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簡単な漢字が書けない。これってスマホが原因?

JIJICO / 2016年2月29日 11時0分

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簡単な漢字が書けない。これってスマホが原因?

ワープロのころから簡単な漢字を書けない人が増加

「簡単な漢字が書けない、思い出せない」ということを、身の回りでもたしかに良く耳にします。これは最近はじまった、特に目新しい現象ではないでしょう。文字や知識は、日々それに触れたり、使ったりしていないと、忘れて行くのが普通だからです。
30年ほど前にワープロが広く普及しはじめた時代から、「手で漢字を書かないから、書けなくなった」ということは、言われていました。もちろん最近ではスマートフォンで検索するだけで、辞書ソフトさえ使わずに言葉の意味もわかりますし、中高生がメールやLINEで漢字を確認するのも当たり前の光景ですから、それがいっそう顕著になっているということは言えるでしょう。
また、PC文字で古くからの漢字がいつの間にか改変されていることも、気になります。「剝ぐ」が「剥ぐ」となっている例などです。きちんとした検討を経ずに、固有の由来を持つ漢字がPCベースで変えられてしまう。こうした点にも、デジタル全盛時代の危うさを感ぜずにいられません。文化審議会漢字小委員会が、「印刷文字の多様化」を理由として、手書きの際の漢字の「とめ、はね」の違いなどを幅広く容認する方向性を打ち出したことにも、当然私は反対です。

覚える必要がなくなった電話番号

「電話番号が覚えられない」の方は、どうでしょうか。今はもう使われていない大学時代の友人の下宿、何年も電話していない親戚の家の電話番号を未だに忘れていないのに、最近頻繁にかけている取引先の電話番号はまったく覚えていない、ということが、私自身にもあります。ダイヤル式電話の時代は、ダイヤルが戻る時の音と時間が、番号を自然に覚える手助けをしてくれました。「プッシュホン」に変わっても、番号ごとの音の調子が、代わりをしてくれたのです。
しかしその後、固定電話の電話機にもさまざまな形の短縮機能が装備され、頻繁に電話する相手先へは、短縮を使うのが当たり前になりました。現在スマートフォンでは、マナーモードにしていれば番号を押す時に音が出ませんし、音が出る状態でもかつてのような音色の違いはありません。何よりも、いちいち電話番号を入力すること自体が、稀だろうと思われます。新しく行くお店の予約をするのにも、番号の入力などせず、表示されている電話番号をクリックするだけで、電話がつながるのですから。これは漢字のところでお話しした「使わない」ことの、最たる姿です。この場合、おそらく先方の電話番号を「認識すらしていない」と考えられます。

デジタルの利便性に潜む危険性も認識を

ことは漢字、電話番号のみにとどまらず、社会や生活、そして勉学などさまざまな局面に、共通するものです。簡単な漢字さえスマホで変換する子どもや若者が、一定の年齢になった時、事態はより一層深刻になるのではないかと、危惧されます。
デジタル機器を利用した新しい「勉強」の仕方も、年々開発、導入が進んでいます。中にはその利便性、実効性に、十分納得の行くものもあるのですが、しかし便利さの一方に潜む危険をも、しっかり見きわめる必要がありそうです。使わない漢字、使わない知識を忘れるだけでなく、デジタルで手軽に手に入れた知識は忘れやすいため、「考える」ことの質までもが、変わってしまうかも知れません。
利便性や現況を追認するだけでなく、一方向へのみ流れてゆく風潮に対しては、歯止めをかけることも重要なのではないでしょうか。

(小田原 漂情/塾教師、歌人・小説家)

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