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EDで落胆? もっと作り込んでほしかったファミコンの「ドラマ&映画ゲーム」

マグミクス / 2023年11月19日 21時10分

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■内容が違いすぎた?ドラマ&映画が原作のファミコンソフト

 1980年代から1990年代のはじめにかけて一世を風靡した任天堂の「ファミリーコンピュータ」(以下、ファミコン)の人気ぶりはすさまじく、1200本を超える対応ソフトが発売され、オリジナル作品やアーケードゲームからの移植だけでなく、漫画やアニメなどの版権にもとづいたタイトルも大量に作られました。

 今回ご紹介するのは、ファミコンの最盛期に市場へ送り出された版権物ゲームのうち、人気を博していた国内ドラマや邦画がベースのアクションゲームです。しかしいざ手にとってみると、手放しで名作だったと褒めることはできず、「もう少し内容を詰め込んでほしかった……」と言いたくなるほどの、作り込みの甘さも見受けられました。

●もっともあぶない刑事

 1986年10月にTVドラマ版の放映がスタートし、昭和・平成・令和と断続的に展開された人気シリーズが「あぶない刑事」(以下、あぶ刑事)です。その劇場版3作目にもとづくファミコンソフト『もっともあぶない刑事』は、原作でおなじみの名コンビ「鷹山敏樹」(タカ)と「大下勇次」(ユージ)を操り、横浜を根城にする銀星会の打倒を目指すアクションゲームでした。

 本作の流れはいたってシンプルで、「横スクロールステージを移動する→最奥に待ち構えるボスを倒す→ステージクリア」というものです。タカとユージは拳銃やマシンガンを使い分けることができ、道中に立ちはだかる雑魚キャラを含め、積極的に敵を撃ち倒しながら突き進むアクションゲームに仕上がっています。

 しかし、原作で見られた舘ひろしさんや柴田恭兵さんによるド派手な立ち回りは再現されておらず、画面には気の抜けた歩き方のキャラクターが映し出されるのみでした。しかも処理落ちがひどく、アクションゲームにおいて重要な快適性という部分がとても考慮されているようには思えません。各ステージは武器の密造工場や市街地といった実写映画の舞台をモチーフとしているものの、キャラクターの動きが少なく、どうにも爽快感が感じられませんでした。

 ファミコンのハードスペックを考慮すれば、実写ドラマの要素を丁寧に再現するのは難しいところです。その問題に対し、本作はドット絵でタカとユージを描くなど幕間のイベントデモに力を入れていましたが、「アクション部分のクオリティを高めても良かったのでは?」と言わざるを得ない一本でした。

●スケバン刑事III

 和田慎二先生の少女マンガからはじまり、実写ドラマ・劇場版・OVAまで制作された「スケバン刑事」シリーズの三作目『スケバン刑事III』は、アクションRPGとしてドラマ版『スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇』が終了した約3か月後に登場しました。

 主役はドラマ版で浅香唯さんが演じた「風間唯」、そして「風間結花」(演:大西結花さん)、「風間由真」(演:中村由真さん)の3人。プレイヤーは彼女たちを操作し、警視庁の暗闇司令から任務を請負い、日本を支配しようと企む「影」との戦いに挑むことになります。

 本作は2パターンのステージで構成され、ひっきりなしに出現する忍者やくノ一を蹴散らしつつ、各ステージの攻略を目指す必要があります。唯・結花・由真はそれぞれヨーヨーや折鶴といった固有武器が使えるほか、「雷を落とす」「体力を回復する」……などなど、さまざまなメリットをもたらす忍法も発動することができました。

 原作のキャラクターが3名プレイアブルとして登場し、忍法を駆使しながらステージ攻略が楽しめる。こう書くと完成度が高く、普通に遊べるアクションゲームに思われるかもしれません。ところが実態はその逆で、次に何をするべきかゲーム内で分かりづらく、無限に湧き続ける敵キャラの対応に追われるという理不尽さが勝っていたのです。

 最終ステージで現れるラスボス「果心居士」を倒せばエンディングを見ることができるものの、スタッフロールとなけなしのグラフィック(唯が愛用しているヨーヨー)が画面に映るのみで、お世辞にも「達成感ばつぐん」とは言えません。本作のパッケージや、販促CMで描かれているアニメ調の三姉妹が目を引くだけに、『もっともあぶない刑事』と同じく「どうしてこうなった?」と疑問を感じる作品でした。

■版権物ゲームの意外な名作とは? 主役は時代劇の有名人物

●天下の御意見番 水戸黄門

ファミコン版『水戸黄門』のイメージキャラクターは2代目の西村晃さん。画像は『水戸黄門DVD-BOX 第十九部』(エイベックス・ピクチャーズ)

 約50年にわたってTVドラマ版が作られた時代劇『水戸黄門』も、1980年代の後半にファミコンソフト化されています。その名も『天下のご意見番 水戸黄門』と言い、「黄門様」でおなじみの「水戸光圀」一行が各地で巻き起こる事件を解決していく……という内容でした。

 本作はバランス面で不安定さが残る一方、勧善懲悪と人情話が主体の『水戸黄門』の雰囲気を、どうにかゲームへ落とし込もうとした開発陣の試みがうかがえます。

 オープニングやゲーム中に番組テーマ曲「あヽ人生に涙あり」がかかったり、スタート時に「この紋所が目に入らぬか!頭が高い、控えおろう!」と合成音声でしゃべったりと、『水戸黄門』のテイストを再現するためのさまざまな仕掛けが見られました。

 本作はアクション要素を含むものの、本質は「ステージ内で情報を集め、悪人の企みを暴く」ことにあります。そのため、プレイヤーは「助さん」(佐々木助三郎)や「格さん」(渥美格之進)となり、黄門様に変わってひたすら情報収集に奔走することになりました。情報を一定まで集めて、宿屋に戻って黄門様に状況を報告し証拠を揃え、悪人を問い詰めることができればステージクリアという流れです。

 黄門様に助さんと格さんはもちろん、一行を影から支える「かげろうお銀」やひょうきん者の「八兵衛」など、視聴者に馴染み深いキャラクターも扱うことができ、ストーリーも「水戸黄門」シリーズで見られるような構成を上手く取り入れていました。

 また本作を手掛けたのがサンソフトだからか、農民が主役のアクション作品『いっき』を彷彿とさせるミニゲームが入っているなど、全体を通して見どころが多いのも特徴です。1988年には日本を飛び出して世界を巡る『水戸黄門II 世界漫遊記』が、続編として発売されました。

(龍田優貴)

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