特集2017年6月26日更新

デビュー以来無敵の快進撃!棋士・藤井聡太四段

1人の若き将棋の棋士が、大きな注目を集めています。藤井聡太四段、14歳。昨年、史上最年少でプロ棋士となると、デビュー戦から破竹の快進撃で連勝街道をひた走り、ついに歴代単独1位となる29連勝を達成しました。この記録はどこまで伸びるのか?そして彼の強さの秘密は?その足跡を追ってみました。

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名人戦第2局の見どころについて語る石田和雄九段=千葉県柏市の柏将棋センターで2024年4月12日午後2時26分、松尾知典撮影

「藤井名人は大山十五世名人に似てきた」 石田九段が語る第2局展望

毎日新聞 / 2024年4月19日 7時15分

藤井聡太名人(21)に豊島将之九段(33)が挑戦する将棋の第82期名人戦七番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第2局が23、24の両日、千葉県成田市の成田山新勝寺で行われる。名人戦は将棋界最高峰のタイトル戦で、県内での開催は2014年以来10年ぶり。 [全文を読む]

歴代単独1位の29連勝達成

10代対決を大逆転で制す

将棋の最年少棋士、藤井聡太四段(14)が26日、東京都渋谷区の将棋会館で竜王戦決勝トーナメントに臨み、増田康宏四段(19)との10代対決を制した。自らの持つデビューからの公式戦連勝記録を伸ばし、公式戦の新記録となる29連勝を達成。昨年12月の初対局から快進撃を続ける中学生棋士が金字塔を打ち立てた。
竜王戦は8大タイトル戦の1つ。振り駒の結果、先手は藤井四段。戦型は「居飛車」となった。この日の昼食には「豚キムチうどん」を注文した。中盤の苦しい展開をしのいだ藤井四段は、一気に攻勢をかけ大逆転劇を演じた。

「家族と師匠に連絡したい」

次戦は7月2日、区切りの30連勝を懸け同トーナメントで佐々木勇気五段(22)と対戦する。「次の相手も強敵なので教わる気持ちで全力でぶつかりたい」と謙虚な姿勢は変わらない。それでも「うれしい気持ちを誰に伝えたいか」と問われた際には「家族と師匠に連絡したい」と、中学生らしい表情を取り戻していた。

師匠である杉本昌隆七段のコメント

師匠・杉本昌隆七段「竜王戦本戦という大舞台で神谷八段の記録を抜く29連勝は驚がくです。師匠の私も至福の時間をもらいました。28連勝を達成した帰り道、いつもと同じようにずっと将棋の話をしていたのが印象的で、このとき、29連勝を確信しました」

28連勝の軌跡

史上最年少、中学2年・14歳2カ月でプロ棋士に

3日、将棋棋士養成機関である奨励会の三段リーグ戦が行われ、14歳2ヶ月の藤井聡太三段が最終局に勝利。リーグ1位となり、四段昇段が決定した。これにより史上最年少プロ棋士としてデビューすることに。
14歳2ヶ月という記録は「神武以来の天才」といわれた加藤一二三九段を62年ぶりに更新するもので、羽生善治三冠をも超えているだけに、ファンに驚きが広がっている。

プロデビュー戦で「元祖神童」加藤一二三九段に勝利

史上最年少でプロ棋士となった藤井四段のデビュー戦の相手は、藤井四段の前の最年少記録の持ち主にして、現在は最年長棋士でもある加藤一二三九段と対戦。その年の差は実に62歳、大きな注目を集めました。

この対戦は、急遽生中継が決まるなど大きな注目を集めました。

藤井四段を強く意識していた加藤一二三九段

加藤一二三九段はプロデビュー前から藤井四段に注目した発言をしており、合格の瞬間、喜びのあまり流血するほどだった模様。

無敵の快進撃、デビュー以来の連勝新記録達成

加藤一二三九段に勝利しデビュー戦を飾った藤井四段はその後も連勝を続けます。従来のデビューからの連勝記録である「10」をあっさりと塗り替えた後も、ここは単なる通過点とばかりに軽やかに連勝街道をひた走ります。

ついに歴代ベスト10入り!18連勝達成

竜王戦の本戦行きを決める19連勝!初賞金もゲット

「最上位の1組から6組まで優勝賞金は異なります。1組が450万円、2組が350万円、3組が250万円、4組が200万円、5組が150万円。藤井四段が手にした6組の賞金は90万円です」(前出・週刊誌記者)

“羽生超え”23連勝から27連勝まで

23連勝

 午前10時から始まった都成竜馬四段(27)との1回戦、午後1時からの阪口悟五段(38)との2回戦を突破し22連勝。迎えた宮本五段との3回戦は、相穴熊で進み、最後は互いに秒読みとなる中、宮本五段の粘りを振り切った。
 2日の棋王戦予選第6組決勝で澤田真吾六段(25)下し、連勝を20としていた藤井四段。この日、連続白星を一気に3つ重ね、羽生3冠ら3人の持つ22連勝の記録を上回った。

