特集2018年1月23日更新

「ヒートショック」に要注意! 正しい入浴法とは

冬になると話題になる言葉のひとつ「ヒートショック」。でも、ヒートショックがどのようなもので、どんなことに気を付けたらいいのか、詳しく知らない方も多いかもしれません。ヒートショックについてきちんと知り、対策をとることで、安全に入浴を楽しみましょう!

目次

冬は特に危険!「ヒートショック」に気をつけよう!

実はヒートショックは老若男女問わず、誰にでも起こりうることです。そして、意識すれば避けることもできるそうです。まずはヒートショックがどんなものなのか、見ていきましょう。

そもそも「ヒートショック」とは?

血圧の上下が心臓などに負担をかけ問題を起こすこと

急激な温度変化により血圧が上下し、心臓などの血管に大きな負担を及ぼし、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血などを起こすことを、「ヒートショック」と呼びます。

脱衣所や風呂、サウナなどで危険視されている

「寒い脱衣所から、急に熱い風呂やサウナに入ったり、熱いサウナから急に水風呂に入ったりすると、血圧が急上昇することがあります。それにより脳出血や心臓発作などを誘発してしまうのが『ヒートショック』です」

ヒートショックによって引き起こされる問題

心筋梗塞、不整脈、脳梗塞などが誘発される

ヒートショックとは、急激な温度変化により血圧が大きく上下することが原因となり、心筋梗塞、不整脈、脳梗塞などが引き起こされることをいう。特に、入浴時にヒートショックが起きると急激な血圧低下で意識障害を起こし、溺れて死亡するケースもある。

湯船で低血圧を起こして溺死してしまうことも

特に冬は温度差(ヒートショック)による事故に気を付けなくてはなりません。暖かい部屋から寒い脱衣所に移動し衣服を脱ぎ、さらに寒い浴室へと急な温度差が血圧変動を激しくし、失神・不整脈・脳梗塞を引き起こす原因となります。また、熱い湯船につかることにより低血圧がおこり失神し、溺死につながるのです。

ヒートショックによる死者は交通事故死の3倍以上

東京都健康長寿医療センター研究所によると、2011年の1年間で、ヒートショックに関連した入浴中急死者数は約17,000人と推計され、交通事故による死亡者数(4,611人)の3倍をはるかに上回っています。

ヒートショックが起きるのはいつ頃が多い?

冬の時期に多く、特に12月~2月に多発

入浴中の事故死は、11月から3月までの気温の低い時期に多く、12月~2月は特に多く発生しています。
冬季に多く発生する傾向があり、これからの季節、特に注意が必要です。
冬に多く発生する入浴事故の原因として、脱衣所とお風呂の温度差が大きいことがあげられます。

ヒートショックの危険があるのは冬だけではない

ヒートショックは冬だけに発生するとは限らず、夏の暑い日に冷房の効いた部屋に急に入ったりする場合に起こることもあるそうだ。急激な温度差が重要で気温差が10℃以上だと発生しやすいと言われている。

ヒートショックのリスクが高い住まいとは

浴室に暖房器具を設置していない住宅

・浴室に暖房器具を設置していない戸建住宅は、設置している場合と比較して浴室の室温が低く、湯温が高い傾向にある。(安全な入浴のために、湯に漬かるときの湯温は41℃以下、湯に漬かる時間は10分までを目安にすることが推奨されている。平成28年1月20日消費者庁発表。)

断熱性能が低いとヒートショックの危険性大 築年数が経っている家も

・断熱性能が低い住戸ほど、浴室や脱衣室が外気温の影響を受けやすくヒートショックのリスクが高まると考えられるが、日本の住戸のうち2012年時点では旧省エネ基準以上を満たした住宅は約6割。いずれの基準も満たさない断熱性能の低い住戸が約4割も存在している。
・築年数が経過している住宅ほど、寒いと感じる人が多く、また、浴室に暖房器具を設置していない割合が高い。

特にヒートショックに気をつけるべき人

高齢者や生活習慣病を抱える人

【ヒートショックの影響を受けやすい人】
・65歳以上の高齢の人
・高血圧、糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病を抱えている人
・肥満気味の人

ヒートショック危険度のチェックシートを試してみよう

下記のチェックシートに5つ以上チェックが入ると、ヒートショックの危険度数が高い「ヒートショック予備軍」と診断できるそう。

ヒートショック危険度 簡易チェックシート
□メタボ、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、心臓・肺や気管が悪いなどと言われたことがある
□自宅の浴室には暖房設備がない
□自宅の脱衣室に暖房設備がない
□一番風呂に入ることが多いほうだ
□42度以上の熱い風呂が大好きだ
□飲酒後に入浴することがある
□浴槽に入る前のかけ湯をしない、または簡単にすませるほうだ
□シャワーやかけ湯は肩や体の中心からかける
□入浴前に水やお茶など水分をとらない
□1人暮らしである、または家族に何も言わずにお風呂に入る

ヒートショックを引き起こす間違った入浴法

最悪の場合には、死を招くこともあるヒートショック。そんな事態を避けるために、間違った入浴法を知ってリスクを減らしましょう。

長時間の入浴はやめたほうがいい?

