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【エア・ウォーター】国内最大規模の「アグリ連合体」形成に向けて2社と提携

財界オンライン / 2023年3月17日 18時0分

連携を発表する3社(左から、大﨑善保・デリカフーズHD社長、豊田喜久夫・エア・ウォーター会長、遠矢康太郎・ベジテック社長)

「作って良し、使って良し」の青果流通ビジネスの拡大を─。工業用ガス大手のエア・ウォーターが〝国内最大規模のアグリ連合体〟の形成を進めている。

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 同社は青果物の加工や仲卸業務などを手掛けるベジテックとカット野菜販売のデリカフーズホールディングス(HD)と連携を強化。エア・ウォーターはベジテックと業務提携し、同社株式の一部を取得。また、19年に業務提携していたデリカフーズHDの株式も追加取得した。実はデリカHDとベジテックは一部領域でライバル関係にある。

 エア・ウォーター会長の豊田喜久夫氏は「3社がそれぞれの強みとリソースを相互に活用して国産農業の発展に寄与することを目指して資本業務提携を締結した。業界に一石を投じる取組だと考えている。今後、我々に合流したいと考える企業も出てくるのではないか」と話す。

 もともとエア・ウォーターは高圧ガス輸送で培った低温輸送技術と物流ネットワークを生かし、北海道を拠点にアグリ(農産・加工)事業を展開。8887億円の売上高のうちの約1400億円を占める。一方で、農業就業者は20年で半減の168万人となり、そのうちの7割が65歳以上と危機的な状況だ。

 農業就業者の実入りを増やすためには、消費者による国産青果物の消費を拡大させ、適切な価格で購入される環境を整えなければならない。そこで3兆円規模の青果物卸マーケットの約8%の売り上げを有する3社連合を形成することで、青果物の調達から開発・加工、販売までの供給網を強化すると共に、新たな食品物流事業の創出にも取り組んでいく。

 例えば、3社の契約農家などを活用した原料調達や3社の物流拠点・施設の効率化、成分分析データを活用した青果物のブランド化などを視野に入れる。豊田氏は「どちらか2社だけでは効果が薄れる。『3本の矢』の如く、3社が揃うことで効果を発揮できる」と強調する。

 前述した農業従事者の減少に加え、37%という食糧自給率も経済安全保障の面では国家的な課題だ。産業ガスという特異な立場であるからこそライバル企業の連携も実現できた今回の提携劇。エア・ウォーターの腕の見せ所となる。

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