特集2017年6月11日更新

優雅に自然を満喫「グランピング」

「グランピング」という言葉をご存知でしょうか。豪華で快適なキャンプとして近年注目が高まっているアウトドアのスタイルのことです。アウトドアのメインシーズン迎える前の今のうちに、グランピングについて押さえておきましょう!

「グランピング」とは?

優雅に自然を楽しむ「贅沢なキャンプ」

“グランピング”というのは、『グラマラス(Glamorous)×キャンピング(Camping)』を合わせた造語であり、自然に囲まれたロケーションの中に、贅沢で快適な宿泊設備を用意して野営することの総称です。
グランピングの特徴は、従来のキャンプスタイルとは真逆の全てが整えられた環境と、まるでリゾートホテルのような豪華な設備。キャンプの知識や経験がない人でも気軽に楽しむことができるサービス付きで、おしゃれなガーデンパーティーのような雰囲気を堪能できます。

つまり「グランピング」とは、トイレやお風呂、冷暖房、リビングルーム、ソファ、ベッドなどを備えた施設を利用してホテル並みの快適な過ごしつつ、キャンプのように自然の中で過ごす醍醐味を味わえる…という、“いいとこ取り”をしたレジャーといえます。

海外ではすでに大ブーム

日本でも2、3年ほど前から専用施設が増えるなど話題となっているグランピングですが、海外では2010年代半ばから富裕層を中心に広まって、ブームになっているといいます。

アメリカの広大な砂漠に張られたテントに宿泊できる「Moab Under Canvas(モアブ・アンダー・キャンバス)」。インディアンが住んでいそうな原風景をダイレクトに感じながらも、豪華ベットやバスルーム付きのテントでのんびりできてしまうのである。ジャングルの中で自家製のオーガニック料理を味わえる、オーストラリアの「Nightfall Wilderness Camp(ナイトフォール・ウィルダネス・キャンプ)」も有名だ。イギリスを中心に欧州でも大ブームに。「ジャグジー付きコテージ」「専属シェフがBBQを提供」など、特別感あふれるサービスが展開されている。

日本ではまだ「知る人ぞ知る」の認知度?

「知っている人」わずか1割程度

昨年7月の調査になりますが、株式会社バルクが行ったアンケート調査によると…

『グランピング』を知っている人(「内容を知っている」+「聞いたことはあるが、内容はよく知らない」)は、全体の11.9%で、中でも「内容を知っている」と回答したのは僅か6.0%でした。

しかし、内容を知っている人の中で「利用してみたい」のは81.7%と非常に高いようです。

「認知度5割」という調査結果も

一方で、昨年4月に行われた一般社団法人日本ホームパーティー協会によるアンケート調査では…

「グランピング」という言葉について、48.9%の人が知っていたと回答。初めて聞いた人35.6%と二分した結果となりましたが、なんとなく知っていた、聞いたことはあったが意味がわからなかったなども合わせれば、知名度はかなり高いようです。

「グランピングで体験してみたい」のはバーベキューと天体観測

上で紹介した日本ホームパーティー協会によるアンケート調査には、ほかにも興味深い結果があったので、いくつか紹介しておきます。

Q.「グランピング」でやってみたいアクティビティは?

抜きんでて票を集めたのは、キャンプの定番「バーベーキュー」の80%。次点につけたのが「星を見る(天体観測)」の75.6%でした。グランピングとはいえ、キャンプならではの非日常感を楽しみたいという志向は変わらないようです。

最新調査では「星を見る」の人気が上昇

同協会が今年4月に行った最新の調査では「星を見る」や「釣り」の数値が上昇しています。

「星を見る」(83.9%)、「釣り」(54%)、「トレッキング(山歩き)」(54%)、「バーベキュー」(48.3%)に多くの回答が集まりました。
(中略)
昨年に同アンケートを実施した際には、「星を見る」(76.5%)だったのに対し、今年は7.4%も星を見たい人がアップしています。

