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【税務調査】「自営業に税務調査は来ない」⇒油断すれば“痛い目”に。個人の追徴課税額「平均100万円超え」という事実【税理士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月3日 8時0分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

税務調査は法人だけでなく、確定申告をしている個人も調査の対象となります。実際に税務調査を受けた場合、支払うこととなる追徴課税はどのくらいになるのでしょうか。個人が税務調査の追徴課税の平均額はいくらになるのか? また、追徴課税となりやすい事例や、追徴課税となってしまった場合の対処法について、税理士法人松本が解説します。

税務調査の追徴課税で支払う平均額は?

税務調査で支払うこととなった追徴課税の平均額はいくらなのか、国税庁が発表している令和4事務年度の調査実績から解説します。

■所得税1件あたりの平均追徴額は約219万円

令和5年11月に国税庁から発表された「令和4事務年度・所得税及び消費税調査等の状況」によると、令和4事務年度の1件あたりの調査による追徴課税は約219万円となっていました。前年度の平均額256万円の85.5%となったものの、調査件数自体は前年比約1.5倍と、増加傾向となっています。また、個人の消費税の税務調査による追徴課税の平均額は132万円となっており、所得税と合わせた場合、税務調査1件あたり平均約351万円が追徴されていることがわかります。

■「税務調査に選ばれやすい職種」がある

税務調査はすべての業種が調査対象となりますが、過去の統計から税務調査で多額の不正や申告漏れなどが発覚しやすいとみなされる業種については、他の業種よりも積極的に税務調査が行われています。

令和4事務年度における税務調査において、1件あたりの申告漏れ所得金額が大きかった業種としては

●経営コンサルタント

●くず金卸売業

●ブリーダー

●焼肉

●タイル工事

が上位5業種として挙げられていました。

このほかにも、過去申告漏れの所得税額が大きい業種としてはバーやキャバクラ、風俗店などの水商売、システムエンジニア、冷暖房設備工事業などが挙げられます。

なお、令和4事務年度の実地調査による追徴課税額は1,015億円、簡易な接触(自発的な申告の見直しなどを電話や書面で進める調査)による追徴税額は353億円となっており、合計1,368億円と過去最高額を更新しています。

※参照:国税庁『令和4事務年度 所得税及び消費税調査等の状況』(https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf)

追徴課税になりやすい例

税務調査で追徴課税となりやすい例について見ていきましょう。

<業種>

クラブやキャバクラの従業員や、建設業を営むいわゆる「一人親方」、プログラマーなどの個人事業主の中には、確定申告自体をしていない無申告者も多く、追徴額も大きくなりがちです。また、近年ではインターネットを利用したシェアリングエコノミービジネスや、仮想通貨(暗号資産)による売却益などの申告漏れから多額の追徴課税が発生するケースも増えてきています。

<売上>

売上において税務調査で指摘されやすいポイントとしては、当期の売上として処理するところを来期の売上としてしまう「期ズレ」が挙げられます。例えば、12月に発注を受けて同月中に納品した場合、売上を計上するのは原則として納品した日付となります。実際の入金は翌年の1月であった場合でも、12月中に売上を計上し、入金があるまでは売掛金として処理する必要があります。もし翌年の1月に入金されたタイミングで売上を計上した場合、この取引については申告漏れであるとみなされる可能性があるのです。期ズレ以外に、本来計上するべき売上が漏れていたり、計上した金額が少なかったりする場合にも、税務調査で発覚すれば過少申告として指摘されることとなるでしょう。

<利益>

売上は適正に計上していても、経費の水増しなどで利益が少ないように申告している場合は、これも追徴課税の対象となります。経費を証明するレシートや領収書がない場合や、経費とは関係ない支払いを経費として計上している場合、仕入先などと共謀して不正な領収書を入手、計上した場合なども、税務調査で指摘を受けやすいでしょう。

このほかにも

・架空のタイムカードによる人件費の水増し

・在庫品の計上漏れ

・使途不明な旅費交通費

・私的利用が疑われる接待交際費や備品購入費

なども税務調査で見つかりやすく、追徴課税の対象となりやすいものです。自分では正しく計上しているつもりでも、プロや専門家が見れば間違っている、といったケースも少なくありません。

■消費税の税務調査にも注意が必要

インボイス制度の導入により、中小規模の個人事業主も課税事業者となったケースが増えています。軽減税率の計算ミスや計上漏れに加え、海外からのアプリダウンロードなど、国境を越えた役務の提供に係る消費税(クロスボーダー消費税)の計上漏れなど、消費税の税務調査にも注意が必要です。

個人が税務調査の追徴課税に備えるには?

税務調査の追徴課税に個人で対処するには、どのような方法があるのかについて解説します。

■日頃から適正な申告・納税を行う

「個人の自営業には税務調査は入らない」「何年も申告しているが税務調査になったことがない」というケースもある一方で、中小規模の個人事業主でも税務調査の対象となり、重い追徴課税を受けるケースも少なくありません。税務調査を受けやすい業種はもちろん、その他の業種に従事している個人であっても、税務調査の対象となる可能性は十分にあります。いつ調査を受けても安心できるように、日頃から適正な申告と納税を行い、過去の申告内容についても見直すことが大切です。

■「無申告」を放置しない

税務調査で追徴課税となるケースの中でも、無申告によるペナルティは大きくなりがちです。前年度だけでなく、過去の無申告についても遡って指摘を受けるだけでなく、延滞税や無申告加算税、重加算税などの加算により、自主的に納税するよりも追徴課税が多額となってしまいます。無申告は取引先への税務調査や第三者によるタレコミのほか、税務署が持っている独自のルートからも発覚することがあるため、無申告は放置せず早めに申告、納税を行うようにしましょう。

■税理士を活用する

税務調査で追徴課税となるケースは、よくある事例以外にも個人や事業の状況によって様々なケースが考えられます。もしかしたら、過去の申告内容において自分では正しいと思い込んでいるミスなどが含まれている可能性もあります。税務調査の可能性や追徴課税への対応について不安がある場合は、個人への税務調査対応実績などに明るい専門家へ相談するのがおすすめです。

個人も税務調査に備えることが大切

税務調査では法人はもちろん、個人の申告内容も調査の対象としています。税務調査による個人1件あたりの追徴課税の平均額はあくまでも平均であり、もっと少ない場合でも税務調査の上、追徴課税されるケースもゼロではありません。日頃から適正な申告、納税を心がけるのはもちろん、過去の申告内容をプロにチェックしてもらうか、税務調査や追徴課税について税理士へ対応を相談するなどして、曖昧な点や不安な点はクリアにして事業へ注力できるようにしましょう。

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本

税務調査特化税理士法人として全国6ヵ所(渋谷、錦糸町、新宿、横浜、柏、大阪)にオフィスを構え、“成功報酬型”税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。国税局に勤めていた、いわゆる「国税OB」が複数名所属。税務調査相談実績は累計1000件以上。一般業種より税務調査が厳しいと言われる風俗業界の税務に10年以上特化し、追加徴税額ゼロ円の実績も多数。

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