長谷川博己「アンチヒーロー」は「VIVANT」超えの予感…リアタイ視聴者も“考察班”も掴むヒットの仕掛け
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月22日 9時26分
長谷川博己(C)日刊ゲンダイ
「光と影の使い方も凝っているなと思いましたね」(テレビ誌ライター)という声もある。14日にスタートした長谷川博己(47)主演のTBS日曜劇場「アンチヒーロー」。長谷川が“殺人犯をも無罪にしてしまう”ダークな弁護士を演じる完全オリジナルストーリーということ以外、ほとんど内容が明かされないまま迎えた初回の世帯視聴率は、11.5%の好発進だった(関東地区=ビデオリサーチ調べ)。
「偶然にも昨年7月期の日曜劇場『VIVANT』の初回と同じ数字です。やはり事前情報がないままスタートし、回を追うごとに“考察”が活発になり、視聴率も上げて大ヒットした。『アンチヒーロー』の初回は『VIVANT』よりも話の内容が掴みやすかったので、リアタイ視聴者を取り込みやすく、最終的には『VIVANT』が届かなかった20%超えもあるかもしれません」(前出のテレビ誌ライター)
初回放送後、ネット上では《冒頭の長谷川博己の長ゼリフから圧巻だった》《テンポもいいし、続きが気になる理想的な第1話》《キャラクターも話の流れもわかりやすく、それでいて予定調和を感じさせない、司法を扱ったエンタメとして見ごたえあり》《長谷川博己の代表作になる予感》などなど、リアタイ視聴者からの評判も上々だ。
同時に《主要な登場人物の名前に“色”が入っていて意味深》《ラスボスくさい検事の野村萬斎はラスボスではない》《堀田真由は中盤あたりで裏切りそう》……“考察班”の動きも活発になっている。
テレビコラムニストの亀井徳明氏は「来週が待ち遠しくなる連続ドラマの魅力をなんとか視聴者に届けようという、作り手の思いや工夫が感じられた」と、こう続ける。
「あまり深く考えずにストーリー展開を追うリアタイ視聴者層と、あれこれ考察して楽しむ“考察班”の、最大公約数的なところを狙ったバランスが絶妙なんですよね。とっつきやすいけど、一筋縄ではいかないという感じ。第1話で長谷川さんとスマホでやり取りする女の子、獄中の緒形直人さんが出てきましたが、この2人が最後までカギになるのかな。ただ、タイトルからしてもっと主人公が憎らしい感じかなと思っていたのに、そうでもなかったのはちょっと残念。ダークな雰囲気を漂わせつつも、初回から“優しさ”や“正義”がチラチラ見えて、その要素はもうちょっと話が進んでからでもよかったのに、と……」
番組公式サイトには《新たなヒーローがあなたの常識を覆す 逆転パラドックスエンターテインメント》とある。つまり、タイトルで“アンチ”をうたいながら、描くのは“ヒーローからのメッセージ”ということか。
前出の亀井徳明氏は「そう言うと、木村拓哉さんが“型破りな検事”を演じた『HERO』(フジテレビ)が浮かんじゃいますよね。だったら『アンチヒーロー』の最終回は、木村さんは無理でも『HERO』で検事を演じた誰かがラスボスで出て対決するのを見てみたいと、ふと思いました。たぶんないですけど」と笑う。
ながら見でも凝視でも楽しめる「アンチヒーロー」。25分拡大した第1話に続き、21日の第2話も15分拡大。「VIVANT」と同じプロデューサーがドラマファンに向ける仕掛けはどんなものになるのか?
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