キャンプへの不安要素をカバーするグランピング

「キャンプで不安なことはなんですか?」という質問に対しては、「雨」「気候」などのほかに「トイレ」「電源がない」という項目が上位にきていることから、「アウトドアは楽しみたいが、快適な生活から離れるには不安も多い、という傾向がある」と分析。
さらに、調査結果報告を以下のように締めています。

自然の中で暮らす非日常性と、快適さのハイブリッドが、近年の「グランピング」人気の要因といえそうです。

つまりは、キャンプへの不安要素をカバーするのがグランピングの立ち位置といえそうです。

お手軽かつ贅沢に…グランピングの魅力

グランピングのあらましに触れたところで、その魅力に詳しく迫っていきたいと思います。

“インスタ映え”するグランピング

グランピングが流行りつつある大きな要因のひとつが“インスタ映え”するという点です。
「Glamorous」の言葉どおり「魅惑的な」キャンプであるため、ついつい写真に撮って投稿したくなる気持ちもわかります。

「手ぶらでOK」のお手軽感

「自然を満喫したい…でも面倒なのはちょっと」な人に

毎日の慌ただしさから解き放たれたい、アウトドアを満喫したい。けれど面倒なのはちょっと、と敬遠してしまう方の気持ちに応えてくれるのが、グランピングです。
オープンエアを堪能し、自然を体感できるのに、手ぶら感覚でOKなのが魅力。
テントを組み立てたり、重たい道具を用意する、ということもないので、女子会としての利用も増えているようです。

清々しい空気の中でいただく食事は格別

バーベキューからシェフのディナーまで

食事は定番の BBQはもちろん、シェフによるダッチオーブンディナーを提供している施設もあります。アウトドアならではの味わいをプロが手がけることで、ひと味違ったおいしさを堪能できます。清々しい空気のなか、テラスでいただくコーヒーや朝食も格別です。

料理も手ぶらでOK

料理も用意してくれるので手ぶらでOK。料金は1人あたり2~3万円が相場。通常のキャンプは1万円以下で利用できる施設も多いが、テントや調理器具など快適に過ごすためのアイテムをそろえるとなると思いのほか費用がかさむ。
バーベキューなどのキャンプ料理とルームサービスが選択できたり、自分好みをチョイスできるのもうれしいところ。
ルームサービスは夜遅くまで対応してくれる施設もあり、軽食やドリンクが自由に手に入ります。

アウトドアにありがちなトラブル&ストレスとは無縁

トイレや風呂に困ったり、BBQで肉が焦げて食糧難に陥ったりするようなトラブルもつきものだ。そんなアウトドア初心者にありがちなストレスとは無縁な点がグランピングの魅力。

上質な快適空間と充実のサービス

ホテルと見まごうばかりの上質な空間は、冷暖房設備は当たり前。
快適なベッドやソファーもセッティング。シャンプーや基礎化粧品などのアメニティもそろっているのが一般的です。

アクティビティが充実している施設も

エステやヨガ、キャンプファイヤー、ナイトシネマ、ソリ専用のゲレンデなど、施設の特色に合わせてさまざまなアクティビティーが提供されているので、アウトドアでの過ごし方がわからない人でも安心です。

1年を通じて楽しめる多彩なイベント

山間部であれば、森林のなかでのヨガやストレッチ。海に面した場所であれば、海水浴やマリンレジャーなど、自然のなかで過ごせるのが醍醐味(だいごみ)です。
その他トレッキングや野菜の収穫、アスレチック、カヌー体験、キャンプファイヤーなど五感を刺激するアクティビティも満載。
夏に利用するというイメージが強いかもしれませんが、季節限定のイベントも豊富。
たとえば、空が澄み切った冬ならではの星空ウォッチングや、夏の定番である花火大会などは最高の思い出となることでしょう。

「ベランピング」「おしゃピク」…さらに気軽なグランピング

日帰りプランやバーベキューのみも

グランピングに興味はあるけれど、時間が取れないという方は日帰りプランを活用するのもおススメ。
最近は、ニーズに応えるようなプランも増えつつあります。滞在は数時間程度ですが、野外でのランチや自然探索、また浴露天風呂を楽しむコースなどがでてきています。

