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「日本は貧乏な人が行く国」訪日客の素直な見方 「安くてコスパがいい」日本が陥っているワナ

東洋経済オンライン / 2024年5月2日 12時30分

(写真:Ryuji/PIXTA)

インバウンドの盛況が止まらない。

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2024年1〜3月の訪日外国人観光客は856万人と2019年1〜3月よりも6.3%多く、観光庁が発表した訪日外国人消費動向調査(1次速報)によると、2024年1〜3月期の旅行消費額(推計)は、2019年1〜3月比50%増の1兆7505億円となった。訪日中国人のセグメントについてみると、人数はそこまで回復していないのだが、消費額は一番貢献している。

コロナ禍を乗り越えてきたインバウンドの波に、乗っていきたい自治体や企業も多数あり、筆者のところに、訪日中国人や華僑に関する情報を求める方々も増え続けている。

消費額が増えているのは幻想に過ぎない

しかし、ここであえて注意喚起をしたい。外国人観光客は本当に日本での消費を増やしているだろうか。今の日本は特に富裕層の中華圏の人にとって、「憧れ」から「安いところ」に陥っていないか。これからの日本は、何をもって観光産業を長期的に成長させるべきか。こうした疑問を持って一緒に答えを探りたい。

筆者は、訪日中国人個人旅行がはやり始めた10年前の2014年を100とした訪日外国人観光客全体と訪日中国人の消費額の推移図表を作成してみた。

上の図の日本円ベースで見ると、近年右肩上がりが続き、とても喜ばしい推移になるが、下の図の米ドルおよび人民元のレートで見ると、ビックリするぐらいほとんど変化のないことがわかる。

それがどういう意味かというと、外国人観光客の財布の紐がどんどん緩んでいるというのはあくまで幻想である。現在、円安が進行しているので、「コスパがよくなった」と感じているが、これ以上予算を増やして消費するつもりはないということである。

訪日外国人観光客が増えているので、パイ自体は大きくはなったものの、1人当たりの消費額が変わらないので、消費ポイントを奪い合う状況に変わりはない。

競争が激しくなると、淘汰されるスビートは速くなる。日本は外国人観光客にとってたんなる「安い国」だけではなく、長期的にリピートできるような国になるために、戦略策定やコンテンツ開発がますます必須となってきている。

「みんな日本なら行ける、と言ってる」

「『貧乏人』こそが日本に来ているよ」

そう教えてくれたのは、上海生まれ・上海在住の23歳のAさんだ。彼女はいわゆる典型的な中国大都市の若者で、豊かな家庭環境に恵まれ、努力家でもある。中国トップ3の大学を卒業した後イギリスに1年間留学。両親のことが大好きなので、コロナの影響もあったが、無事に上海にある金融機関で就職した。

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