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沖縄国際映画祭、16回で幕 なぜ沖縄の人々の心をつかんだのか振り返る

映画.com / 2024年4月23日 16時0分

 1950年に開館した首里劇場は、2022年の金城政則館長の他界によって閉館。戦後沖縄の芝居小屋の息吹を現代に伝えてきた首里劇場の建物は、建築的にも文化的にも非常に価値が高く、建築、映画関係など各分野の専門家が集結した「首里劇場調査団」がその建物の保存に向けて調査・研究が進められたが、2023年秋には建物は解体されることとなった。首里劇場調査団で副代表を務める平良氏は、このプレイベントで「ここ数年は沖縄も再開発がすごくて。歴史的な面白い建物であってもどんどん取り壊されていって。沖縄の戦後史がぞんざいに扱われているなと思っていた。その歴史のひとつが首里劇場だった。それだからこそ、こだわりがあった」と活動への思いを語った。

 そして20、21日は映画祭本番。「沖縄国際映画祭」を語る上で、映画祭の名物プログラム「デジタルで甦る8ミリの沖縄」は欠かせない。8ミリフィルムの収集と公開を手掛ける沖縄アーカイブ研究所の真喜屋力監督と、『一生売れない心の準備はできてるか』の當間早志監督が仕掛ける本プログラムは、沖縄の人々が撮った8ミリ映画や、沖縄で撮影された劇映画の一場面などを紹介し、それがどこで撮られたのか、現在はどうなっているのかなどを、グーグルストリートビューや、実際に現場に足を運んで同じ角度で撮影した写真、地図などを駆使してプロファイリング化。その調査報告、比較映像などを楽しむ観客参加型の人気プログラムとなっている。上映会は非常にアットホームな空間で、壇上で話が進む最中に客席からも「あそこには○○があった」「それは○○のことだと思う」といった声が自由に飛び出すこともしばしばだ。

 この日も、ある映像に映り込んでいた存在感のある男性が、実は沖縄出身の名優・津嘉山正種の若き日の姿であったことが明らかになるなど、何が飛び出すか分からないのもこのプログラムの魅力。スペシャルゲストとして参加していた板尾創路も「最初はどういう上映会なのか想像もつかなかったけど、普通に親戚が集まってみんなでワイワイ言っているようなゆるい感じが楽しかった。沖縄の人間じゃなくても楽しめたし、こうしたアーカイブは貴重な財産になるので、ぜひ続けていってほしいなと思います」と期待を寄せていた。

■海外からのゲストも参加

 島で行われる“国際映画祭”ということで、海外ゲストの招へいにも積極的に取り組んでいた。沖縄国際映画祭の審査委員長や名誉顧問などを務めたこともある“釜山映画祭の父”キム・ドンホ氏は、過去に悲しい歴史を持つ沖縄という地に映画祭ができたことが「むしろ遅すぎたくらいだ」と語り、映画祭とは「人の感情を慰め、楽しませる“遊びの場”であるのだから」と指摘していた。その他、思い浮かぶだけでも「ダラス・バイヤーズ・クラブ」のジャン=マルク・バレ監督、「バットマン」シリーズのジョエル・シュマッカー監督、ニック・フロストやジョニー・ノックスビルらが沖縄にやってきた。また映画祭の特長としてフィリピンやインドネシア、タイ、インド、韓国、中国などアジア圏の作品を積極的に上映しており、日本では観る機会の少ない作品に触れることができた。

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