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体制危機に直面した金正恩、金日成の「一つのコリア」路線を放棄

Japan In-depth / 2024年3月4日 23時0分

体制危機に直面した金正恩、金日成の「一つのコリア」路線を放棄




朴斗鎮(コリア国際研究所所長)





【まとめ】





・金正恩総書記が「韓国は不変の主敵」と表明し、統一を目指す塔を破壊し、歌を禁止。





・政治、経済、文化すべての政策が破綻し、韓国との体制競争に敗れたことを公式宣言するもの。





・金正恩体制は、崩壊の最終段階に入ったといっても過言ではない。





 





金正恩総書記は、昨年末の党中央委員会総会に続き、今年1月15日の最高人民会議第14期第10回会議での施政演説で、「韓国は統一すべき相手ではなく、第1の敵対国、不変の主敵」だとし、一つの民族を意味する「8千万同胞」、一つの国土を表す「三千里錦繍江山」との単語を消し去れと指示し、「北半部」「自主、平和統一、民族大団結」「など憲法に記された表現は削除すべきだと述べた。そして、祖父の金日成が提唱し、父の金正日が建てた祖国統一3大憲章塔を跡形もなく消し去った。





これまで金正恩は、祖父金日成からの「一つのコリア路線」を維持して、韓国政権を傀儡呼ばわりしながらも、韓国一般国民に対しては、同族としての連帯を訴え「統一」を志向した。しかし、豊かで自由で文化芸術が発展する韓国の影響力に耐えきれず、ついに国民を含めた韓国全体を敵と宣言し韓国との交流を遮断した。そして金氏世襲独裁政権存続のために、(台湾有事など)チャンスが来れば核武力で韓国を侵略し併合すると息巻いた。





この金正恩の演説は、韓国との体制競争に敗れたことを公式宣言するものである。





◾️「一つの民族を目指す」とした父・金正日称賛の歌を禁止し国歌まで変更





韓国との体制競争に敗れた金正恩は、金日成、金正日の「平和統一路線」を「甘い幻想だった」と結論付け、「平和統一路線」だけでなく、韓国内の北朝鮮支持勢力を利用した「武力統一路線」をも否定し、核武力で「韓国を平定併合する」と言い放った。





金正恩は、一つの民族や統一に絡むすべての事象を抹殺せよとの命令を下し、「将軍(金正日)様が示された場所」との歌の3節で「統一された国一つの民族」との歌詞が入っているとして、父親の金正日の歌までも禁止曲に指定した。





RFA(アジア自由放送)の内部消息筋は、「一部北朝鮮住民は、自分の父の思想と哲学が盛り込まれた歌さえ禁止させているが、子としての道理にも反する親不孝者だ」とささやきあっているという。





金正日の歌だけではない。「愛国歌」の中の「三千里美しき我が国」との歌詞から「三千里」との単語を削除し、「この世に美しき」との歌詞に書き換えた。この書き換えられた「愛国歌」は、2月28日の日朝女子サッカー戦での国歌斉唱時に、北朝鮮女子チームによって歌われた。





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