健康や美容のためには「ある程度長い時間、入浴しないといけない」と思われがちですが、実は10分以下の入浴でも問題はないということ。むしろ熱いお湯や長時間の入浴では、のぼせたりヒートショックを起こしたりする危険があると指摘しています。

長風呂は血管の詰まりを起きやすくする

「長湯」もリスクを増やす。発汗で体内の水分量が減り血液が濃くなると、血管の詰まりも起きやすくなる。
「湯船に浸かる時間は10分以内が目安。それ以上になると血液への影響が顕著になる。湯温も39~41℃くらいが望ましい。“熱いお湯に長く”は熱中症のリスクも高めます」

「一番風呂」は浴室が寒くて危険

きれいな一番風呂は気持ちいいけれど、「気をつけた方がいい」と早坂さん。
「浴室が温まっておらず、冷え切っている一方で、お湯は熱い。その温度差で、ヒートショックが起きる可能性があります」

「湯船に肩まで浸かる」も要注意

「冬の入浴は心臓への負担となりますが、肩まで浸かればそのリスクは高まる。九州大学の研究などによれば、水圧で横隔膜が押し上げられて心臓への『静脈還流』が増量し、心機能への負担が大きくなるとされています。肩まで浸かる必要はなく、半身浴が望ましいでしょう」

お酒を飲んだあとの入浴は厳禁!

「あなたは飲酒後に入浴した経験がありますか?」というアンケートに、「ある」と答えた人は57%にも及んでいます。しかし…

飲酒後の入浴は、血圧を異常に低下させたり、転んで思わぬけがをするなど危険がいっぱいです。この飲酒後入浴の危険性は全国どこでも同じです。飲酒後の入浴は十分に酔いが覚めてからにしましょう。

高齢者は食後すぐの入浴にも注意

高齢者は食後に血圧が下がる「食後低血圧」によって失神することもあるので、食後すぐの入浴も避けたほうがいいという。

ヒートショックを予防する正しい入浴法

急激な温度変化を避ける入浴を

冬の寒い季節に、気温の低い脱衣所から熱いお風呂にいきなり入ると、その温度差がヒートショックを招くとわかりました。とすると、どのような入浴を心がければヒートショックを避けることができるのでしょうか?

正しい入浴法のポイントとは?

ヒートショックにならないためには、急激な温度変化を避ける必要があります。そのために自宅のお風呂でできる対策は…

脱衣室・浴室は事前に20℃以上に温めておきましょう。
お湯の温度は40℃以下にしましょう。
手足の先から順にかけ湯をしましょう。
飲酒後、食後すぐ、深夜のお風呂は避けましょう。
お風呂の前後にコップ1~2杯の水を飲みましょう。

入浴前に浴室を温めておくことで温度差を小さくする

寒いお風呂場はNG! 浴室はシャワーで温めておく

「あなたはシャワーやかけ湯をせず、直接浴槽に入ることがありますか?」という問いに「よくある」「たまに」と答えた人は15%という結果に。

大事なのは外気とお湯の温度差を減らすこと。2番目以降は浴室内に湯気が立って温かくなっている。1番に入る場合は、先にお風呂の蓋をあけ、水面にシャワーをあて湯気を立てよう。

湯船に入る前に、かけ湯をする

かけ湯もヒートショック予防になる。
「量は手桶10杯。申し訳程度に1~2杯、ではダメです。手足の末端からかけて、徐々にならしていってください」

長風呂は避けて短時間の入浴を

美容や健康のためには「ぬるめ湯で短時間」が正解?

同調査ではまず、入浴の温度と入浴時間について、次のような4つのグループに分類したそう。

・江戸っ子風呂:10分以下で41度以上
・熱中症風呂:11分以上で41度以上
・健康手抜き風呂:10分以下で40度以下
・のんびり長風呂:11分以上で40度以下

この4グループごとに、現在の健康上の悩みなどについて聞いてみると、ぬるめ湯で短時間の入浴スタイルである「健康手抜き風呂」タイプが、肩こり、頭痛、便秘、汗かき、薄毛において、残りの3グループに比べて顕著に少ない結果になったのです。
40℃までのぬる湯はリラックス効果があります。結果として筋肉の緊張を和らげ、血圧を下げ胃腸の動きを促進し、血流も改善するなどの健康効果があります。

