事故21%減 あいおいニッセイ「安全運転」をサポートするアプリ、提供の狙いは?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月23日 8時15分
あいおいニッセイ同和損害保険は1月、これまで自動車保険などの契約者向けに提供していた4つのアプリを統合し、新たに「あいおいニッセイ同和損保アプリ」の提供を開始した。もともと商品ごとに用意していたアプリを、一つにまとめた形だ。
社内でも関係部署はバラバラ、関係者は50人以上。パートナー企業も国内外で5~6社と多岐にわたり、コントロールには非常に苦労したという。
そもそも、保険の支払い業務だけであれば、アプリは必要ない気もする。苦労も多い中で、なぜこのような大きなプロジェクトを推進したのだろうか。そして、どのように関係者を取りまとめ、統合を実現していったのか。
●なぜアプリが必要? 保険会社ならではの事情
同社が自動車保険の未来の形として力を入れているのが、クルマ自体やカーナビ、ドライブレコーダーなどから得られるデジタルデータを活用し「事故の未然防止」に力点を置くテレマティクス損害保険(テレマ保険)だ。自動車保険は、これまで運転者の年齢や過去の事故歴などを元に保険料を算定するのが基本だった。しかし速度や急ブレーキなどのデータを取得できれば、安全運転を行う人には保険料を割り引くなど、より合理的な保険料が設定できる。
さらに安全運転度合いをドライバーにフィードバックできれば、安全運転を心掛けるインセンティブにもなる。安全運転が増えれば、ドライバーは保険料が安くなり、保険会社は支払う保険金が減り、社会全体では事故が減る。三方よしとなるわけだ。
同社のテレマ保険は、もともとトヨタのコネクティッドカーを対象とした「タフ・つながるクルマの保険」からスタートした。そこから、独自車載器を設置することで幅広いクルマで利用できる「タフ・見守るクルマの保険プラスS」、さらに通信機能付きドライブレコーダーと連携する「タフ・見守るクルマの保険プラス(ドラレコ型)」へと商品ラインアップを拡充してきた。
そして新商品のリリースごとに、新たなスマホアプリも開発、提供してきた。一見、自動車保険でわざわざアプリを提供する必要があるのだろうか? と思うかもしれない。そもそも損害保険は日常的に意識する必要がないサービスだからだ。契約更新や住所変更、車両変更のとき、また事故に遭ってしまったときに初めて意識に上るのが自動車保険だ。そんなサービスになぜアプリが重要なのか。
実は保険会社からすると、何もなければ意識されないということは、日常的に顧客との接点がないことを意味する。もし平時の顧客接点を増やして、顧客を知ることができれば、解約などを防止してLTV(顧客生涯価値)も向上できるし、他の保険商品のニーズをくみ取ってクロスセル提案もできる。頻繁に使ってもらえるようなアプリを提供できれば、強力なマーケティングツールになる。
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