発注先から「キックバック」の誘いがありました。生活がカツカツなのですが、受け取りがバレたら訴えられますか?
ファイナンシャルフィールド / 2023年12月25日 5時0分
ビジネスシーンにおけるキックバックは、謝礼金や報奨金を意味します。例えば、一定の営業実績を出した従業員に対し、売り上げの一部を還元するといった場面で活用される制度です。 しかし、会社が知らない場面でおこなわれる金銭のやり取りは、民事・刑事上の責任を問われる可能性があり注意が必要です。そこで本記事では、キックバックのリスクについて解説します。
キックバック自体に法的な問題はない
販売奨励金やインセンティブとして会社がおこなっているキックバックには、法的な問題はありません。例えば、自社の商品をより多く販売してもらうため、一定以上の売り上げを達成した販売代理店に対して、奨励金を支払うケースが挙げられます。
販売代理店は多く売るほど奨励金を得られるので、その商品の販促活動に力を入れるでしょう。あるいは、奨励金を商品価格の値下げに充てて消費者へ還元し、店舗集客につなげるなどの戦略もとりやすくなります。
このような目的でおこなわれるキックバックは、会社の業績や顧客満足度の向上に寄与するので問題はありません。では、不正なキックバックにはどのようなものがあるのでしょうか。
不正なキックバックの例
前述のような、会社の奨励策としてのキックバックではなく、担当者が独断でおこなうお金の還流は問題ありとみなされます。例えば、本来は100万円で受発注する商品で考えてみましょう。
これを会社に無断で110万円の取引をして、水増しした分を担当者へ還流する行為がキックバックです。このとき、本来は支払う必要のない10万円の損失を会社に与えています。このような行為は、詐欺や背任の罪に問われる可能性があるので、誘いを受けたとしても関わらないようにしましょう。
キックバックが会社に知られたときのリスク
キックバックによりお金を受け取ったとしても、内密にしていれば会社には気付かれないように思われます。しかし、いずれは会社に知られる不正行為であることを認識しておきましょう。
前項で挙げた例をとると、本来は100万円が相応な取引において110万円を支払っているため、使途不明な10万円が発生しています。このとき、会社の経理担当からは10万円の使い道を問われることになるでしょう。仮に経理担当をごまかせたとしても、税務署は受注・発注側双方の領収証や取引履歴などを照合し、使途不明金の存在を捕捉しています。
税務調査が入れば、キックバックによる取引が会社にも知られます。そうなれば、懲戒処分や民事・刑事上の責任を問われる可能性が高いでしょう。
金銭を受け取っていなくても背任罪になる
キックバックを受けるのが取引先の担当者であり、自分自身は金銭を受け取らないケースもあるではないでしょうか。しかし背任罪は、第三者の利益を図ることが目的でも成立します。不正な取引に関わっている時点で、何らかの処罰の対象となる可能性があるのでご注意ください。
働き方を変えることも大切
会社がインセンティブを正式に認めていれば、キックバックは正当な報酬になるので問題ありません。そこで収入を上げたい方は、インセンティブ制度がある会社への転職も検討してみてはいかがでしょうか。
インセンティブ制度が活用されているのは、主に営業職が中心です。広告業・保険業などの新規開拓が求められる分野や、医療機器・不動産といった高単価な商材をあつかう分野では、インセンティブ制度の活用は珍しくありません。
既存のやり方にとらわれず柔軟な発想ができる方、個人プレーを得意としている方は、こういった分野での働き方が向いている可能性があります。
まとめ
合法なやり方でのキックバックは、事業を拡大させる手段の一つとして有効なものです。しかし、私腹を肥やすための金銭の還流は不正行為とみなされるため、くれぐれもそのような取引には関わらないようにしましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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