結局は公明党次第なのか(上)続【2024年を占う!】その7
Japan In-depth / 2024年1月30日 18時0分
これを受けていわゆる永田町ウォッチャーの間からは、これこそ岸田首相が望んだ状態であるとの声が聞かれる。9月の総裁選をにらんで、安倍派の幹部クラスが「ポスト岸田」に名乗りを上げることを、あらかじめ牽制しようとしているに違いない、というわけだ。
1月26日には通常国会が招集されたが、派閥問題で野党に追及されても、
「もう解散しました。できることはやっています」
で押し切れるなら、予算もまず確実に成立する。その後には内閣を改造して、政権の求心力を高めてゆこうという戦略だと見る向きも多い。
ただ、前述のように、派閥の解散と言ってもポーズだけではないか、という批判は根強く、さらに言えば、まさか火に油を注ぐつもりではないであろうけれども、安倍派が解散した間隙を縫うようにして、福田達夫、高市早苗の両議員の周辺で、新派閥を旗揚げする動きあり、との情報まで漏れ伝えられるほどだ。
以上を要するに、岸田首相は人事と資金による派閥のしがらみから自民党を解き放とうなどとは、本気で考えているとは思えず、コップの中の嵐と言うには規模が大きかったものの、政治刷新どころか、単に自民党の内部をひっかきまわしただけだと言われても仕方あるまい。そのような文脈で見る限り、岸田の乱とは言い得て妙である。
しかしながら、どのような現象も一面的に見てはいけない。
22から24日にかけての世論調査を見ると、産経新聞では5%上昇しているものの、朝日新聞では横ばい、読売新聞では1%下がり、NHKでは3%上昇となっていた。
おおむね横ばい、という評価ができそうで、言い換えれば、派閥を解散に追い込んだとて、危険水域と言われる支持率30%以下の状態からは脱却できていない。
ただ、政党支持率に関して言えば、同じくNHKの最新の調査では、自民党が30.9%と、最大野党である立憲民主党(5.3%)に、実に6倍近い差をつけている。
もちろん、この数字だけで先は見通せない。支持政党なし、と回答した層が45%にも達しているし、自民党の内部からは相変わらず、
「岸田さんが総理・総裁では選挙に勝てない」
という声が漏れ伝わってくる。
そうであるとすると、今後どのような政界再編のシナリオが考え得るのか。また、私がタイトルにまで公明党次第だと書いたのは、どういうことか。
次回・最終回でもう少し掘り下げよう。
(その1、その2、その3、その4、その5、その6)
トップ写真:総理大臣官邸で開催された第1回認知症施策推進本部で会議のまとめを行う岸田総理(2024年1月26日)出典:首相官邸
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