特集2017年5月14日更新

なぜ問題に?解決策は?チケット転売問題

以前より問題になっているコンサートやイベントなどの「チケット高額転売問題」。ここに来て各団体やアーティストらが声をあげ始め、議論が白熱しています。チケット転売の問題点や現時点での対策についてまとめました。

「チケット転売」の対策に動き出した音楽業界

2016年8月に出された声明をきっかけに議論が盛り上がる

ネットオークションの普及により、以前よりジャニーズをはじめとした人気アイドル、人気アーティストのライブやイベントのチケットをめぐる高額な転売が問題視されていましたが、より一層議論が盛り上がるきっかけとなったのは、昨年8月、複数の音楽関連団体、国内アーティストなどがチケット高額転売に反対する声明を発表したことです。

「コンサートのチケットを買い占めて不当に価格を釣り上げて転売する個人や業者が横行している現状に、私たちは強い危機感を持っています。これらの組織的・システム的に買い占めるごく少数の人たちのために、チケットが本当に欲しい数多くのファンの手に入らないことに強い憤りを感じています。転売サイトで、入場できないチケットや偽造チケットが売られるなどして、犯罪の温床となっていることにも憂慮しています」

声明発表の要因は「チケットキャンプ」登場の影響?

声明が発表された要因について転売問題に詳しい有識者は、チケット売買仲介サイト「チケットキャンプ」の登場が大きいと指摘。従来のオークションサイトでの転売には詐欺などのトラブルに巻き込まれるリスクがあった上に、購入する側にも後ろめたさや罪悪感があったといいますが…

『チケットキャンプ』が登場し、大量のテレビCMを放映したことで、チケット転売が健全で、安心して行えるものだというイメージに変わってしまった。そのため、転売チケットを購入するユーザーがぐっと増えて、転売屋が転売目的で購入したチケットを、より売りやすい状況にしてしまいました

チケット転売問題に対し声をあげた芸能人

上記「チケット転売問題」サイトの「賛同アーティスト」には170組を超える多数のアーティストが名を連ねていますが、これに加えて自ら積極的にメッセージを送っているアーティストもいます。最近の記事を中心に、その一部を紹介します。

山口一郎(サカナクション)

先月の21日、「ライブ・エンタテインメント議員連盟」会長の石破茂衆議院議員などが出席したチケット転売問題の報告会に、アーティスト代表として「サカナクション」の山口一郎が出席しました。

山口は「僕たちを支えてくれているファンの方が一番被害に受けている。チケットは、演出や場所の価格など細かいことを考えて決定している。それを何も関係のない方がその何倍、何十倍の価格で転売して利益を得ていて、ミュージシャンとして許せない」と強い憤りを口にした。

YOSHIKI(X JAPAN)

こちらも先月の話で、「X JAPAN」のYOSHIKIが25日、反対声明に賛同すると発表しました。

「自分にとってライブは、ファンとのコミュニケーションが取れる、とても貴重で大切な場所。一部の心無い人達の行為によって、純粋に音楽を楽しもうとしている最愛のファンが傷付くのは、許される事ではない」と声明を発表している。

TAKUYA∞(UVERworld)

「UVERworld」のTAKUYA∞は、上で紹介した「ライブ・エンタテインメント議員連盟」の報告会において、書面でチケット高額転売の解決を訴えたアーティストのひとり。そのTAKUYA∞は、昨年3月にライブチケットを転売屋から自ら購入し、手渡しに来た相手に直接会って叱責したことが話題となりました。

TAKUYA∞は待ち合わせ場所で転売主とコンタクトをとったようで、現場でブチ切れ。『二度と俺らのチケットに触れんじゃねえぞ!』と説教したとのこと。最終的に転売主は彼らのバンドのチケットを二度と転売しないことを約束したそうです。

「チケット転売」の問題点とは

「転売」の何が問題なのか?

「チケット転売問題」サイトの声明で指摘されているチケット転売における問題点をまとめると、以下のようになります。
・チケットが本当に欲しいファンの手に入らない
・転売では偽造チケットが売られるなど犯罪の温床となっている
・高値転売でファンの経済的負担が増えてグッズ購入機会などが奪われている

「主催者は1円も得せず」アーティストにも還元されない

 興行関係者は「主催者としては、正規の値段で、本当のファンにチケットを買って見てもらいたいもの。でも、転売で荒稼ぎしたいヤツらが数十倍の値段で転売し、どうしても見たいファンは泣く泣くその高値で買い取る。主催者は1円も得するわけではなく、主催者のせいで悪人が暴利をむさぼるだけという状況です。それを打開する手段が、電子チケットだったはずなんです」と言う。
チケットの高額転売によって利益を得るのは転売屋と、取引の際に手数料を徴収する転売サイトのみ。ファンは高額を支払うが、そのお金がアーティストに還元されることはない。

