【衝撃】『MGS2』の予言!? 22年前発売のゲームが現ネット社会を完全に予測…は本当か
マグミクス / 2023年11月1日 20時10分
■2001年のゲームに見られる現代ネット社会に対する予言…って本当?
インターネットが普及した現代は、多くの人がスマートフォンを持ち歩き、誰でも気軽に情報を発信できる時代になりました。自己表現の場が増えたと喜ぶ一方、弊害ともいうべき問題が頻繁に発生しているのも事実です。SNSの匿名性を利用した誹謗中傷、偽情報の拡散などが社会問題となっています。
こうした現代のネット社会を巡る問題が、2001年に発売されたゲームですでに予言されていた、との話題が、近年ネット上で散見されてきました。ゲームのタイトルはコナミのPlayStation 2用ソフト『METAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTY(メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ)』(以下『MGS2』)です。「メタルギア」シリーズとしては4作目、「MGS」シリーズとしては2作目にあたり、全世界で700万本を売り上げました。その同作において、登場人物の語る内容が「現代のネット社会を予言している」というのです。
ゲーム本編のストーリーは、序章たる「タンカー編」と、本番といえる「プラント編」の2章立てです。そのプラント編では、テロリスト集団に占拠された巨大海上施設に潜入し、人質の救出とテロリストの武装解除を目指します。プラント編の主人公となる「雷電」が、「大佐」からの指示に従って次々とミッションを進めていくなか、驚愕の真実が明かされていきました。
物語の終盤、今までプレイヤーに指示を出していた大佐が、実はAIだったことが発覚します。ラスボス戦を前に雷電は、AIの大佐からこの潜入ミッションの本当の理由を知らされました。そしてAIである大佐と助手のローズの雷電にかけたセリフが、上述した「予言」といいます。
「世界のデジタル化は、人の弱さを助長し、それぞれだけに都合の良い真実の生成を加速している」
「争いをさけ、傷つかないようにお互いをかばいあうための詭弁」
「衝突を怖れてそれぞれのコミュニティにひきこもり、ぬるま湯の中で適当に甘やかしあいながら、好みの真実を垂れ流す」
「かみ合わないのにぶつからない真実の数々。誰も否定されないが故に誰も正しくない」
これらのセリフは、なるほど確かに、SNSが普及した現代を生きる我々に通じる指摘といえるでしょう。
『MGS2』が発売された2001年当時は、インターネットの常時接続が広く一般家庭に普及しはじめ、2ちゃんねるなどの匿名掲示板が流行しだした時代でした。スマートフォンはまだ黎明期といってよく、初代iPhoneが登場するのはそれから6年後のことです。
もちろんそれ以前からインターネットを通じたコミュニケーションは存在し、当時はそれが広く一般にも普及しはじめ、不特定多数との交流が一般化しつつある頃合いでした。新聞の発行部数が目に見えて下降しはじめ、ネットニュースしか見ないことの弊害が指摘されはじめたのもこの頃です。そうした世相を考えると、ネット上で語られているように、この『MGS2』の一連のセリフが「予言」であるというのは、いささか言い過ぎではあるでしょう。
とはいえその内容は、SNSが広く普及した現代人にこそ深く刺さるように思えます。他者からの承認を求めて羨ましがられるような写真を投稿したり、不適切な発言が原因で不特定多数のユーザーから誹謗中傷を受けたりといった、現代社会の闇ともいえる事象は、作品中のセリフが見事に指摘していることです。
■『MGS2』のエンディングが伝えるメッセージとは
『MGS2』主人公のひとり、雷電。「METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1 - Official Trailer」より (C)Konami Digital Entertainment
このほか、「そしてデジタルのテクノロジーがさらに個を強くした。それは今の君達には過ぎた力だ」というセリフには、思い当たる節のある人が多いのではないでしょうか。近年でも回転寿司店でおこなわれた個人のイタズラがインターネットで拡散され、被害を受けた会社は160億円もの損失を計上しています。まさに個人には「過ぎた力」といえるでしょう。
その後ストーリーを進めると舞台はニューヨークへ移り、そこでラスボスを倒すとエンディングになります。大佐など信じていた仲間が実は存在しないことを知り、これからどう生きるか迷っている雷電に、前作およびタンカー編の主人公である「ソリッド・スネーク」は以下のように伝えます。
「自分の名前など自分で決めればいい、自分の進む道も」
「それがおまえ自身だ」
「語り伝えることも、自分で決めることだ」
「誰かが決めるものでもない」
どこへ行くか、何を食べるか、どう生きるか……日々の献立から立ち寄る店舗の評判まで、何をするにもスマホの情報に頼っているのが現代人です。ゲームのストーリーを通じて、「自分が考えたもの、感じたことを信じ、自分の道を歩め」というメッセージが伝わってきますね。
このほか『MGS2』には、VRや無人偵察機など、最近になって話題となっている技術が登場しています。見方を変えれば、世界は徐々に『メタルギア』の世界に近づいているのかも知れません。
(LUIS FIELD)
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