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「残念なセルフレジ」はなぜ生まれるのか 顧客体験を損なわない方法

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年3月28日 7時0分

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顧客体験を向上し現場の負荷を減らすセルフレジの在り方とは

●連載:がっかりしないDX 小売業の新時代

デジタル技術を用いて業務改善を目指すDXの必要性が叫ばれて久しい。しかし、ちまたには、形ばかりの残念なDX「がっかりDX」であふれている。とりわけ、人手不足が深刻な小売業でDXを成功させるには、どうすればいいのか。長年、小売業のDX支援を手掛けてきた郡司昇氏が解説する。

 スーパーやコンビニなどで、セルフレジを見かける機会が増えました。コロナ禍以降、レジスタッフとの接触機会を減らす目的などから導入する動きがさらに広がっています。

 前回の記事「レジ待ちの不満が「稼ぐ機会」に? 米小売大手が実践する面白い工夫」では、小売業において品出しの次に多くの人手を要するレジをテーマに、会計待ちの来店客が抱く不満を減らす仕組みなどについて説明しました。

 今回からは2回続けてセルフレジを取り上げます。セルフレジは、現時点でレジ業務にかかる人手を減らす最適解と考えられています。一方で、使い勝手が悪く、現場の人手を返って増やすセルフレジも多々あります。顧客体験を向上し、現場の負荷を減らすセルフレジの在り方について考えてみたいと思います。

●客を混乱させる「がっかりセルフレジ」

 筆者は仕事柄、視察した店舗にセルフレジがあると必ず買い物をして使い勝手を確認しています。使いにくいと感じる「がっかりセルフレジ」にも頻繁に遭遇します。

 本来、来店客目線に寄り添うセルフレジといえば、画面には決済をするための必要な情報だけが載っている状態をいうはずです。しかし、大手チェーンになるほど、各種宣伝や会員カード入会案内など、決済とは関係のない情報にあふれていることもよくあります。

 ここに「セルフレジ画面をリテールメディアとして活用する」といった企業都合の取り組みが追加されるとどうなるでしょう。そんな近未来を想像すると、目の前が暗くなります(参照:日本のリテールメディアが攻めあぐねる、3つの理由)。

 ポイントカードを出すタイミングが限定されているケースや、ポイントカードのバーコードは商品のスキャナーと別の端末でスキャンしなければいけないチェーン店もあります。ポイントカード、クーポン、〇〇Payなど多機能になるほど、直感的に操作を完了しにくくなっているのです。

 レジ袋を購入するにも、袋にバーコードが載っている場合はともかく、画面で選択するケースだと、複数種類あるうちのどれだか一見して分からなかったり、レジ袋がセルフレジの機械と離れた場所にあって探すのに苦労したり……。

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