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原爆と終戦の描かれ方 「戦争追体験」を語り継ぐ 最終回

Japan In-depth / 2021年9月4日 12時18分

▲画像 『この世界の片隅に 上』(こうの史代、双葉社 2008年) 出典:双葉社





前述の2作がいずれも、大人が引き起こした戦争のせいで悲惨な目に合う子供たちを描いたものであるのに対し、この作品の主人公は若いとは言え人妻で、戦時下の困窮と繰り返される空襲の恐怖の中、日々の暮らしの中のささやかな幸福とか、人と人との絆といったものが描かれているあたりが、好評を博したらしい。





私見これは、漫画の愛読者層の年齢が昭和の時代より高くなってきていることと、無関係ではないように思える。





こちらもアニメ版と実写版があり、2016年に公開されたアニメ映画は「のん」の声優デビュー作としても評判になった。2013年度上半期のNHK朝ドラ『あまちゃん』で大ブレイクした能年玲奈その人だ。その後、所属する芸能事務所とトラブルがあってTVから消えていたが、芸名を変えて再デビューを果たしたようだ。本名にも権利関係があるということを、この時初めて知った。





……という話ではなくて、私はアニメ版よりも、北川景子が主演した実写版TVドラマに強く印象づけられた。2008年に日本テレビ系で放送されたものだが、目に焼き付いたのは8月6日の場面。





轟音に驚いて主人公たちが庭先に出てみると、目の前に巨大なキノコ雲が……





キノコ雲の映像自体は、記録フィルムを中心に幾度となく見ているが、このように下から見上げたカットは初めてだった。





念のため述べておくが、映像美に感動したなどということではない。夏の日差しにキノコ雲が照り映えて、妙に蠱惑的な風景であったことは事実だが、そのキノコ雲の下が、どのような地獄絵図になっていたかを想えば、美しいなどとは口はさけても言えない。





阪神淡路大震災の際、当時報道番組のキャスターだった筑紫哲也氏が、いち早く被災地上空をヘリコプターから見下ろしたが、そこかしこに火災の煙が立ち上る風景を「まるで温泉街」と表現して糾弾されたことがある。同じ轍は踏むまい。





物語の舞台は、広島市に隣接する呉だが、同市出身の友人に、このシーンはリアリティがあるのか、と尋ねたことがある。





「アニメは2回見たけど、そのドラマは知らなかった」





と前置きして、主人公らの家があるのは呉市の中でも西端に近く、山ひとつ越えれば広島市というあたりなので、充分考えられる、というのが答えであった。









▲写真 灰ヶ峰から眺める呉湾 出典:呉市ホームページ





前に、戦時中に徴用された女学生たちについて、ほんの半世紀ばかり時代がずれておればJK(女子高生)と呼ばれて青春を謳歌できたはずが……と表現したが、この主人公たちもまた、20キロメートルほど西側に住んでいたら、被爆者となっていたわけだ。





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