カタール乳業大手、アルジェリアで世界最大級の粉ミルク製造を計画(アルジェリア、カタール)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月2日 11時0分
カタール乳業大手のバラドナとアルジェリア農業・農村開発省は4月24日、粉ミルクの製造を目的とした酪農一貫生産プロジェクトに関する枠組み協定の署名を発表した。現地の報道によると、世界最大級の規模とされている。
この枠組み協定に基づき設立される合弁会社には、バラドナが51%、アルジェリア国家投資基金(FNI)が49%を出資する。投資総額は35億ドルで、11万7,000ヘクタールの敷地に耕作地、乳牛・肉牛生産農場、粉ミルク製造工場の3つの拠点の整備を2024年10月から始める。2026年に稼働し、最終的には牛27万2,000頭を保有し国内需要の50%に相当する年間19万4,000トンの粉ミルクの生産を目指す。
バラドナのアル・ハヤット会長は「わずかだったカタールの乳製品の自給率は当社の事業の急な展開により12カ月で100%を達成できた。このビジネスモデルをアルジェリアで再現することを目指している」とコメントしている。
米国農務省(USDA)のレポートによると、アルジェリアの牛乳の自給率は同部門を対象とした支援策により増加傾向にあるが、アルジェリア政府の推定では2024年の牛乳の自給率は55%(重量ベース)にとどまる見込みだ。2022年には、アルジェリアは欧州および南米諸国から約41万9,000メトッリクトンの粉ミルクを輸入しており、米国農務省はアルジェリアについて世界最大規模の粉ミルク輸入市場だと言及している。
アルジェリア政府は2020年7月、食料自給率の増加と輸入の抑制を図る5カ年計画「農業政策ロードマップ」を導入し、経済の多様化と自給自足社会を実現しようとしている(2022年5月9日付地域・分析レポート参照)。小麦、乳製品、コーンといった基幹農産物がアルジェリアの主要輸入食料品となっている中、アルジェリア政府は穀物と粉ミルクの国内生産能力の強化を優先的に図っているが、降雨不足が原因で国内の穀物生産能力は向上していない。粉ミルクの国内生産能力を大きく拡大する本プロジェクトが順調に進展するか注目されている。
(ピエリック・グルニエ)
(アルジェリア、カタール)
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