっている場合と、「いちごゼリー」のようだと表現される、ドロっとした赤い便のことがあります。便がゆるい場合は大腸がん、潰瘍性大腸炎などの他に赤痢やコレラ、食中毒などの可能性も。

赤の水様便(type-7)

鼻血のような真っ赤な血が混ざっている場合と、ドス黒い赤のことがあります。同時にひどい腹痛、高熱、吐き気、めまい、冷や汗などの症状がある場合は、赤痢やコレラ、食中毒などの可能性もあるので注意が必要です。

■「ほうれん草カレー」は赤血球の破壊が原因のことも

〈緑〉

うんこが緑色の場合、一番の原因は食べ物によることが多いです。青汁などを飲んだあとはうんこも緑色っぽくなります。

ひとつだけ覚えておいてほしいのは、胆汁は酸化すると緑色に変化するということ。緑のうんこは胆汁の量や吸収の異常が原因のことがあり、暴飲暴食などで腸の機能が低下している場合があります。

また赤血球の破壊が進むと胆汁が過剰に分泌されるので、緑色の便が続く場合には溶血性貧血などにも注意が必要です。可能性のある病気としては、黄疸(おうだん)や溶血性貧血、腸炎などがあげられます。

緑のコロコロ便(type-1)

長い間便秘をしていると、便の色が緑色になることがあります。苔がむしたような緑のコロコロ便は、便秘による色素沈着の可能性が高いです。

緑の普通便(type-4)

茶色の中にうっすら緑が見え、ときには草餅のような緑色のこともあります。緑黄色野菜をたくさん食べたり、緑色のドリンクを飲んだりすると、緑の色素が着色して便が緑色になることがあるので、しばらく様子をみてみましょう。

緑のやや軟らかい便(type-5)

食べ過ぎ飲み過ぎなどで腸に負担がかかっているかもしれません。腹痛などの自覚症状がなければ、お腹に優しいものを食べて様子を見ましょう。

緑の泥状便(type-6)

茶色の中にうっすら緑が見え、ほうれん草カレーのような感じのうんこは、胆汁の溶血性貧血や黄疸など、赤血球の破壊が原因のことも。体のだるさや皮膚が黄色っぽいという症状がある場合は病院で診察を受けましょう。

緑の水様便(type-7)

青汁の原液がそのまま出てきたような、黒に近い緑の水様便が出て、腹痛もある場合は食中毒や急性腸炎の可能性大。また、強い抗生剤を飲むと腸内細菌のバランスが崩れて緑色の便が出ることがあります。

■薬をやめて白が3日以上続いたら病院へ

〈白〉

バリウム以外でうんこが白くなるのは、消化不良か栄養不足、あるいは色をつける胆汁の分泌に問題がある場合のどちらかです。うんこが茶色くなるのは胆汁の色素によるものと前述しましたが、その流れが悪くなると便が白くなります。

石井洋介『便を見る力』(イースト・プレス)
石井洋介『便を見る力』(イースト・プレス)

胆汁の流れが悪くなる理由としては基本的には先天性疾患が多く、赤ちゃんの便が白いときは検診で引っかかるようになっています。

一方で大人になってから急に白くなる場合には重篤な疾患が隠れている可能性が高く、胆管がんや膵臓(すいぞう)がんなどで胆管が狭くなり胆汁の流れが悪くなっている場合があるので、腹痛などある場合は特に急いで受診をする必要があります。

その他に可能性のある病気としては、胆道閉鎖、コレラ、肝臓がん、ウイルス感染などがあげられます。

白の普通便(type-4)

バリウムを飲んだわけでもないのに白いうんこが続く場合は、肝臓の病気、胆石症、胆道がんなどの可能性あり。

白のやや軟らかい便(type-5)

胃薬や下剤が原因でうんこが白くなることもあります。薬をやめて様子をみて、3日以上続いたら病院へ行きましょう。

白の泥状便(type-6)

焼き肉など脂肪分の多いものを食べ過ぎると、一時的に白っぽい便が出ることがあります。においがきつい場合は脂肪分の消化不良が原因かも。しばらく体にいいものを食べて様子をみましょう。高熱や吐き気、めまい、冷や汗などの症状がある場合は膵臓の病気かもしれません。

白の水様便(type-7)

急性で発熱、食欲不振、体重減少、腹痛などの症状がある場合は腸結核の可能性があります。灰白色で慢性的な場合、膵臓がんの可能性も。すぐに病院で診察を受けましょう。また、米のとぎ汁のような場合、コレラなどの感染症が疑われます。

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石井 洋介(いしい・ようすけ)
医師、日本うんこ学会会長
19歳の時に潰瘍性大腸炎により大腸全摘出術を受けたことをきっかけに医学部受験を決意。高知大学医学部卒業後、研修を経て横浜市立市民病院へ。消化器外科医として大腸がんの手術などを多数手がける一方、厚生労働省勤務や「日本うんこ学会」創設など意欲的に活動。「大腸がんは見つかった時点で寿命が決まる」という厳しい現実を打開すべく、毎日うんこを観察するカンベン(観便)を推奨し、医療の現場はもちろん、ゲームアプリやエンタメを通して発信し続けている。近年は、病気の予防・治療に加えて在宅医療の必要性を感じ「おうちの診療所」を開設。著書に『19歳で人工肛門、偏差値30だった僕が医師になって考えたこと』(PHP研究所)。

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(医師、日本うんこ学会会長 石井 洋介)

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