「完売」なのに当日ガラガラになることも

アメリカで人気の歌手・リアーナが、ロンドンのウェンブリー・スタジアムで行ったコンサートで、チケットが完売しているにもかかわらず、半分ほどが空席となり、大きな話題になった。転売屋がチケットを買い占め、高値で売りに出したところ、売れ残ってしまったため、このような事態が起こったと考えられている。

声明に対し批判や疑問の声もあがる

ネットから困惑の声も

twitterには「高額転売に反対します←分かる、本人名義じゃない奴は全員高額転売だ←分からない」「こんな意見広告だすぐらいならそのお金デジタルチケットのインフラ整備に充てた方が…」「定価〜定価以下譲りや交換が認められないのは厳しいなぁ」といった困惑の声も多く投稿された。

「転売はむしろ本当に欲しいファンにチケットが行き渡る」

転売反対の声明に対して大阪大学の大竹文雄教授は、「転売はむしろ本当にチケットが欲しいファンにチケットが行き渡るのに役立つ」と指摘しています。

「アーティストにとっても、大したファンでもないのに、偶然チケットの抽選に当たった人たちがコンサート会場に交ざっているよりも、熱烈なファンでコンサート会場が埋め尽くされている方がうれしいのではないだろうか」(大竹氏)

取引経験者「高額を払ってでも『観たい!』という気持ちが…」

「ファン心理につけ込んだチケット詐欺はもちろん許せませんし、当然、正規の販売方法で、定価で買いたい気持ちはあります。しかし、倍率が高く、チケットを取ることができなかったときや、ステージに近い席が売られていたら、高額を払ってでも、『行きたい! 観たい!』という気持ちが働き、売買サイトを利用してしまうこともあります……」

「転売対策」に賛成は73%

声明が出される前の昨年4月にORICON STYLEが行ったアンケートでは、「コンサートチケットの転売対策が厳しくなることについてどう思いますか?」という質問に「賛成」と答えた割合は72.6%と、「反対」を大きく上回る結果が出ています。

「善意の譲渡の道筋をつけないと根本的な解決にならない」

自身も約20年のジャニーズファンで「ジャニヲタ」に関する著作も多数ある「みきーる」さんは、転売反対運動を「すばらしいこと」としながらも、ファンならではの意見を投げかけています。

この問題は“善意の譲渡”や“相互扶助としての交換”の道筋をつけないことには、根本的な解決にならないのが実情です。
(中略)
「この日はダメになったけど、翌日なら行けるから交換したい。大好きな彼に声援を送りたい」「どうしても行けないから、値下げしても誰かに見てほしい。自担(応援しているメンバー)のためにも空席を作りたくない」
 そんな、切なる気持ちでチケットをやりくりするファンもたくさんいます。

声明は「高額転売」「儲けを得る」とこへの問題提起

転売反対の声明は、チケットを個人間での売買を否定するものではなく、二次流通サイトを悪用して儲けを得ることへの問題提起であるといいます。

「『チケットキャンプ』などのサイトを利用するユーザーの気持ちは、正直よくわかります。日本は米国などに比べてチケットに関する施策が遅れており、ユーザーの気持ちを汲み取って、よりよいチケット購入のシステムを作るのが急務だと思っています」

転売者や転売サイトの関係者の意見

転売者「需要と供給のバランスが取れているからやっているだけ」

直撃取材に応じた転売者たちは「需要と供給のバランスが取れているからやっているだけ」「欲しいなら高い金を出してでも買えばいい」「行きたい気持ちをお金で表すことも1つの形だと思う」と、特に罪悪感は持っていないようす。

転売サイト運営会社「高額でも正当な商取引であれば全く問題ない」

チケット転売サイトの運営会社社長である西山圭氏は、「モノの値段、サービスの値段はサービルを受ける人が決める。いくら高い値段がつこうと、それが正当な商取引であれば全く問題がない」とコメント。

どんな「転売」が法的に問題になる?

