松本の井上百貨店本店、2025年3月末で閉店へ パルコに続き駅前の核消失へ
財経新聞 / 2024年4月24日 17時14分
長野県松本市の井上百貨店本店(松本市深志)が、2025年3月末で閉店することになった。隣接する山形村のショッピングセンター・アイシティ21の百貨店棟と統合する。JR松本駅周辺の中心市街地では大型商業施設の松本パルコが2025年2月末で閉店する予定で、にぎわい回復に向けて対策が急務となりそうだ。
井上百貨店は明治時代の1885年、呉服店として創業し、1979年に現在地へ移った。本店は地下1階、地上7階建てで、売り場面積約8,000平方メートル。中心市街地の核となる百貨店として市民に長く親しまれてきた。
かつては隣接地にあった新館と2館体制で営業していたが、商業環境が厳しさを増す中で2010年に新館の営業を終了。2023年8月には本店5階の売り場をオフィスに転換する減床に踏み切った。
閉店の理由について運営会社の井上は、ホームページで「移転から45年が経過し、各種施設の大規模更新が必要になったため」と説明。跡地の利用方法は未定だが、本店を井上が運営するアイシティ21に統合させるほか、松本市内で新たな事業展開も検討中としている。
地方百貨店は地域の人口減少に加え、若者の百貨店離れやインターネット通販の台頭、郊外型ショッピングセンターとの競争激化で「冬の時代」が続いている。ただ、松本市の場合、松本パルコの閉店が決まり、市商業ビジョンの見直しが始まっているだけに、市や地元商業者に与える影響は大きい。
パルコの跡地利用は、松本市が3~6階約5,200平方メートルに学習・交流スペースを備えた図書館や子育て支援施設、文化施設の整備を提示し、パルコ側は年間賃料3億円の20年賃貸契約を求めて交渉。一時は契約の見込みと報じられていたが、その後白紙となっている。
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