米国防総省、インド太平洋を最重要と位置づけ
Japan In-depth / 2021年12月3日 11時44分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2020#48」
2021年11月29日-12月5日
【まとめ】
・米国防総省は、米軍に関するGPR(地球規模での軍事態勢見直し)作成作業を完了、インド太平洋地域を「最重要」と位置付けた。
・欧州では、ロシアに対する抑止強化やNATOの活動効率化を、中東ではイランやイスラム過激派によるテロに対する取り組みを再評価。
・優先順位付けはワシントンで最も難しい仕事、大丈夫なのか。
今年もあと一カ月で終わりだが、日本では、これまでに感染者数が激減し、自民党総裁選と総選挙があり、新内閣も誕生した。町には徐々に活気が戻り始め、ようやく「もしかしたらコロナ禍は峠を越えたのかな?」などと思い始めたら、オミクロンという新たな変異株が再び蔓延し始めた。やれやれ、世の中はそう甘くないようだ。
それにしても一体いつまで続くのだろう。これでは来年も海外出張は難しいかもしれない。外交評論家が海外出張できないなんて、洒落にもならない。早く自由に行きたい国に行って、何の憂いもなく帰国できる日が来ることを待ち望んでいる。これは多くのビジネスパーソンも同様であろう。恐ろしい時代になったものだ。
さて、恐ろしいといえば、中国人にとって今は受難の時代かもしれない。先週末ソロモン諸島の首都で暴動が起き、略奪や放火の標的になっていた同市内の中国人街で焼失した建物の中から焼死体3体が見つかったという。首相の辞任などを求めたこの抗議デモの逮捕者は100人以上、首相の内政運営への不満があるらしい。
具体的には、経済開発の停滞やマライ他州の自治権の軽視への不満に加え、台湾との2019年の断交や中国との国交樹立への反発もあるという。だが、いくら反政府デモとはいえ、対台湾国交断絶と対中国交樹立に反対する人々がチャイナタウンの中国人を襲ったとは思いたくない。恐らく別の理由もあったのだろう。
もう一つ、今週気になったのが米軍に関するGPR(地球規模での軍事態勢見直し)だ。米国防総省はGPR作成作業を完了し、インド太平洋地域を「最重要」と位置付けたという。中国による軍事侵攻や北朝鮮の脅威を抑止するために「域内の同盟・パートナー諸国との軍事面での連携強化を図る」と強調しているらしい。
▲画像 アメリカ、ロイド・オースティン国防長官(2021年9月1日) 出典:Photo by Alex Wong/Getty Images
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
「テイラー・スウィフトのような『希望のアイコン』は次々と出現する」国際政治学の大家が喝破する“アメリカの楽観要因”
文春オンライン / 2024年5月16日 9時0分
-
ガザで起きている「生存を懸けた戦い」、展望は、課題は イスラエル、パレスチナ、エジプトの識者3人に聞いた
47NEWS / 2024年5月14日 10時0分
-
米、ニジェール撤収命令 対テロ戦略に打撃、報道
共同通信 / 2024年5月11日 6時50分
-
イスラエルのガザ攻撃を止めるにはどうすべきか…中東で100年以上も泥沼の戦争が繰り返される理由
プレジデントオンライン / 2024年5月4日 10時15分
-
テロ防止や違法薬物の流入削減が外交の優先課題に、米シンクタンク調査(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月24日 16時0分
ランキング
-
1【解説】安定的な皇位継承のあり方は 皇族数の確保へ2つの案の議論始まる
日テレNEWS NNN / 2024年5月17日 21時38分
-
2「限度超えてる」、逮捕評価=厳罰化には懸念も―つばさの党事件で識者
時事通信 / 2024年5月17日 20時8分
-
3つばさの党、田村淳さんらの自宅特定し街宣 否定的見解に反発か
毎日新聞 / 2024年5月17日 14時16分
-
4姫路港に車転落 中から高齢男女の遺体見つかる
ABCニュース / 2024年5月17日 23時39分
-
5素潜り漁をしていた77歳海女が溺死…漁協の船に引き上げられる
読売新聞 / 2024年5月18日 6時44分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください