岸田政権へのアメリカの反応は その3 岸田少年がNYで学んだこと
Japan In-depth / 2021年12月1日 19時32分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・ニューヨーク・タイムズの日本報道は、以前から自民党批判が基調になっている。
・一方の共和党系メディアでは自民党へ肯定的な論調も多いため、アメリカでの岸田新政権評も一枚岩ではない。
・岸田首相が幼少期をニューヨークで過ごしたことについては、肯定的に伝えられた。
ニューヨーク・タイムズの日本報道は長年、自民党批判が基調である。とくに安倍晋三氏に関する論調は一般報道から社説、コラムまでを動員して、はっきり安倍叩きと呼べるような偏向姿勢をみせてきた。
このへんは朝日新聞にそっくりである。ちなみにその朝日新聞はニューヨーク・タイムズと長年、記事交換のような提携を結んできた。
ニューヨーク・タイムズはその安倍氏がなお強い影響力を発揮するいまの自民党にも、とにかく否定的なスタンスを明示する。社説もほぼ一貫して自民党政権批判、とくに安倍晋三批判が顕著なのだ。年来の伝統とさえいえる。
だから岸田新首相に対しても安倍氏の影響下にあるという印象がニューヨーク・タイムズの側にある限り、好ましくないとする論調をあからさまにするのだといえよう。
この偏向はあまりにも露骨で短絡だから、苦笑させられるほどである。その主張は説得力には欠ける。日本の政治の現実を客観的にみているとは思えない。
▲写真 ニューヨーク・タイムズ本社ビル 出典:Photo by Gary Hershorn/Corbis via Getty Images
この点、同じ安倍晋三氏に対するアメリカの共和党系の政治家やメディアのスタンスはまるで異なる。安倍氏をアメリカと同じ自由民主主義の価値観を堅持して、日米同盟を強化するグローバル的視野のすぐれたリーダーと評するわけだ。
だから岸田政権に対してもアメリカの反応は決して一枚岩ではないのである。ただし新聞やテレビでの日本の新首相についての報道はそれまで新首相についてなにも知らなかったアメリカ国民一般に一定の知識や評価を伝えることになるから、主要メディアの論調は「アメリカの反応」を形成する重要な要因とはなっていく。
そのうえで大切な注釈を強調するならば、アメリカのメディア全体ではニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト、CNNテレビに代表される民主党びいきの媒体が多数派なのである。そしてさらに問題なのは日本の主要メディア、新聞とテレビの国際報道、アメリカ報道ではそのアメリカ側の民主党びいきの主要メディアに依存する度合いがきわめて高い、という点である。
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