「転売」の中でも、行けなくなって友人に譲る、SNSなどで知り合ったファン同士で譲り合う、といった行為まで「犯罪」とは聞きません。では、どのラインから違法な転売となるのでしょうか?
チケット転売を取り締まる法令としては、各都道府県が定める迷惑行為等防止条例があります。

 現在、ダフ屋行為は大半の都道府県の迷惑防止条例で禁止されている。「転売目的でチケット類を公衆に対して発売する場所において購入する」「公衆の場で、チケット類を他者に転売する」のどちらかにでも当てはまれば刑事罰の対象となる。迷惑防止条例のない県では、物価統制令を根拠に取り締まっている。

ただし「公共の場」について、ネットオークションが「公共の場」かどうかの法的な解釈は定まっておらず、チケットを大量に購入するなど、転売目的が明確でないと逮捕されにくい傾向があるといいます。

古物営業法違反(無許可営業)で逮捕された例も

昨年9月、アイドルグループ・嵐のコンサートチケットを無許可で転売した女が古物営業法違反(無許可営業)の疑いで逮捕されました。そして、「開演前のチケットが古物?」「古物商の免許があったら転売していいの?」といった疑問が出て話題となりました。

チケットのような新品のチケットでも売買、譲渡が行われたものは「古物」に該当し、この取引を「業」として、営利目的で反復継続して行うには「許可」が必要で、無許可で行うと罰則(3年以下の懲役または百万円以下の罰金)あります。(古物営業法2条、3条、31条)

ただ、盗品の売買防止という古物営業法の趣旨からすると「微妙な部分もある」といい、この逮捕劇はレアケースのようです。

チケットを転売した人が、古物営業法で逮捕されるのは珍しいことです。今回のケースは「無許可で金券ショップをやってしまった」と考えると分かりやすいでしょう。

いずれにしても「転売屋と熱心なファンとの違いを見分けることが困難」などの理由もあって、警察などが転売を「犯罪」として取り締まるのは難しいのが実情のようです。
そして、悪質な転売屋が入り込む余地のないチケット販売システムを構築するなど、主催者側が対処するしか有効な対策はないと指摘されています。

高額転売を防ぐ対策

先の声明を発表しているサイトには、「チケット転売問題に対する我々の取り組み」として、転売行為への対策は会員登録から入場(本人確認)に至るまでの全体サイクルで捉えて対応していく、としています。また、以下のような具体的対策を例示しています。

・会員登録の厳格化(多重登録の防止等)
・不正購入情報の関係者間情報共有(個人情報を除く)
・電子チケットの導入による本人確認の厳格化
・オフィシャル再販(リセール)サービスの順次導入

リセールサービスの充実

急きょコンサートに行けなくなってチケットを譲りたい人や、チケット販売期間が終了してからコンサートに行きたくなった人を救う方法として、公式のリセールサービスの充実が最も望ましい施策といえます。
公式リセールについては、すでにももいろクローバーZなどがファンクラブの会員同士でチケットを定額譲渡するシステムを作ったり、THE YELLOW MONKEYやUVERworld、コブクロといったアーティストの公演でもスタートしています。

本人確認の厳格化

チケットを購入した本人しか会場に入れないようにすれば転売は難しくなります。そこで、本人確認を厳格化することも転売対策として有効な手段といえます。
これまでも入場の際に運転免許証や保険証などで本人確認を行うイベントは多かったものの、顔写真がない保険証や住民票を偽造したり、貸し借りをすることで意味をなさないことが問題となっていました。

これに対抗するのが、最新の顔認証システムだ。まず、チケット購入時に顔写真を登録。イベントの入場時に専用端末で顔画像を読み取り、事前に登録した顔写真と照合して、本人確認を行う仕組みだ。すでにももいろクローバーZやMr.Children、B’z、福山雅治などが導入している。

電子チケットの導入

本人確認の厳格化と併せて語られているのが電子チケット(デジタルチケット)の導入です。

中でもユニークで画期的なのが、コブクロやサカナクションなどが取り入れている電子チケットアプリ・EMTGチケットだ。スマートフォンのチケット画面に専用の電子スタンプを押すと、入場済のマークがスマートフォンに現れる。専用の電子チケットアプリを起動しなければスタンプが押せないため、これまでのQRコードを使った電子チケットで問題となっていた画面のスクリーンショットや画像転送などの不正行為についても防止することができる。

電子チケット化で「なくなってしまうもの」も

前述したジャニーズファンの「みきーる」さんは、電子チケット化に伴って「ジャニヲタが沈む」ポイントを指摘しています。それは「半券が残らない」ことだそうです。

 この“半券”こそは、ヲタにとって大事な宝。
 どうしても原本を持っていたい人は、一緒に入った友だちには、半券のカラーコピーをあげたりするほどです。
(中略)
 こうした半券を手にすると、「立見席で泣くかと思ったけど、このとき玉森くんのサインボールが取れたんだよね」とか、「このチケ取ってくれたミカ、卒業以来会ってないけど元気かな……?」とか、いろんな思いがこみ上げるのです。