24連勝

 段位別予選は持ち時間1時間。中盤まではほぼ互角に進んだものの、終盤に入ると藤井四段が優勢。その後、互いに持ち時間を使い果たし秒読みに入ったが、藤井四段が粘る梶浦四段に勝ち切った。
 藤井四段は「玉が薄かったのでまとめづらかった。途中ずっと自信がなかった」と振り返った。歴代2位タイの24連勝については「ここまで来られるとは思っていなかったので、信じられない気持ち」と話した。

25連勝

 午前10時にスタートした第1局の相手は新鋭の梶浦宏孝四段(21)。戦型は互いに大駒の角を取り合う「角換わり」で、藤井四段は中盤以降じりじりと攻め、終盤に受けた反撃も終盤力の強さを発揮して勝利した。終局後に「途中、自信がなく、難しかった」と語っていたが、危なげなく梶浦四段を破り、「自分でも信じられない」と笑みを見せた。
 午後7時からの2局目は、7日の対局で快勝した都成竜馬(となりりゅうま)四段(27)。新人王を獲得したこともある都成四段が得意とする「振り飛車」戦法も寄せつけず、破竹の勢いそのままに押し切った。
 終局後、藤井四段は「序盤から難しい将棋だったが、何とかよくなった」と語り、「1位の28連勝はまだまだ遠いので一局一局指していきたい」と気を引き締めていた。

26連勝

 初となる順位戦の舞台で、奨励会を一時退会してサラリーマンになった後に編入試験を突破してプロになった異例の棋士、瀬川五段と対戦。持ち時間が一人6時間という長丁場の戦いで、午前10時から13時間近い対局を制した。

6月17日、歴代2位の27連勝を達成!

大阪市で行われた朝日杯将棋オープン戦予選でアマチュア強豪を破り、デビュー以来の公式戦連勝記録を27に伸ばしました。これは歴代で2位の連勝記録となります。

 将棋の史上最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)が17日、大阪市内の関西将棋会館で「第11回朝日杯将棋オープン戦一次予選」に臨み、藤岡隼太アマ(19)に106手で勝利。自らの持つデビューからの公式戦連勝記録を27に伸ばした。

28連勝!30年ぶりの偉業を達成

 将棋の史上最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)が21日、大阪・関西将棋会館で王将戦1次予選に臨み、澤田真吾六段(25)に勝利。自らの持つデビューからの公式戦連勝記録を28に伸ばし、30年前に神谷広志八段(56)が打ち立てた最多記録に並ぶ偉業を達成した。

藤井四段「幸運です。ツキがありました」

「普段通りと思って」と臨んだ藤井四段。「序盤は攻め込まれましたが、なんとかしのいで反撃の形にもっていけてよかった」と一戦を振り返り、大記録達成には「思ってもみなかったこと。幸運です。ツキがありました」と笑顔もみせた。

羽生三冠「驚嘆の一語に尽きます」

藤井四段の偉業に対して、“将棋界のレジェンド”羽生善治三冠や28連勝の記録を持つ神谷広志八段らのコメントも届いています。

神谷広志八段 こういう日が来るかもしれないと考えていましたが、まさかデビューから無敗で並ぶ人がいるとは夢にも思いませんでした。将来のスーパースターと一瞬でも肩を並べることができてとても光栄です。

棋士・藤井聡太四段とは?

生年月日2002年7月19日 (14歳)
出身地愛知県 瀬戸市
棋士番号307
師匠杉本昌隆 七段

連勝記録を打ち立てた強さの秘密は?

文字が読めない頃から将棋に親しむ

将棋と出合ったのは5歳の夏。ゲーム好き、勝負好きの聡太くんのために、祖母の育子さん(74)が持っていた将棋駒を出したのだった。
「聡太はまだ文字も読めませんでしたが、駒は初心者のために、矢印で動かし方が記されていました。あっという間にルールを覚え、『おばあちゃんとやると簡単に勝てるから楽しい』と、どんどん上達していきました」

幼少時代に磨かれた「負けず嫌い」の性格

「家族とトランプをしていても、負けたらもう1回、と自分が勝つまで終わりませんでした。小さいころは将棋に負けると泣いたり怒ったりしていました」

小2でプロも参加の詰将棋大会に

 私が藤井さんに注目するようになったのは、プロも参加する詰将棋解答選手権に小学2年の彼が出場して、難問を解いていたと聞いて以来です。そんな小学生なんてこれまでいませんでしたから、知り合いの棋士に感想を聞いたら「彼は天才だよ」と即答され、これにも驚きました。社交辞令ではともかく、仲間内で滅多に使わない“天才”という表現で、才能を認めたのですから本物だと確信しました。師匠の杉本昌隆七段も「藤井には小学1年で初めて会った時から才能を感じた。ほかにはそんな子はいない」と言っていました。

