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スバル、山崎製パン、キリン……相次ぐ“事故” 問題の根っこに何がある?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月24日 8時35分

 そして、個人的にはこの状況はさらに悪化していくと思っている。日本の食を支える非正規労働者が絶望するようなニュースが多いからだ。

 今、マスコミや経済アナリストは「春闘で賃上げの波が中小企業まできた! あと少しで賃上げの実感が来るぞ」なんてふれまわっているが、これは悪質なデマだ。

 日本国内の労働組合は2万ぽっちしかなく、350万社ある中小企業にはほとんど組合はない。連合が「中小企業の組合でも賃上げが!」と騒いでいるのは、わずか200ほどの組合の交渉結果をもとに言っている。

 つまり、「春闘で賃上げの波が中小企業まで」とか騒いでいる限り、日本全体の賃金はいつまでも上がらないし、ましてやパートやアルバイトの賃金など上がるわけがないのだ。

 こういう日本の厳しい現実の中で、食品工場で低賃金で働いている人たちはきっと「もうやってられねえよ」と絶望している。これも最近、労災事故が増えている要因の1つではないかと思っている。

●60代以降も働き続ける時代に

 これから日本は人口も激減してどんどん貧しくなる。ということは、年金で悠々自適なんてことができるわけでもなく、今回亡くなった女性のように60代や70代になっても、山崎製パンのような食品工場で働き続けなくてはいけない人がたくさんいるということだ。

 そこで、機械に巻き込まれたりして非業の死を遂げたところで、会社側はきっと「あーあ、非正規のじいさんが面倒なことをしてくれたな」くらいの感覚だろう。

 世界に誇る「安くてうまい日本の食」を製造するためには、「世界一安くてマジメな労働力」が必要だ。外国人労働者も最近は低賃金の日本を敬遠しているし、経済が低迷する国では外国人排斥運動が盛り上がるのが常だ。となると、労働力として期待できるのは、シニアしかいない。

 「人生100年時代」というスローガンのもと、80歳や90歳のパートやアルバイト勤務の人々が、命を削りながらパンや弁当を製造する。そして、それを買い漁る外国人観光客たちが「こんな安くてうまいものがつくれる日本スゴい!」と称賛している。

 そんな未来がもうそこまでやってきていることを、「工場死」の増加はわれわれに告げているのではないか。

(窪田順生)

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