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実家から出たことのない年金月8万円・66歳息子、90代両親のお金で遊び暮らしていたが…銀行からの〈まさかの宣告〉に唇を噛み、「父の死を待つほかない」【FPの解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月17日 11時45分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

親が必死で作った財産も自身の子供の代で食い潰されるというケースは少なくありません。親の資産で暮らす子供になってしまう原因は一体どこにあるのでしょうか。また、そうした子どもは、その後どのような人生を歩むことになるのでしょうか。本記事では、大橋健太郎さん(仮名)の事例とともに、富裕層の意外な老後破産の原因について、FP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

親の資産を頼りに生きるシニア男性

ずっと独身、中年になっても子供部屋から出ようとしない「子供部屋おじさん」という言葉があります。大橋健太郎さん(仮名/66歳)もその1人といえる生き方をしています。

大橋さんの父親は戦後の混乱のなかで起こした事業で成功し、大橋さんは裕福な家庭に育ちました。両親の教育のおかげで幼少期から学業成績は優秀で、有名大学に入学し優秀な成績で卒業したのでしたが、卒業後に大橋さんの人生は一変したのでした。

大橋さんは卒業後に大手メーカーに就職しましたが、職場の人間関係や取引先との関係に悩み離職、その後予定よりも早く25歳で父親の会社に就職しました。しかし、順調だったはずの父親のビジネスはバブル崩壊をきっかけに大きく傾いてしまい、大橋さんが40歳を過ぎたころに廃業することにしたのでした。

自主的な廃業であったため大きな資産を残した状態で、大橋さんは実家暮らしをしながらフリーターとして生活することになり、子供部屋おじさんという状態へ。両親の残された資産を取り崩しながら生活していくことになりました。

しかし、そんな両親も現在は90代。それまでお金のことはすべて両親に任せていましたが、大橋さんが60代になったころに父が認知症になり施設に入居し、父の財産は成年後見人が管理することになりました。

その後、大橋さんはいつものように自分の外食費などのために100万円ほど預金をおろそうと金融機関に行くと、キャッシュカードが使えなくなっていることに気が付きました。窓口で質問すると、このように言われたのです。

「申し訳ありませんが、ご本人様でないと対応できません」

大橋さんは驚き、「家族なのに引き出すことができないのですか?」と尋ねますが、窓口の行員さんからは「後見人が就いてキャッシュカードが利用できなくなっています」という説明があったのでした。

これまでは父の口座からキャッシュカードで引き出していた大橋さんでしたが、後見人が就いたことがきっかけでキャッシュカードが使用停止になっていたのです。思わず唇を噛みました。

キャッシュカードの使用停止と老後破産

成年後見人の仕事は、認知症や精神障害などで判断能力が不十分な人の契約や財産の管理を行う立場の人です。そのため、本人のために使うお金以外については原則として使うことができず、本人が希望する用途についても制限される場合があり、キャッシュカードの利用も制限されてしまいます。これは息子だけでなく、妻も同様です。

特に、大橋さんのように自身の外食費や遊ぶお金のように、被後見人(この場合は父)のためにならない財産を引き出すことはできないのです。

大橋さんは40代以降は定職に就かず収入も僅かなもの、自分の貯蓄と呼べるものがなくずっと父親の預金を切り崩して遊ぶお金に使ってきましたが、後見人が就いたことを機に頼みの綱の父の預金が使えなくなってしまったのでした。

しかし、その時点では預金口座からお金を引き出すことはできましたが、母と自分の生活費と遊ぶお金も引き出していましたので4年ほどで枯渇してしまいます。

こうして大橋さんは年金を受け取る年齢になりましたが、厚生年金の加入期間も短いために月額で8万円程度、たくさんあるはずの父の預金に手をつけることができず、ついに消費者金融から高い金利を払いお金を借りるようになってしまいました。

「父さんが亡くなれば遺産が入ってくるはず……」と考え、あろうことか自身のために父の死を待つようになってしまったのでした。

親が資産家でも起き得る子供の問題

大橋さんのように親が資産家である場合、本人は働かなくても資産を取り崩して生きていけるという安心感から定職に就かずに、親のお金に依存して生きてしまうこともあります。

なかには子供に自立してもらうように厳しく接すると暴力を振るってしまうケースもあり、子供から逃げるように別居するようなケースもあり、幼少のころからの子供との接し方や金銭教育が問題となっています。

経済的に自立した大人になるためには子供のころからの金銭教育が重要です。多くの人にとっては当たり前のことですが、収入に見合った支出をすること、収入と支出をしっかり見える化し、親のお金をアテにするのでなく欲しいものは自分でお金を貯めて買うなど、当たり前の金銭管理を子供のころから行うことが重要です。

大橋さんのように定職に就かず親のお金で贅沢するようなケースでなくとも、収入と支出を見える化できておらず、多重債務に陥るなどの問題は多数起きており、返しても返しても借金が減らないという事態に陥っている人も多いものです。

フリーターや無職者の場合、老後の年金に大きな影響をおよぼす

今回は資産家の両親の下で育ったが、経済的自立ができず、父の預金が使えなくなってしまった大橋さんの事例を紹介しました。

お金に余裕のある裕福な家庭でも、幼少のころからの金銭教育は自立した大人になるために重要なことです。

特に、40歳~64歳で無職の人の割合は2%にもなると言われており、問題となっています。フリーター、無職者の場合、大橋さんのように65歳以降の公的年金の額も少なく、老後も経済的不安を抱えることになります。

子供に自立した大人になり、自分で自分の幸せを実現させることができるようになってもらうために金銭教育は重要です。

小川 洋平

FP相談ネット

FP

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