奨励会で6連敗した後、周りには見せない「悔しさ」が溢れた過去

「会館の中では悔しさを胸の内におさめていたんだと思いますが、私と一緒に会館を出たとたんに、もう大泣き。自信を失っていたんだと思います。でも、私は、聡太の気が済むまで黙って見守るしかありません。それでも一緒に悲しんでいるつもりなんですが、聡太は『お母さん、ボクが負けると機嫌悪いよね』って言うんですよ(苦笑)」

「将棋情報局」でのインタビューでプロでやっていける自信が付いたと語っています。

ラーメン大好き藤井四段

「若くして彼ぐらいのレベルであれば将棋以外の趣味を楽しむ時間は全くないでしょう。唯一挙げるとすればラーメン好き。そこだけは子供らしいなと(笑)」(前出・杉本七段)
藤井四段はというと、麺好きで知られることもあり、2017年5月25日の対局ではチャーシューメンを選択した。今最も注目されている棋士の食べたチャーシューメンに、多くの人が反応している。
藤井四段が食べたチャーシューメンは、千駄ヶ谷・将棋会館近くのラーメン屋の品......ではなく、蕎麦屋「ほそ島や」のもの。スポーツ報知の2017年5月25日付の記事によると、「昔から棋士たちがこよなく愛してやまない店」だという。

14歳・藤井四段の月収は?

14歳とは言え、将棋で収入を得るプロ棋士なわけですから、どのくらい稼いでいるのか、気になります(よね?)。「アサ芸プラス」によると、現在は月収50万円(!)くらいで、これに賞金などが加算されるのではとのこと。

「プロ棋士は将棋連盟からの基本給がありますが、藤井四段のようなプロ成り立てのランクでは月に15万円ほど。さらに対局のたびに対局料が入ります。また、藤井四段は公式戦以外に羽生善治三冠との非公式の対局なども行なっていて、現在のところ月収は50万円くらいではないでしょうか」(スポーツ紙記者)

また、いくつかの記事で棋士の収入事情について解説していますのでこちらにも参考に。

始まった“藤井聡フィーバー”

藤井聡太グッズが人気に

「将棋連盟が四段の棋士のグッズを売り出すのは、15年に編入という形で試験合格した今泉健司四段がプロ入り記念の際に扇子を販売したことはあるものの、極めて異例。藤井四段はこれから段位を上げていくことが確実で、タイトル獲得が期待できる存在ですから,グッズが人気となるのは当然のことでしょう」(週刊誌記者)

幼少期に遊んでいた玩具も注目される

そんな藤井四段が3歳の頃に遊んでいたという『Cuboro(クロボ)』に改めて注目を集めています。
スイス発の知育玩具『Cuboro』は、キューブ型ブロックに溝や穴があり、ビー玉が通る道を作ることができます。うまく積み上げることができれば、上から下までビー玉が落ちるようになります。これにより、三次元の構成力や論理的思考力、そして集中力を養うことができます。
藤井四段の活躍もあってか、『Cuboro』スタンダードセットは『Amazon.co.jp』では正規輸入品が2018年1月20日まで入荷待ち。よりアイテムの少ない「ベーシス」も2018年1月12日からの発売となっています。その他の通販サイトでも軒並み予約分が完売しており、一部ではスタンダードセットを約35000円のところ倍近い値段で売るショップも現れています。

リアル「3月のライオンの桐山零」と話題に

将棋を題材にし、アニメ化・映画化もされた「3月のライオン」の主人公・桐山零は藤井四段と同じく、中学生でプロ棋士になっています。実際のプロ棋士も両者に共通するものを感じているようで、「ガジェット通信」の「3月のライオンの登場人物を実在の棋士に例えると」という企画記事でも、藤井四段の名前があがっています。

というわけで、映画の撮影でも将棋監修を務めた指導棋士・田中誠さんに、映画『3月のライオン』の登場人物を実際のプロ棋士にわかりやすく例えてもらいました!

【桐山零→藤井聡太四段】
(現役最年少プロ棋士、中学生でプロとなった)
例えるならば、藤井聡太四段でしょうか。(連載当時、藤井四段は将棋をはじめていませんが、現実が漫画を追い越しました)
佇まい指し方は、豊島将之八段を元にしており、映像参考資料としても使用しました、棋譜も多く取って来ています。でも、それ以上に神木さんの桐山零くんは将棋指しっぽい雰囲気を出しておりました。

「桐山零」を超えた?原作者も認める


昨年から「聖の青春」「3月のライオン」といった将棋を題材にした作品の映画化・アニメ化が続き、佐藤天彦新名人の誕生、スマホによる不正疑惑騒動など、良くも悪くもニュースが多かった将棋界。藤井四段のニュースは、その中でもダントツに明るいニュースと言えそうです。今後どのような成長をして、どんな将棋を見せてくれるのか…楽しみです。また、これを機会に将棋に興味を持ってくれる人が増えるといいですね!

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