この懸念に対する答え…となるかは個人の判断になると思われますが、電子チケットアプリ「EMTGチケット」には、次のような機能も用意されています。

 電子チケットがいくら便利でも、コンサートに行った記念になるから紙のチケットのほうがいいという人もいるだろう。そういった思い出を残したい人のために用意されているのが、『メモリアルコレクション機能』だ。参加したライブの曲順や、ライブ終了後の本人からのコメント動画、ライブレポート、来場のお礼メールなどをパソコンやスマートフォンから楽しむことができる。

増える電子チケットサービス

ここ1年ほどで「EMTGチケット」以外にも続々と電子チケットサービスが誕生しています。

定価でチケットを譲り合う「チケトレ」が6月オープン

先月末にはコンサートプロモーターで構成される業界団体「コンサートプロモーターズ協会」が、チケットの定価取引を仲介するサービス「公式チケットトレードリセール」(チケトレ)を6月1日にオープンすると発表しました。現在はプレオープンとして公開されています。

 チケットを購入したが行けなくなった人が、行きたい人に定価でチケットを譲れるマッチングサービス。コンサートプロモーターズ協会(ACPC)が開設し、ぴあが運営を担当する。

しかし、手数料に「高すぎ」の批判も

「ぴあ」「ローチケ」など従来のチケット販売サイトの手数料は、条件によって多少変動しますが、購入者はシステム利用料として1枚につき216円、紙券を発券の場合は1枚につき手数料108円などがかかります。配送や先行予約、決済手段などの諸条件によってはさらに手数料がかかる場合がありますが、チケット1枚につき324円プラスアルファ、購入金額に関わらず一律です。
「ヤフオク!」「チケットキャンプ」のようなオークション・フリマサイトでは出品者は落札額の8〜10%の取引利用料がかかり、落札者には基本的に手数料や利用料といったものはかかりませんでした。
それに対し、「チケトレ」では下記のように出品者・購入者双方に手数料が必要となります。例えば、5000円のチケットだと出品者は500円+380円で880円、購入者は500円+150円で650円の手数料がかかることになります。「ヤフオク」だと上記で説明したように、出品者は最大500円、購入者に手数料は必要ありません。
ネットの反応を見ると「ライブにいけなくなったからチケットを手放すのに、手数料が必要になるなんて出品者にメリットがない」という批判の声もあり、このあたりは今後の課題となりそうです。

 手数料として、出品者からはチケット券面金額の10%(3999円以下は一律400円)と、1回の取引当たり380円の送金手数料を、購入者からはチケット券面金額の10%(3999円以下は一律400円)の取引手数料と、チケット券面額の3%の決済手数料を徴収する。オープン当初のキャンペーン期間は、出品者の取引手数料のみ0%になる(料金はすべて税込)。

運営は「コストがかかり、ギリギリの金額」と説明

手数料が高いという批判に対し、「ねとらぼ」が「チケトレ」を運営するチケットぴあに質問をしたところ、ぴあ側はコストがかかるためと説明しています。また、オークション・フリマサイトなどでは金額が大きくなるため、その分手数料が膨らむことも考慮して欲しいとも。この説明が利用者に浸透(して納得)するには、少し時間がかかりそうです。

 ぴあ広報部は手数料の設定について、「サービスを運営するコストを考えた結果、こちらの価格となりました。大きなシステムで、本人確認として利用者には身分証などの写真を送ってもらい、それをこちらで手動で確認したり、ぴあ以外にも他社のチケットを多種類扱ったりと、コストも大きくかかっています。むしろこれほどの手数料ではなくては運営が回らないという、ギリギリの金額に設定しています」と説明しました。

ジャニーズは電子チケットと顔認証を導入

多数の人気アイドルグループを抱えている分、コンサートを開催するたびに転売問題が話題になるジャニーズは、電子チケットや顔認証の導入に積極的です。

 ジャニーズとして初の電子チケットを取り入れたのは、関ジャニ∞の渋谷すばるのソロライブ。嵐が2016年のアリーナツアーから電子チケットと顔認証を取り入れた。
 2017年にはKis-My-Ft2のアリーナツアー、ジャニーズJr.祭り追加公演、ジャニーズ大運動会が電子チケットだ。
申込時に顔写真を登録し、当選者にはQRコードのついたデジタルチケットを送付。当日の受付では事前に登録した顔認証と本人確認を行い、入場が許可されるという流れです。

