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「オッペンハイマー」全4フォーマット制覇レポート 迫力のIMAX®、繊細なDolby Cinema®、丸ごと贅沢な35mm、回数観るなら通常DCP版

映画.com / 2024年4月5日 12時0分

 そして、音響システムも別格だった。核実験のシーンや、聴衆が足踏みするストンプ・ショットでは、劇場の床やシートの背もたれまで振動が伝わり、低音の響き方は他の追随を許さない。とにかく画面からの情報量が多く、画と音を浴びるような体験だった。上映終了直後、会場のあちこちから拍手が起こっていたのも印象的だった。

●Dolby Cinema®:サウンドの位置、黒の具現化に説得力 人影とその動き&皮膚の質感がリアルに描写されていた

 池袋の後は有楽町に移動して「丸の内ピカデリー」のDolby Cinema®。初めて体験したが、HDRの密度の高い映像と、天井にも設置されたスピーカーによって、リアルな映像体験が可能になった、というのがこの劇場の持ち味だ。

 本編上映前のデモ画面でも、サウンドの位置、黒の具現化に説得力があった。この環境を作り出すため、座席数も減らし、映画館を丸ごと作り変えたそうだ。確かに席の間隔も通常の映画館よりゆったりしている。そしていよいよ上映開始。

 冒頭から雨粒や風の音、人の息遣いなどが独立して聞こえてくる。これがDolby Cinema®かと感心した。重低音はIMAX®に軍配が上がるものの、セリフの聞きやすさはDolby Cinema®も負けてはいない。

 また、夜間のシーンでは暗闇に浮かぶ人影とその動きが、フローレンス・ピューが登場する場面では、皮膚の質感がリアルに描写されている。そういった何気ないシーンが精緻に表現されており素晴らしかった。画角は劇場に問い合わせたところ1.85:1のビスタサイズとのこと。

●通常DCP版:少しでも広く観られるような工夫――“発見”は少ないが、リラックスして鑑賞可能

 最後に観たのが通常フォーマットだった。映画館は「吉祥寺オデヲン」。昔からの古い映画館で先ごろ同様の吉祥寺プラザが閉館してしまったため、唯一の老舗劇場となった。日曜の初回ながら中高年を中心にほぼ満席だった。

 ここはスクリーンサイズを横に開くカーテンで調整する昔ながらの方式を採用しているのだが、そのカーテンを見ると予め設定されたシネマスコープ・サイズよりも内側に少し黒みが入っている。つまり、左右に少しマスクがかかっているのだ。

 ネットで調べてみると、通常DCP上映の画角は2.20:1となっている。つまりシネマスコープのサイズで上下を合わせているので、それぞれのサイドが若干狭くなっており、その分切り捨てられるはずだった天地の部分を、少しでも広く観られるような工夫がなされている。他のフォーマットに比べると発見は少ないものの、その分リラックスして鑑賞できた。

 上映フォーマットに関しては、やはり迫力の面ではIMAX®が圧倒的。一拍遅れて届く爆発音などは、ジャンプ・スケア演出を差し引いても、かなりの衝撃を感じさせる。

 そして、繊細なテイストで言えばDolby Cinema®だ。会話パートが多い登場人物も多い本作において、人物造形の妙や、時制を行き来する編集といった、ノーラン監督独自の演出を味わい尽くせる方式だと言えよう。

 レトロな風格といえば、やはり35mmフィルムだ。3時間の人間ドラマを贅沢なシートで楽しめて「映画を観た」という充足感に浸れるフォーマットだ。

 そしてこれらを体験した後、比較として通常形式のDCP上映を観ることで、今の映画館の進化ぶりがより明確に分かるようになっている。

 どのフォーマットにするか迷われている方、このレポートが皆さんの鑑賞の参考になれば幸いです。

 (取材・文/本田敬)

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