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「ゲーム業界」経験者が語る、就職の現実 基本「社員は採用しない」理由とは?

マグミクス / 2023年3月27日 7時10分

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■ゲームは生活に「絶対必要なもの」ではない?

 ゲーム業界に就職したいと考えている方は大勢いらっしゃると思います。ネットにはさまざまな情報がありますが、ゲーム開発会社が求める人材とはどのようなものなのか、ゲーム業界に身を置いてきた筆者の知る範囲のことにはなりますが、できるだけ言葉を飾らず実体験をもとに率直に書くことにします。

 まずお伝えしたいのは、ゲームは私たちの生活に必須のものではないということです。皆さんが食費や光熱費など、絶対に必要なものにかかる費用で手一杯になったら、ゲームを買ったり課金したりはしないでしょう。ゲーム業界は社会の情勢に大きく左右されるハイリスク・ハイリターンな世界で、かなり成熟したとはいっても本質的にギャンブル(ベンチャー)という状況は変わらず、それでいて業界は飽和状態……ハイリスク・ローリターンどころか、ゼロやマイナスも不思議ではありません。

 次に、ゲーム業界だからといって夢や希望にあふれているわけではありません。もちろん楽しいこともたくさんありますが、他の業種にも「その業種なりの楽しさがある」という範囲を超えるものではないと思います。上述した状況を考えればむしろ楽観的なことは言えず、生き残りをかけた厳しい戦いの最前線に身を置くかもしれませんので、自分から積極的に楽しさを見つけに行かない限り、苦しさの方が勝る可能性も大いにあるでしょう。

 さて、これらを踏まえゲーム会社が求める人材を考えてみると……まずは「即戦力で費用が安く、苦労を知っている経験者」が挙がります。この都合の良い条件を叶えるのは社員ではなく外注という存在です。

 ご存じの方もいるでしょうが、社員には給料を含めた「人件費」という費用がかかっています。通常、給料(手取額)の1.5~2倍で参考値が出るといわれていて、仮に手取り30万円の社員を1.8倍で計算すると、会社は毎月、人件費として利益から54万円引かれていることになります。

 一方、外注の場合は社員ではないので報酬の額を支払うだけです。すると月額50万円でも、社員より毎月4万円安価です。外注は即戦力が前提なのでコストパフォーマンスは悪くありません。また社員は一度雇用したら簡単に解雇したり給料を下げたりはできません。浮き沈みの激しい業界で、かつ開発期間中の仕事量にも波があることを考えると、会社側は出費を柔軟に調整したいでしょう。その点でも外注は期間で区切って仕事を任せることができるので便利なのです。

■ゲーム会社が社員に求める条件とは?

 では社員は雇わないのでしょうか? そんなことはありません。会社はおおよそ次の3つを期待して社員を求めます。

1.アイデアを生み出せる人

2.管理能力のある人

3.今は無理でも、教育によって上記が見込める人

「1」「2」も外注に委託することは可能ですが、社員が牽引役としてこれらのポジションに就くのが望ましいといえます。職種で言うと、プランナーやディレクターと呼ばれる人たちです。

 次に、これらに期待をする会社が、応募してきた人のどこを見ているかの一端を述べます。

 もっとも重視されるのはコミュニケーション能力です。凄いアイデアを持っていても、ゲームが好きでも得意でも、コミュニケーションがまともに取れないのでは仕事が進みませんし、外注ともやりとりできません。トラブルを起こす可能性すらあります。

 また理解力や応用力に乏しい人も困ります。「一を聞いて十を知る」とまではいかなくても、察しが良くなければこれも仕事が進みません。これらはそれまでの生活で培われる要素が大きく、たとえ新人でも下地がなければ教育をしても無駄だと判断されがちです。

 逆に、専門技術はそれほど重要ではありません。あるに超したことはありませんが、追々覚えられるからです。なお会社によっては学歴が重視される可能性もありますが、それは「受験という勝負を自分の努力によって勝ち抜いた」経験がある人は「3」が期待できる……と判断されるからではないかと筆者は考えています。

 まとめると、社員に必要なのは「牽引能力」といえるでしょう。外注は指示に従って専門分野で力を発揮する人、それをまとめて管理し、引っ張って行くのが社員という役割分担をするのです。実際に、ゲームを直接開発する能力をほとんど持たずブレインだけで構成される開発会社は存在します。

 なお、専門的な技術を必要としないという理由でプランナーを目指す人がいつでも一定数います。これはまったくの勘違いです。それを機にゲーム業界に入りステップアップしようという野心的な気持ちならまだしも、「自分には能力がないけれどゲーム業界に入りたい」などの消極的な理由で成功することはまずありません。

 最後になりますが、筆者の知人には会社員をしながら副業としてクリエイティブな仕事に携わっている人もいます。これは今の時代らしい、リスクを低減する良いアイデアのひとつだと思います。業界に憧れる方にとって、この記事がご参考になれば幸いです。

(タシロハヤト)

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