このように、アウトドアをさらに気軽に楽しむ日帰りプランもあります。また日本独自の解釈として、手ぶらで行けるバーベキューやビルの屋上にある飲食施設なども「グランピング」に含める風潮があるようです。

自宅でグランピング気分…「ベランピング」も人気

「アウトドアを楽しみたいけど遠出するのも…」という人に

自宅のベランダでちょっとしたアウトドア気分を楽しむ「ベランピング」の人気がじわじわと上昇しているといいます。
なお、ベランピングは「ベランダ」と「グランピング」を組み合わせた造語です。

私は夏のレジャーといえばアウトドアを真っ先に思い浮かべますが「移動が大変」と思うとなかなか実行に移せず、いまだアウトドア未体験のまま……。
このままアウトドアとは無縁の生涯を送るんだろうなぁ……と思っていた矢先、アウトドアが自宅で楽しめるという新しい試みを発見!
準備は楽ちん。移動距離はなんとゼロ。それが「ベランピング」です!

いつもよりリッチな時間を楽しむ

「アウトドアはそこまで好きじゃないけど、非日常空間は味わってみたい」という人や「外の空気は吸いたいけど、家でまったりしたい」という人にもおすすめ。
コーヒーやお茶を片手に読書を楽しむも良し、友だちを呼んでおしゃべりするも良し、夜景を見ながらビアガーデン感覚でお酒を楽しむも良しと、いろいろなシチュエーションが楽しめます。
自宅のベランダでキャンプをしているような、カフェでのんびり過ごしているような、いつもよりリッチな時間を楽しむのがベランピングの極意。

ガッキーもべランピング願望を告白

女優の新垣結衣さんも昨年10月に放送されたバラエティ番組でベランピングをやってみたいという願望を明かしています。

新垣は「ベランダを楽しみたいなと思って」と、“べランピング”(自宅のベランダをお洒落に彩り、アウトドア気分を味わうもの)に挑戦したいという願望も告白。しかし「一畳しかないんです」と自宅のベランダのスペースが狭いことを明かすと「一畳でベランピングしようとしてるんですか?」(ピース・綾部祐二)「引っ越しなさい」(有吉)「無理無理無理、一畳は無理」(櫻井)とそろってツッコまれ、スタジオを沸かせた。

ハンモックや観葉植物で雰囲気を高めるべし

テラスや庭にテーブルや椅子を並べたり、ハンモックを用意してもよいでしょう。
雰囲気を高める観葉植物を飾るのもGOOD! 屋外がムリならば、部屋にテントをセッティングしてみましょう。
家庭用のプラネタリウムを使ったり、ヒーリングミュージックを流したり、アロマを炊いたり、工夫次第で幻想的な空間を演出できます。

インスタで話題の今どき女子会「おしゃピク」

見た目も可愛い海外風のオシャレなピクニック「おしゃピク」が女子の間で話題になっています。
「グランピング」とはかけ離れているかもしれませんが、“インスタ映え”する気軽なアウトドアという意味で共通する部分は多いようです。

「おしゃピク」とは“おしゃれなピクニック”の略。ただのピクニックではなく、おしゃれなフードや雑貨で彩られたピクニックのことを表します。
それぞれが持ち寄った食べ物を持ち寄りながらガールズトークに華を咲かせたり、写真を撮ってSNSに投稿したりしているんですよ。

ローラから火がついた?

タレントのローラさんが“かわいいピクニック”を投稿したことで火がついたブームとも言われています。

ドレスコードを決めてファッションも楽しむ

仲良しの女友達との日常がHAPPYなf.mai_0829さんのインスタで見つけた女子会は、おソロのTシャツ×デニムコーデがキュート!
ドレスコードを決めて、ファッションも楽しんじゃうのがおしゃピクの特徴。

参加してみたい人は52%

日本ホームーパーティー協会が今年のゴールデンウィーク前に実施した調査で「おしゃピクに参加してみたいと思いますか?」と聞いています。

ホームパーティー好きな人へ聞いたところ、「参加したことがある」人は37.9%の結果に。 参加経験が無い人も「ぜひ参加してみたい」人が24.1%、「呼ばれたら参加してみたい」人が27.6%となり、計51.7%の人がおしゃピクへの参加を表明していることが判明しました。

