潘基文氏は国連で何をしたのか その4 日本への敵意や反感
Japan In-depth / 2016年9月18日 11時0分
古森義久(ジャーナリスト・国際教養大学 客員教授)
「古森義久の内外透視」
だからこそ米欧の主要ニュースメディアには潘基文氏自身を厳しく非難する次のような見出しの記事や論評が出たのも自然だといえよう。
「潘基文はどこにいるのか? 国連事務総長は透明人間か。お粗末なコミュニケーター」(ニューヨーク・タイムズ紙)
「潘基文のパフォーマンスに不安が高まる。戦後最悪の国連事務総長か。英語能力に欠陥」(ガーディアン紙)
「潘基文は国連で失敗した。森の中ですでに倒れた木。辞任すべきだ」(ニューズウィーク誌)
「指導力のない総長が国連を空洞にする」(ロイター通信)
「最も退屈、最も有害な国連事務総長」(エコノミスト誌)
こんなひどい描写なのである。ここまでみてくると、潘氏への国際的評価というのはもう悪い方向でこれ以上、揺らがないという地点まできたといえよう。
一方、対照的なのは韓国内部の反応である。そもそも潘氏の国連への登場自体が韓国の官民あげての国威発揚運動の結果だった。だから潘氏が国連事務総長に選ばれたこと自体を韓国代表の国際舞台での画期的な活躍とみる。潘氏を評して「世界大統領」などと呼ぶ人たちもいるという。
また潘氏の故郷の忠清北道では彼の生まれ育った環境での風水とか運勢占いを調べ、自分たちの子供にあやからせようという住民たちの動きも後を絶たないという。なにしろ韓国での潘基文氏は次期の大統領選候補でもあるのだ。「韓国が生んだ最も偉大な国際リーダー」とか「世俗版のローマ法王」という絶賛もあるのだという。
さて冒頭で提起した二つの視点のうちの第二、日本にとっての潘基文国連事務総長とはなんだったのか、を論じよう。この点が本稿の中心部分だともいえる。日本の外交、対国連政策からみての潘総長の評価である。
なにがなんでも反日という傾向の強い韓国という国から国威発揚のために国際的な場に登場してきた韓国人代表が日本に対して好意的な態度をとるはずがない。中立や客観という立場さえとらないだろう。逆にその国際的な立場を利用して、ことあるごとに日本叩きを実行するだろう。
韓国のお国柄を知ってまず浮かぶのは以上のような考えである。この予想通り、潘総長も国連での立場を利用するかのように日本に対しては否定的な言動を頻繁にみせた。
その代表的な実例は2015年9月3日の出来事だった。藩総長は中国政府主催の「抗日戦争勝利70周年記念」の式典と軍事パレードに出席したのだ。反日を国是に近いところまで押し上げた中国共産党政権が日本を標的としてあえて開く行事だった。主舞台は北京の天安門である。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
LINEヤフー事態、韓国与野党の「反日」論争に、最大野党代表「松本総務相は伊藤博文の子孫」
Record China / 2024年5月17日 19時0分
-
反日暴挙を放置、韓国に岸田政権〝沈黙〟の大甘 竹島周辺に海洋調査船、野党上陸と同時期「『領土問題ない』と認めたに等しい」
zakzak by夕刊フジ / 2024年5月17日 11時33分
-
エクアドルはなぜウィーン条約違反の暴挙に出たのか メキシコ大使館突入事件の背景
Japan In-depth / 2024年5月2日 11時0分
-
注目される「もしトラ」 その“無視されがちなリスク”とは
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月29日 9時50分
-
安倍元首相の不毛な宣言が日韓関係の改善を縛る 元徴用工問題、日本も人道的に歩み寄るべきだ
東洋経済オンライン / 2024年4月20日 9時30分
ランキング
-
1「悪魔崇拝者」250人超逮捕 イラン
AFPBB News / 2024年5月18日 14時58分
-
2ウクライナ、追加動員準備整う 「一部が前線で戦う過去終わる」 規模・時期、国民焦点に
産経ニュース / 2024年5月18日 18時32分
-
3ニュース裏表 峯村健司 中国監視船内に2カ月拘留中の台湾軍人…軍事行動・スパイ活動の嫌疑「意図的に拘束」か 台湾有事〝最前線〟金門島ルポ・第2弾
zakzak by夕刊フジ / 2024年5月18日 10時0分
-
4米テキサス州ヒューストンでハリケーン並み暴風雨、4人死亡
日テレNEWS NNN / 2024年5月18日 11時12分
-
5北朝鮮の孤児院で乳幼児7人が栄養失調で死亡 職員らが子どもに与える食糧を横領していたとして逮捕、食糧事情の悪さが浮き彫りに
NEWSポストセブン / 2024年5月18日 7時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください