特集2017年9月27日更新

購入の決め手?「モンドセレクション」って何?

食品関係のCMなどでよく耳にする「モンドセレクション受賞」。「おっ、モンドセレクション金賞受賞なら買っとくか!」てな感じでついつい購入意欲をそそられたりすることもありますが、そもそも「モンドセレクション」がどういう賞なのか、よく知らない方も多いのではないでしょうか。
今回は「モンドセレクション」とはどのような賞なのか、こういった賞を受賞した商品が購買意欲にどのくらい影響されているのかを紹介します。また、「モンドセレクション」以外の主な賞の紹介と、2017年に「モンドセレクション」を受賞した商品をピックアップしてみました。

目次

食品の購入の決め手は「○○賞受賞」

2017年の8月に実施された「食品飲料の買い物に関するアンケート」によると、全体の57.8%と過半数の人が受賞シンボルやマークの記載の有無が商品の購入意欲を高めていると答えています。また、商品購入の決めてとして、33.7%の人が「金賞受賞などの受賞シンボル・マーク」と答え、「キャッチコピー」や「サービス情報」を上回る結果となっています。

(2) 受賞シンボル・マークが記載されている商品の購入意欲 全体57.8%
パッケージや、パンフレット、販売POPデザインに受賞シンボル・マークが記載されている商品と、記載されていない商品の購入意欲について、あてはまるものをひとつだけ選んで頂いたところ、以下の結果になり、受賞シンボル・マークが購入意欲を高めているということがいえそうです。
・受賞シンボル・マークが記載されている商品を購入しようと思う(16.4%)
・どちらかといえば受賞シンボル・マークが記載されている商品を購入しようと思う(41.4%)

日本で最も認知度のある受賞マークは「モンドセレクション」

さらに同アンケートによると「品質を評価審査する機関の受賞シンボル・マークの認知度」で「Monde Selection(以下モンドセレクション)」が7割近い人が目にしたことがあると答え、圧倒的な知名度となっています。それ例外では「iTQi(国際味覚審査機構)」「DLG(食品品質競技会)」がモンドセレクションほどではないにしても、昨年よりも知名度を伸ばす結果となっています。

(4) 海外の評価審査機関の日本での認知度が昨年よりも増加
海外の食品飲料などの品質を評価審査する機関の受賞シンボル・マークの認知度については、「よく見る」「たまに見かける」あわせて、Monde Selection(モンドセレクション)は68.7%(昨年67.3%)

そもそも、「モンドセレクション」って何?

さて、その知名度のある「モンドセレクション」ですが意外とそれが具体的にどういったものか知らない方も多いのではないでしょうか。モンドセレクションについて、少し調べていきましょう。

モンドセレクションは応募形式であり、製品のカテゴリは「スピリッツ &リキュール」、「ビール、水 &ノンアルコール飲料」、「食品」、「ダイエット &ヘルス」、「化粧品 &トイレタリー製品」、「タバコ」などに別れており、製品のカテゴリによって評価方法も変わります。これらは製品ごとに品質を評価するものであり、製品同士を比較するものではありません。ただし例外として、「インターナショナル ワインコンテスト」だけはコンクール形式となっています。 2017年度は、89カ国・966社の企業から2,965点の製品の評価が行われました。

1961年にベルギー経済省やヨーロッパ共同体(EC)の支援によって独立団体としてブリュッセルに設立された国際評価機関。食品、飲料、化粧品、ダイエット、健康を中心とした製品の技術的水準を審査する民間団体で、ベルギー連邦公共サービスより指導及び監査を受け、モンドセレクションより与えられる賞の事。モンドセレクションの専門家審査委員は、各製品固有の特性を考慮に入れ、多種多様な判断基準に沿って製品全体に対する評価を行う。

審査には約16万円の費用が必要

気になる費用ですが、公式サイトの応募フォームを見ると、「応募商品が2点以下の場合の応募費用」は1点あたり1,200ユーロとなっています。2017年10月9日現在のレートだと、約15万9,000円といったところですね。製品が3点以上となると、3点目以降から1,050ユーロ、約13万9,000円ほどにディスカウントされるそうです。またそれとは別に、「専門家の審査員によるコメントおよび観察報告」が1点あたり400ユーロ約5万3,000円かかるそうです。

アジアで大人気?

