バイデン「台湾防衛発言」の波紋
Japan In-depth / 2021年10月27日 21時11分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2020#43」
2021年10月25-31日
【まとめ】
・バイデン大統領、「中国が攻撃したら台湾を防衛するのか」問われ、「そうだ、我々にはそうするコミットメントがある」と発言。
・ホワイトハウスは「台湾に関する従来の政策に変更はない」と説明、火消しに追われた。
・もし米政策に変更があれば日本の安全保障にも直結する大問題だ。
早いもので今年も、もう残り10週間となった。岸田文雄内閣発足から3週間経ち、週末には総選挙の投票日がやって来る。今月末から来年の参議院選挙まで、日本の内政は大きく揺れ動くのかもしれないが、海外の情勢は恐らく、それを上回る頻度とマグニテュードで日本を取り巻く地政学的戦略環境を変えていくだろう。
先週は日経ビジネスオンラインで、ワシントンでの対台湾「曖昧戦略」に関する議論を取り上げ、米議会内で伝統的「曖昧戦略」の変更を求める声が超党派で広がりつつあると書いた。ところが21日にCNNが生中継したタウン・ミーティングで、バイデン大統領自身がその「曖昧さ」を否定したともとられかねない驚くべき発言を行ったのだ。
詳細は今週の「毎日新聞プレミア」に書いたのでご一読願いたいが、簡単に言えば、バイデン大統領は「中国が攻撃したら台湾を防衛するのか」と司会者に問われたのに対し、「そうだ、我々にはそうするコミットメントがある。Yes, we have a commitment to do that.」と答えた。認知症と批判する向きもあったが、恐らくそうではないだろう。
日本のメディアはこの「コミットメント」なる英語を「義務」「責任」などと様々に訳したため混乱が生じた。他方、ホワイトハウス報道官は「台湾に関する従来の政策に変更はない」「大統領は政策変更を決めたわけではない」などと説明し、火消しに追われた。もし変更があれば日本の安全保障にも直結する大問題なのだが・・・。
バイデン政権は大丈夫か?なお、今週のJapanTimesにコリン・パウエル元国務長官に関する追悼文を書いた。日本とパウエルは意外に接点が少なかったが、良く調べてみたら、イラク戦争に関するパウエルの(戦争は避けたかったが、戦争に反対したことは一度もないという)ロジックと当時の日本の考え方には親和性があった。ご関心のある向きはこちらもご一読願いたい。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
バイデンVSトランプの米大統領選、異なる世界観と針路の選択 ミード氏詳報
産経ニュース / 2024年5月18日 17時41分
-
バイデン氏の「人権」重視で抑止力低下 ベトナム反戦の産物と分析 米国際政治学者ミード氏
産経ニュース / 2024年5月18日 16時25分
-
米、対イスラエル弾薬供給一時停止 ラファ侵攻計画踏まえ=国防長官
ロイター / 2024年5月9日 9時4分
-
米、対イスラエル弾薬供給一時停止 ラファ侵攻計画踏まえ=国防長官
ロイター / 2024年5月9日 3時5分
-
政治的窮地に立つネタニヤフ首相
Japan In-depth / 2024年5月8日 18時0分
ランキング
-
1万引きかと思いきや…スーパーで新手の「詐欺」 女が3700円をだましとり逮捕 札幌市
STVニュース北海道 / 2024年5月18日 12時6分
-
2「トイレで出産した」乳児を自宅に遺棄、容疑の31歳女を逮捕 神戸・垂水
産経ニュース / 2024年5月18日 9時17分
-
3殺人疑いで男3人再逮捕、青森 被害者の元雇用主ら
共同通信 / 2024年5月18日 18時21分
-
4秋田市の住宅街近くでクマ1頭を捕獲
日テレNEWS NNN / 2024年5月18日 12時51分
-
5いったい誰が?万博「ミャクミャク」モニュメント、今度は落書き被害
毎日新聞 / 2024年5月18日 17時3分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください