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少年の夢は、永遠か。仮面ライダーウィザード。

インフォシーク / 2012年12月18日 17時30分

スタッフにとっては、思い入れが強くて、尺が足らなかったのでは‥仮面ライダーウィザード第15話。

大学時代、芸術学科に在籍していた私には、映画監督志望の友人が何人もいた。

彼らはウルトラマンシリーズで有名な脚本家 故・石堂淑朗教授の指導のもと、自主映画を何本も作り、競い合っていた。私と言えば、面白そうだから監督をやってみろと言われながらも、自信も無ければ想いも薄く、彼らの映画に出演させてもらうことで夢の欠片を味わっていた。

監督志望者の中にも一人だけ、自らの映画は作らず、友人の映画撮影を手伝ってばかりいる者がいた。当時の彼の思いがどうであったか、予想はできるがまだ聞いたことは無い。

夢を思い描いている時間は幸せである。人生の何物にも代えがたい。

本当の闘いは、現実社会と対峙したときに起こる。社会の魑魅魍魎とした壁に、微塵も逃げずに具現化できるか。

第15話(12月16日放映)の仮面ライダーウィザードは、売れない女優と、彼女に夢のキッカケを与えた自主映画監督男の物語であった。現実に押し潰され、負けそうになっていた女優は、自分に夢を与えてくれた自主映画監督との再会を喜んだ。

だが実は自主映画監督は、今は絶望に負けた怪人なのだ。女優が心の支えにしている、輝いていた自主映画監督は、現実にはどこにもいない。

しかも怪人は悪玉の親分から、女優を絶望に追いやれ、と命令を受けている。幸か不幸か、女優はその事実をまだ知らない。

全てを知った仮面ライダーウィザードは、女優に事実を伝えるべきか苦悩する。

私はこのシーンを見ながら、ある名曲を思い出していた。

中島みゆきが作詞作曲し、吉田拓郎が歌う「永遠の嘘をついてくれ」。あくまで聞いた話として書く。中島みゆきは自身のデビュー前から、吉田拓郎の大ファンであった。その吉田拓郎は90年代、自分のファンであった中島みゆきに作詞作曲を依頼する。それは音楽に対して弱気になってしまった、という見方もできた。若者のシンボルであった頃に比べて、歌が売れなくなっていた時期だったからだ。

依頼された中島みゆきは、歌に「永遠の嘘をついてくれ」と綴り、さらにこう続ける。

「たねあかしをしないでくれ」

それは、「いつまでも私のヒーローでいてくれ」とも捉えられる言葉であった。

あくまで噂話だ。

今回の女優にとって自主映画監督は、まさにヒーローである。彼女は監督の「オマエは最高の女優だ」という言葉から、夢に目覚めたのだ。夢はおおよそにして、自分の存在を肯定されたときに生まれる。

結局、自主映画監督の怪人を倒したのち、ウィザードは女優に嘘をつく。

「彼はアメリカに行った、映画の勉強をするために」

この答が良いわけがない。それはウィザードもわかっていた。彼女はまた夢を追いかけるのだ。どこにもいないヒーローに会うために。

ウィザードは呟く。

「いつかは、ちゃんと伝えないといけないと思う…でも、今は」

仲間のリンコは、そんなウィザードに答える。

「いいんじゃない。人に希望を与えるのは、現実だけとは限らないわ」

永遠の嘘をついてくれ。なのかもしれない。

私には、どちらが正しいのかわからない。夢は、人生に最高の刺激をくれるが、人生を最悪にしかねないほどの現実的な課題も与えてくるからだ。

ただ、一つだけは言える。

冒頭に書いた、一本も自主映画を撮影しなかった友人は、数年後に映画監督となり、やがて世界に飛び出した。代表作は「呪怨」。名前は清水崇。全米No.1売上を2週連続で達成し、ヴェネチア国際映画祭3D部門で審査委員長まで務めた男である。

夢は叶うのだ。

【バックナンバー】仮面ライダー徒然草はこちら

ガッケンター
1973年1月生まれ。芸術家。ライター。芸術活動のかたわら、仲間と協力してゆるゆる映画応援サイト「ガッケンターサイト」の運営や、映画監督や俳優もゲスト出演する「ガッケンターTV」(インターネット)の製作をしている。

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