「大陸別の優秀品質賞の内訳」を見てみると、参加企業の国数はさすがにヨーロッパが最多だったものの、企業数、製品数はアジアがダントツとなっています。

優秀品質賞 大陸
  企業 製品
アフリカ 22 38 90
アジア 18 777 2,109
中米 7 9 17
欧州 25 106 293
北米 3 11 83
オセアニア 5 8 27
南米 7 17 72
合計 87 966 2,691

専門家に聞く、「モンドセレクション」の実態

誰もが最高金・金賞を受賞できるわけではない

CMなどで「モンドセレクション金賞受賞!」の謳い文句をよく耳にすることがあると思いますが、そうすると「応募さえすればなんでも金賞もらえるんじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。下の記事を読むと、意外と狭き門であることがわかります。
モンドセレクションの審査は、カテゴリごとに審査員長および最少8名、厳選されたその一流の専門家により構成された「審査員会」により行われます。味、健康強調表示、使いやすさ、表示、パッケージおよび革新性など20にものぼる評価基準が記載されたシートに従っており、厳しい審査が行われているのです。
そうした審査の結果、審査員のつけた得点の平均点により、各賞が決定します。平均得点が90点~100点の製品に優秀品質「最高金賞」、80点~89点に「金賞」、70点~79点に「銀賞」、60点~69点に「銅賞」が与えられるのです。

受賞結果は非公開にすることができ、連続でない場合の金賞以上の受賞率から考えると「誰でも金賞が受賞できる」状況ではないことがわかります。ヒトの体にはいる食品飲料は、味だけでなく、安心安全であることも今後一層求められていく一方、日本には商品の品質を総合的に分析評価する機関がなく、食品表示のルールの改訂レベルにとどまっているなか、消費者の信頼を得るために、製造・販売会社が自社による確認調査だけでなく、第3者の機関に商品の評価審査を依頼する必要性が高まっていくことが予想されます。

連続受賞と連続でない場合の受賞確率に大きな差

■食品の金賞・最高金賞の割合が、連続受賞の場合77.2%、連続でない場合は39.8%
食品部門の日本の受賞商品数(※公開のみ、2014~2015年)を調べた結果、807品のうち連続受賞が443品、連続でない初受賞が364品で、連続受賞が54.9%を占めています。また、金賞・最高金賞の受賞率の割合が、連続受賞の場合は77.2%、連続でない場合は39.8%で、はじめて出品した場合は、連続受賞の場合よりもほぼ半分しかないことがわかりました。はじめて出品した場合の金賞・最高金賞の実際の受賞確率は、非公開希望の商品数も相当数あると思われるため、39.8%よりも低くなると推測されます。

2017年連続受賞の商品は全体の約57%

受賞商品の中には昨年金賞を受賞した商品を再度連続で出品し受賞しているものも含まれています。
昨年と今年の日本の食品飲料4部門の受賞商品を調べた結果、今年受賞した1487品のうち、連続受賞が842品、連続でない初受賞が645品で連続受賞が約57%も占めています。

食品部門の初出品による最高金賞の受賞率はわずか3.3%

食品部門の日本の受賞商品数を調べた結果、最高金賞の受賞率については連続受賞の場合は29.5%、連続でない初出品の場合は3.3%で、金賞の受賞率については連続受賞の場合は53.1%、連続でない初出品の場合は33.1%で、食品飲料4部門の中で一番難しい受賞率でした。

他にもある、食に関する品評会

iTQi:Superior Taste Award (優秀味覚賞)