今日からすぐできる正しい入浴法

湯船にはゆっくり入ってゆっくり出る

入浴中に最期を迎えないためには、
「“オヤジのように入り、オジイサンのように出る”と患者さんに教えています。入るときは“ああ~~”と声を出してリラックスして入り、出るときはヨッコラショという感じで脚に力を入れて、ゆっくりと出るのがポイントです」
リラックスして入ることで血圧の急上昇を防ぎ、ゆっくり出ることで血圧変動による脳貧血(起立性低血圧)を防ぐ。

急に湯船から立ち上がると危険

お湯の中では身体に水圧がかかっています。そのため、身体の表面近くの血管がつぶれて血管の中の血液が押し出され、血圧が上がります。その状態から急に立ち上がると、つぶれていた皮膚の血管が開いて血圧が一気に下がり、脳貧血になって意識を失います。それを防ぐため、浴槽を出るときは、何かにつかまりながらゆっくりと立ち上がりましょう。

入浴前に水を飲むことを習慣にする

入浴前にコップ一杯の水を飲む、というのは、入浴によって血液中の水分が減り、いわゆる「ドロドロ血」の状態になることで心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まるのを予防する目的があるわけだ。 約10分間の入浴でかく汗の量は、おおよそペットボトル1本(500ml)ほどといわれる。 だからこそ、入浴前の水分補給が重要なのである。

体調が万全でないときはシャワーにする

高齢者は、湯船に浸らないとお風呂に入った気がしないと、毎日入るかたが多いですが、体調が万全でないときはシャワーで済ませてください

家族がヒートショックにならないために取るべき対策

家庭での入浴、特に高齢者や小さな子供がいる家庭では家族全員が安全に入浴できるように配慮したいもの。そこで、スマホや暖房器具などの最新機器を使って、ヒートショック対策をとるための方法を紹介します。

スマホでヒートショック対策

浴室の気温をスマホでチェック

Thermo Peanutは設置した場所の温度を、お使いのスマートフォンの専用アプリにて確認できるワイヤレス温度チェッカーです。
【浴室】
冬はヒートショック(※3)のリスクが高まる季節。高齢者や高血圧の方は特に注意が必要です。予期せぬ事故を防ぐためにも、脱衣所や浴室にThermo Peanutを設置して、シャワーや入浴前に室内が十分に温められているかどうかチェックすれば安全ですね。

「ヒートショック予報」をチェック

「ヒートショック予報」とは、ヒートショックリスクの目安を知らせる情報で、天気予報メディア「tenki.jp(日本気象協会)」で昨年から提供されているもの。PCやスマホで簡単に確認できるため、家の中での気温差に注意する指標として活用したいところです。

築年数が古く木造の住宅などは、外気温が低いと廊下やお風呂場も気温が低くなり、暖房を付けている居間とは必然的に温度差が大きくなってしまいます。
そのため、「寒くなる日=ヒートショックの危険が高まる日」として、皆さんに気温差対策をしていただきたく、ヒートショック予報を配信しています。

脱衣所を暖房で温めて温度差を小さくする

業界最小サイズのエアコン

これまで脱衣室や廊下のようにエアコンが設置できないと諦めていた場所にも使えるエアコンを上手に取り入れることで、住宅内の温度差を軽減します。

壁掛け式のセラミックヒーター

冬の寒い時期に、脱衣所や洗面所、トイレなどに壁に取り付けられる、壁掛け式のセラミックヒーター。冬場の浴室と脱衣所の温度差でおこる「ヒートショック」対策に適している。

人感センサー付壁掛けセラミックヒーター

壁掛け用は使用範囲や用途が限定されるため、床や棚に置いて縦置きでも横置きでも使用できる構造、機能にしました。また消し忘れを防止するため、人感センサー機能を搭載しました。

浴室内の温度が低い時に教えてくれる暖房

浴室の寒さを感知する浴室暖房乾燥機

この新商品には、浴室が寒い場合に脱衣室リモコンに「低温」と表示する機能を搭載しており、暖房機能の使用を促すことで、冬場の浴室でのヒートショック事故を少しでも予防できればと考えられた商品です。

もし家族がヒートショックになってしまったら…

全国版の救急受診アプリでとっさの事態に対処する

とっさの時に、救急車を呼んだほうがいいのか、なるべく早めに受診すればいいのか判断は難しいもの。そんな時にスマホのアプリで判断できるそうです。

消防庁がリリースしている全国版救急受診アプリ『Q助』(iOS/Android)。これを入れておけば体に何か異変が起きた時でも当てはまる症状をタップしていきますと、すぐに救急車を呼ぶ必要があるか、なるべく早めの受診で良いのか、様子を見て診察を受ければ良いのかが判断できます。

一刻も早く処置することも大切

ここまで、スマホアプリや暖房器具を使ったヒートショック対策を紹介してきましたが、「入浴する前に一声かける」というアナログな手段も大事になります。

もし、ヒートショックが起きたら、一刻も早く処置することが大切です。そのため、入浴前に同居者に一言声をかけ、入浴時間がいつもより長いときには様子を見に来てもらいましょう。