【経済産業省】英国TPP加入へ大筋合意 経済圏は欧州まで拡大
財界オンライン / 2023年4月24日 18時0分
日豪など環太平洋経済連携協定(TPP)の参加国が、英国のTPPへの加入を認めることで大筋合意した。2018年末のTPP発効後、新規加入は初めて。同国の参加で、TPPの経済圏はこれまでの太平洋地域を中心とした11カ国から英国を含めた12カ国に広がり、欧州連合(EU)に迫る巨大な経済圏が誕生する。
「英国の加入が実現すれば、環太平洋地域のみにとどまらず、自由貿易、開かれた競争的市場、ルールに基づく貿易システムをさらに促進していく上で非常に大きな意義がある」。TPPを担当する後藤茂之経済再生担当相は、3月31日に開かれたTPP参加国による閣僚会合後の記者会見で、英国が加入する意義をこう強調した。
TPPは、自由貿易協定(FTA)の一つ。農産品や工業品の関税を撤廃・削減するほか、投資、電子商取引など幅広い分野でのルールを定めている。
英国は、EU離脱後、EU以外の国・地域との関係強化を目指し、21年2月に加入を申請した。同年6月から交渉を始め、申請から約2年で加入を実質的に承認。今年7月に開かれる予定の閣僚級のTPP委員会で協定文書に署名し、各国の手続きを経て加入が正式決定する。
英国の加入で期待されるのが、経済圏の広がりだ。同国は、人口約6700万人を抱える経済大国。加入により、参加国が世界全体の国内総生産(GDP)に占める割合は12%(11.8兆ドル)から15%(15兆ドル)に拡大する。日本は21年に英国と経済連携協定(EPA)を結んでいるが、マレーシアなど締結していない国にとっては、貿易の拡大が望めそうだ。
今後、協議の焦点になりそうなのが中国と台湾の扱い。中国は台湾を自国の一部とする「一つの中国」を掲げており、両者がTPPに加入するのは難しいとみられる。
一方、中国の加入へのハードルも高い。中国は、自国企業への優遇や労働者の権利保護などTPPが求める高い水準とは相いれないのが現状。加入交渉の開始には、加盟国の全会一致が不可欠で、参加国の中には中国の加入に慎重な国も多い。各国の意見をまとめ協議入りするには、難航が予想される。
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