International Taste & Quality Institute (ITQI、国際味覚審査機構)は、世界中の味覚的に優れた食品及び飲料品の審査、表彰、プロモーションを行う世界有数の独立機関です。EU食品業界では、「食品のミシュランガイド」とも呼ばれています。
審査員は、ヨーロッパで最も権威ある13の調理師協会及び国際ソムリエ協会(ASI)に所属する一流シェフやソムリエで構成されています。多数のメーカーや流通業者が、ITQIが認定するSuperior Taste Award (優秀味覚賞)を目指して企業努力に励み、世界80カ国以上の数百の企業が優秀味覚賞の栄誉に輝いています。

審査において、モンドセレクションでは行われない「ブラインドテスト」を採用

木暮さん 食品の原点である「おいしいかおいしくないか」を評価する賞であると私は捉えています。権威ある食品団体に所属するいわゆる“食のプロ”が集まって審査する仕組み自体は、実際モンドセレクションとそんなに変わりません。でも大きく違うのは、「ブラインドテスト」を採用した審査方法。どこ社製のどういうものか、というのを隠した上で評価するのがポイントです。
木暮さん 審査は、「第一印象」「外観」「香り」「食感」「味・後味」の5項目の総合評価です。総合評定90%以上の商品には最高評価の「優秀味覚賞3ツ星」が贈られます。

DLG:DLG賞

DLGの正式名称は、Deutsche Landwirtschafts-Gesellschaftで、「社団法人ドイツ農業協会」の意です。フランクフルトで1885年(明治18年)に設立され、120年以上の歴史をもつ協会です。
DLGの食品競技審査会は、1887年(明治20年)にスタートした世界で最も古い加工食品の品質を競う審査会です。1993年(平成5年)からは、ドイツのみならず、世界中から出品商品が集う世界最大級の国際大会となりました。
審査では、味や色味、香りはもちろんのこと、原材料の配合から香辛料や添加物の種類・量までも対象となります。全部で200近い厳格な審査項目が、減点方式で採点されます。審査項目全てにおいて、減点なく全てをクリアした商品だけが、金賞の栄誉に輝きます。多くの食品会社が金賞受賞をめざして日々商品開発・改善を行っていると言われるほど、ヨーロッパでは極めて信頼性の高い審査会です。

ヒット作揃い!2017年モンドセレクション受賞の商品たち

株式会社 明月堂:博多通りもん(17年連続 金賞 受賞)

博多の和菓子の伝統に西洋菓子の素材を取り入れたという「博多通りもん」(5個パック入り560円~40個入り4720円)。バター風味の白あんを、ミルクの風味としっとりとした食感の皮が包む新しいまんじゅうだ。明月堂の数あるお菓子の中でも不動の人気ナンバーワン。
名前の由来は、博多を代表する祭り「博多どんたく」にある。どんたく衣装に身を包み、笛や太鼓を鳴らして練り歩く人を博多弁で「通りもん」と言う。ミルクの香りがするハイカラな“衣装”で餡を包んでいることから名付けられたというエピソードもユニーク。

有限会社 二鶴堂:博多の女(ひと)(7年連続 金賞 受賞)

博多の菓子の老舗「二鶴堂」を語るうえで忘れてはいけないお菓子が、博多みやげの定番・「博多の女(ひと)」(6個入り329円~40個入り2,160円)。昭和47年に誕生し、以来45年に渡って愛され続けているロングセラー商品だ。ほど良い甘さの小豆羊かんを、卵の素朴な風味香るバームクーヘンで包んだ、ひと口サイズの食べやすいお菓子。柔らかなバームクーヘンと水分を含んだ羊かんが、独特のしっとり感をつくりあげる。
定番の味の他に、苺とミルクで作った「博多の女あまおう苺ミルク味」(10個入り562円、20個入り1123円)も販売。白餡ベースのミルク羊かんと、あまおう苺味のバームクーヘンが絶妙にマッチ。