しかし転売はなくならず…

「転売防止の目的で電子チケットを導入したのですが、入場するときに会員証や身分証明書のチェックがないので転売はなくならないと思います。当選者には整理番号とQRコードを表示させるURLが送られてくるのですが、ネットオークション全盛の時代、それを転送すれば売買が成立してしまうのです。唯一、効果があるのは、チケットショップで転売できなくなったぐらいでしょう」(同関係者)
転売対策は万全のはずでしたが、公演の1カ月ほど前にはチケット売買サイトで1枚20~40万円台の高値でやり取りされていました。

4月にはチケット発券をめぐるトラブルも発生

4月8日、さいたまスーパーアリーナで開催された「ジャニーズJr.祭り」においてチケット発券をめぐるトラブルが発生。現地の混乱した状況が続々とSNSで報告され、「デジチケ」「たまアリ」など関連ワードがTwitterのトレンド入りするなど大騒動に発展しました。

チケット転売対策として導入されたQRコードを読み込むタイプのデジタルチケットを巡り、トラブルが発生した。一部、来場者が入り口でQRコードをかざして入ったものの、会場内には指定された座席が存在していなかったのだ。

さらなる対策のアイディアや今後の課題とは?

昨年10月に放送されたNHK「クローズアップ現代+」に出演したジャーナリストの津田大介氏と弁護士の福井健策氏は、今後の課題について以下の3点をあげています。
・「本人確認」の徹底
・「高額転売」の法規制
・「価格の弾力性」をつける

チケットの価格差をつけて「プレミアシート」を作る

「クローズアップ現代+」でも指摘された「価格の弾力性」については、元2ちゃんねる管理人で知られる西村博之氏も言及。西村氏は“ホリエモン”こと堀江貴文氏との対談で海外アーティストのチケット販売事情を絡めつつ、「数十万円のプレミアシートを作ってダフ屋が儲けている分をライブの制作費に回そう」と提案しています。

ひろ まず、解決策として考えられるのはチケットの価格差をつけたり、プレミアシートを用意したりすること。そして数十万円のチケットの代わりに、ステージからめっちゃ遠いけど若いコ向けに激安のチケットをつくるっていうのもありですよね。

ライブチケットの価格設定については、「さまざまな思惑も絡む」という記事もありましたので紹介しておきます。

『ファンに申し訳ないから、チケットは高くしたくない』というアーティストもいる。そんな日本的なマインドまで反映された値段なのです

「あっちゃんカッコいい!」オリラジ中田が転売撲滅に挑戦

チケットの転売問題は音楽業界だけの話ではなく、お笑いライブでも横行しているといいます。
そんな状況を憂いたオリエンタルラジオの中田敦彦が最近「転売撲滅」を宣言して話題なったことを最後に紹介します。

4月15日にブログで転売チケットの撲滅を宣言

「しかし次のライブは、絶対に転売屋が介入できない仕組みを作る。私はそう決意した。5月にもう一度ライブをやる。全てを解決してみせる」と転売屋との徹底抗戦の構えを宣言。

ファンからは称賛とエールの声

この勇気溢れる行動と呼びかけにファンからは「あっちゃんかっこいい!と素で叫みました」「応援しています!!」「みんなの気持ちを代弁してくれて嬉しいです」など称賛とエールの声が寄せられている。

4月25日、転売撲滅の構想を公開

問題に対して中田さんは、チケット数に制限を設けない「ジャスト・キャパシティ・システム」という案を提唱。これは会場のキャパを決めずにチケットを販売するというもので、事前にキャパの異なる会場をキャンセル料なしという条件でいくつか仮押さえした上で、初動を見てから会場を決める方法。

今度は解説の「分かりやすさ」に感動の声

これに賛同するファンがSNSで「あまりにも分かりやすい文章そして、図解、対策の発想と行動する熱意に感動する」「分析力、判断力、決断力どれもすごい」「転売の何が悪いの?転売でもアーティスト側にお金が入っているのでは?という方に是非読んでほしい」と拡散が広がっている。

4月28日、「ジャスト・キャパシティ・システム」を補強

25日に公開した「ジャスト・キャパシティ・システム」に対するファンからの意見を受けて、補足事項や質問に対する答えをQ&A方式で投稿。さらに、「新たな改善案やヒントなどをいただけるとありがたく思います」とし、今後も経過報告をしていく方針を語っています。


「チケトレ」のスタートにより、業界がいよいよチケット高額転売対策へと本腰をあげた感がありますが、まだまだ問題は山積していそうです。「本当に欲しい人に」「適切な価格で」チケットが行き渡るようになるのはいつのことでしょうか。