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【NEC】復活は本物か? 世界一の認証技術を主軸に海外企業との連携相次ぐ

財界オンライン / 2021年9月24日 18時0分

国立競技場などで顔認証システムを利用した際の様子

コロナ禍で”非接触”の技術が注目される中…

 史上初めて大半の競技会場が無観客で行われた東京オリンピック・パラリンピック。全ての競技会場や選手村、メディアプレスセンターで、選手やボランティアなどの関係者は、入場時に本人確認を行わなければならない。そこで活用されたのが、NECの顔認証システムだ。

 これはICチップを搭載したIDカードと、事前に撮影・登録した顔画像をシステム上で紐付けし、各会場の入場ゲートに設置した顔認証装置を用いて、即座に本人確認を行っていくというもの。

 従来の大会では、目視による本人確認を行っていたため、一人ひとりの確認作業に時間を要したり、なりすましによる入場リスクなどの課題があった。しかし、今回は入場者の確認時間の削減や、IDカードの貸し借り・盗難によるなりすまし入場の防止など、効率的かつ厳格な本人確認を実現できた。

「顔認証はオリンピック史上初めて採用いただいたシステムで、大会の運用責任者の方から非常に効果的だったというお話をいただいた。新しいテクノロジーを通じて、東京オリンピック・パラリンピックの安全・安心な大会運営に貢献できたということで誇りに思っている」

 こう語るのは、NEC執行役員常務デジタルビジネスプラットフォームユニット長の吉崎敏文氏。

 東京2020ゴールドパートナーをつとめたNEC。大会を通じて業務用無線システムや混雑状況可視化システムなどを提供してきた。中でも注目されたのが顔認証システム。今夏には米国国立標準技術研究所の実施しているテストで、顔認証と虹彩(こうさい)認証の2つの技術が世界一を獲得した。

 NECは顔認証を始めとする生体認証技術を活用したシステムをこれまで世界約50の空港に提供してきた。分かりやすい事例が、空港でのチェックイン手続き。顔情報と搭乗券やパスポートの情報を紐づけることで、その後の手荷物預けや保安検査、搭乗ゲートなどでの搭乗手続きが顔を見せるだけで通過できるようになる。

 いわば”顔パス”で手続きが済むので、利用者は煩わしい搭乗手続きがスムーズになると共に、人と人との接触リスクが軽減されるため、新型コロナウイルス感染症対策としての関心も高まっている。今年7月からは羽田空港や成田空港でも本格運用が始まっている。

 吉崎氏は「コロナ禍において、非接触、キャッシュレスといったデジタルに関連する環境が大きく変わってきた。逆に言えば、オポチュニティーが増えてきたということ」と語る。

 今後、NECは今回の東京オリンピック・パラリンピックでの実績を踏まえて、空港外のショッピングセンターや観光地など、幅広い分野で顔認証システムの導入を目指している。

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いかに相乗効果を生み出すか
 今年5月に2025年度を最終年度とする新たな中期経営計画を発表したNEC。今後の成長分野を、「デジタル政府(行政のデジタル化)、ファイナンス、5G(次世代通信規格)、DX」と位置づけ、様々な施策を打ち出している。

 DX化の波が急速に日本を襲う中、NECは2019年にはデンマークの政府機関向けシステム開発を手掛けるKMDを約1300億円で買収した他、2020年にはスイスの金融ソフトウェア企業・アバロックを2300億円で買収した。

 また、ここへきて米アマゾンの子会社でクラウド事業を手掛けるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)やマイクロソフトなどと戦略的パートナーシップを相次ぎ締結。先行する海外勢の知見を活用し、グローバル市場に打って出ようとしている。

 4月から社長に就任したNEC社長兼CEO(最高経営責任者)の森田隆之氏は直近まで、副社長CFO(最高財務責任者)として、ほぼ全ての海外企業の買収案件に関わってきた。それだけに、森田氏には一連の買収や協業を通じた成果や相乗効果を生み出すことが求められるだろう。

 2001年3月期に5兆4097億円あった売上高も、半導体やパソコン、携帯電話などの事業を切り離し、2022年3月期は3兆円となる見通し。一連の構造改革を終え、反転攻勢への下地をつくってきた今、NECは成長軌道に戻ることはできるのか。新社長・森田氏の手腕が問われている。

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