ミニストップ株式会社:ソフトクリームバニラ(4年連続 最高金賞 受賞)

ミニストップ株式会社は4月26日(水)、5代目「ソフトクリームバニラ」(220円)が、「モンドセレクション2017」食品部門にて最高金賞(GrandGold)を受賞したことを発表した。
北海道産の生乳と生クリームでミルク感を生かし、国産卵黄で濃厚さを引き出したスイーツ。最高品質のマダガスカル産バニラを使用して香り豊かな味わいを実現し、濃厚な「ソフトクリームバニラ」と、香ばしくザクッとした歯ごたえのあるコーンを味わうことができる。
世界的に権威のある「モンドセレクション」において、最高金賞の受賞は2014年から4年連続となる。また、「ミニストップデザートコーン」も3年連続で最高金賞を受賞している。

永伸商事株式会社:ミライズ(3年連続 最高金賞 受賞)

「神の居ます山」と呼ばれる鳥取県・大山山麓で採水されたミネラルウォーター。2017年モンドセレクション最高金賞受賞で、上品な口当たりの軟水です。

「2017ミス・インターナショナル 世界大会」大会公式飲料や2017年のヨットレース「タモリカップ」の協賛に選ばれています。

株式会社平松食品:あゆ甘露煮(3年連続 最高金賞 受賞)

平松食品は、三河つくだ煮の本場愛知県豊橋市の伝統製法を守り、魚竹籠を使用した、甘露煮づくりを続けています。大正11年の創業より守り続けた伝統技法と、現代に必要な世界基準の安全基準(ISO・HACCP・FSSC)を取り入れた工場で製造。鮎を手作業で1匹ずつ串に刺して素焼きにします。素焼きする際には、尾が焼き切れてしまわないよう、上からの火で尾を隠しながら、清流に舞う鮎の美しい姿をそのままに焼き上げ、秘伝の調味料、地元三河のみりんなどを加え、職人が丹精こめて炊き上げました。焼き上げに1日、煮炊きに1日、そして仕上げに1日、都合3日の“時仕事”です。さらに食べやすい1口サイズにカットし、女性でも食べやすくした仕様の甘露煮もあり、先代からの教え「甘露煮は炊きあがったあとは、いじってはいけない」を先進の技術が乗り越えました。モンドセレクション3年連続最高金賞受賞、iTQi優秀味覚賞2ツ星を受賞した逸品です。

株式会社天平:白菜キムチ(2年連続 金賞 受賞)

株式会社天平(本社:滋賀県高島市、代表:池田 均)は、2017年5月29日マルタ共和国にて行われました「モンドセレクション2017 授賞式」にて自然発酵をさせた手作り白菜キムチが金賞を受賞致しました事を報告いたします。本年で、2年連続(2016.2017)の金賞受賞となります。
弊社のキムチは、1つ1つ丁寧に手作りし、自然発酵を促した乳酸菌豊富なキムチです。

株式会社Crystal Drop:クリスピーバウムクーヘン(金賞 受賞)

従来親しまれてきた洋菓子のバウムクーヘンですが、見た目も食感も全く新しいスタイルとしてオリジナル製法でバウム革命を実現させた、サクサクモッチリとした食感が特徴の【クリスピーバウムクーヘン】が金賞を受賞。

株式会社ミツトヨフーズ:さしみゆば(金賞 受賞)

食を通じ社会に貢献する株式会社ミツトヨフーズは、世界食品コンクール(モンドセレクション)において「さしみゆば」が金賞と「味付小巻ゆば」が銀賞のダブル受賞をいたしました。モンドセレクションの歴史の中でゆばの金賞受賞は初めての受賞になります。

食品部門の初出品で最高金賞の受賞率が約3%という狭き門の「モンドセレクション」。2017年に受賞した商品には、身近なコンビニ商品から和食の食材を使った商品など多彩な商品がありました。これからも「モンドセレクション」受賞商品に注目ですね。