楽しみは「アウトドアでの食事」「非日常体験」「SNS投稿」

同じアンケートで「おしゃピクの楽しみ」を聞いたところ、「アウトドアでの食事」「非日常体験」「SNS投稿」の順番に。
また、日本ホームパーティー協会代表の高橋ひでつう氏はおしゃピクについて、次のように述べています。

近年人気のグランピング(キャンプに快適空間を入れ込んだ豪華版キャンプ)を楽しむのはハードルが高いと感じる若い女性層やママ層には、子供も一緒に気兼ねなく遊ばせることができ、おしゃれな雰囲気にも浸れる【おしゃピク】の人気が出ると思います。

ビルの屋上で楽しむ「都市型グランピング」

5月12日、大阪の都心に関西初の都市型屋上“グランピングBBQレストラン”がオープンしました。

ビルの屋上は、リゾート気分満載。仲間たちでわいわいBBQを満喫できる施設で、予算は1人4500円(飲み放題)、ビアガーデンと違って期間限定ではない。

最近になって、こういった都市型グランピング施設も増えています。

WILD BEACH新宿

まず驚きなのは、屋上であることを忘れてしまいそうな白いビーチ。屋上に15トンもの白い砂を敷き詰めたビーチというのは業界初だとか。
(中略)
そのうえ優雅なグランピングテントも設置されているので、たとえば、25平方メートル以上のウッドデッキテラス空間にソファやランタン、パラソルで演出された「大型グランピングコットンテント」でゆったりと新宿の空を楽しみながら、数種類のアペタイザーやブロシェット、さらにシーズニングステーキ等が味わえるおしゃれなフレンチ・バーベキューがついた「Glamping Barbecueプラン」も選べます。

REALBBQ PARK 代官山

ビルの屋上を少人数で貸し切って、都会の夜景を眺めながらBBQ。そんな非日常的な空間が、都内では代官山ほか銀座、渋谷、新宿など、神奈川ではみなとみらいと関内、今年から関西地方にも進出し、全16店舗。それぞれに雰囲気が異なりますが、どこもオトナのBBQにぴったりのおしゃれな空間です。

シモキタテラス

屋上のテラスをBBQ会場として使用しているため、都心において自然の風を感じながら非日常的な空間でアウトドア気分を楽しむことができるんだとか!
コース料金には、BBQに必要な機材や食材、ドリンクがすべて含まれており、面倒な火の用意や始末、片づけも必要ないとのこと。

WILDMAGIC THE THIRD PARK TOYOSU

なんと東京都内でキャンプも楽しむことが可能です。夜は都心ならではの夜景を堪能しながらバーベキューを楽しむことができるのも魅力的。また、手ぶらでバーベキューをすることもできます。

さらに気軽な「グランピング」が普及する?

最後にまとめの意味も込めて、これまで何度も登場した日本ホームパーティー協会、その代表である高橋さんの見解を紹介しておきます。

この1年でグランピングの認知度は非常に上がっています。ただ高級路線へと向かっている傾向があり、世界観には憧れるものの、実際には実現へのハードルが高いという人も増えてきているようです。それに対して、若者層には、気軽にグランピング的な世界を楽しめるアウトドアのレジャーが人気を集めています。
徐々に浸透しつつあるグランピングの流れから、SNS映えするオシャレな都市型BBQやルーフトップ(屋上)BBQの人気が高まっています。また、準備や荷物の手間が大変と感じる人も、仕事帰りや週末に気軽に利用できる手ぶらBBQサービスもあるので、さらに普及するのではないでしょうか?

もともと「キャンプの知識や経験がない人でも気軽に楽しむことができる」という魅力で人気を増してきているグランピングですが、さらに「気軽さ」を追求したスタイルも流行りつつあるようです。
時間的な余裕や金銭的な余裕など個々の状況に応じて「贅沢さ」を優先するか「気軽さ」を優先するか、選択肢が増えることは私たち消費者にとってはありがたいこと。ただ、一度くらいは思いっきり贅沢なグランピングを楽しんでみたいですね!