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スイッチ後継機に「高画質対応」はホントに必要? 必ずしも「最優先」とは言えないワケ

マグミクス / 2024年1月25日 9時47分

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■スイッチで物足りなかった「画質」を、後継機でこそと望むユーザーも

 発売7年目に突入してもなお、Nintendo Switch(以下、スイッチ)の人気は衰える気配がなく、昨年もさまざまな話題作がSNSなどで盛り上がりました。スイッチ自体の累計販売台数は、昨年9月末時点では1億3000万台を上回り、ゲームソフトも11億3000万本を超えています。

 今も好評なスイッチですが、多くのユーザーが楽しみつつも、多少の不満を漏らす様子を見かけることも少なからずあります。そのなかでも特に多いのが、画質に関する問題です。

●スイッチの「画質」は低いの?
 以前から4Kや8Kといった美しい描画を謳うTVやモニターが増えており、消費者側が求めるレベルも自然と上がっています。こうした需要に応えるべく、ゲーム機も描画性能の向上に務めており、画面に映る映像の質(本記事では、これを総称して「画質」と呼びます)を高めてきました。

 分かりやすくお伝えするため、専門的な詳細への言及は控えますが、スイッチの「画質」は、ライバル機と比べて低めなのは否めません。単純な性能だけでなく、ゲームによっては明確にその違いが浮き彫りになります。

 たとえば、昨年2月に発売された『オクトパストラベラーII』の画像解像度(表示する総画素数のこと。数が多いほどきめ細かい)は、PlayStation 5だと「3840×2160」、PlayStation 4なら「1920×1080」ですが、スイッチの場合は「1280×720」に留まっており、明らかに差があります。

『オクトパストラベラーII』自体は、ドット絵と3D技法を組み合わせた作品なので、一見した際の印象はそこまで大きな差はないものの、リアル寄りの写実的なグラフィックのゲームでは、機器の性能差は一目瞭然と言えるほど。他のゲーム機と比べて、スイッチの「画質」が一段落ちるのは事実です。

 こうしたスイッチへの不満は、転じて未来への期待に姿を変えます。まだ発表されていませんが、いずれ出るであろう「スイッチの後継機」に向けて、「4Kや8Kに対応した、高画質のゲーム機になってくれますように」と願う声が絶えません。

●スイッチで「美しい画面」は描写できないの?
「画質」は質の良し悪しを語るうえで使いやすい言葉ですが、これ自体には明確な基準はありません。そのため、やや乱暴に言えば、「美しい画面だ」と感じればその人にとっては画質の高い描画とも言えます。

 そうした「美しい画面」をスイッチでは描けないのかと言われれば、人によって判断が分かれる向きもあるものの、決して無理難題ではありません。たとえば『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は、オープンワールドという情報量の多いゲームながら、空気の温度感すら感じ取れるような描写力を見せ、多くのプレイヤーが見惚れる「美しい画面」を実現しました。

 スイッチと同時発売ながら、素晴らしい世界描写を達成しており、その完成度の高さには舌を巻くほかありません。しかし、スイッチを知り尽くしている任天堂だからこそ、このレベルの描写が可能だったとも言えます。

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』以外にも、「美しい画面」を実現させたスイッチのゲームはいくつもあります。しかし一方で、荒さが目立ったり、最適化が不足している作品も少なくありません。

 画質の物足りなさは、開発サイドの技術力や開発期間が問題となる場合も多いものの、スイッチ自体の性能がもっと高ければ、そうした問題が乗り越えやすくなるのも事実です。不備のある作品に触れた経験を持つ人ほど、よりよい画質を「スイッチ後継機」に求める気持ちも十分理解できます。

■高画質を求めるには、ゲーム機以外の問題も

「Nintendo Switch Lite」のような携帯特化なバリエーションも、後継機は受け継ぐのか否か

●スイッチの要素を受け継ぐ「後継機」に、高画質対応は必要? 不要?
 発表が待たれる「スイッチ後継機」に限った話ではありませんが、「画質」は高いに越したことはないでしょう。しかし、スイッチの後釜となる後継機に、たとえば8K対応が必要かと聞かれれば、筆者個人は最重要項目ではないと考えています。

「スイッチ後継機」の詳細はまだ誰にも分かりませんが、スイッチの大きな特徴となった「据え置きと携帯を兼ね備える」という路線を引き継ぐと仮定した場合、携帯モードやテーブルモードの8K対応は行き過ぎかもしれないためです。

 50インチの大画面でも、タブレットサイズの10インチ前後でも、表示される映像や画像にデータ的な違いはありません。ただし、出力された画面を見た我々が抱く印象は、往々にして差が生まれます。

 同じデータだからこそ、大画面に出力すれば粗が見えやすくなり、小さな画面なら逆に粗が見えず緻密な印象を受けることもあります。1枚の絵を、拡大と縮小でコピーしたもの同士を比較するのと同じ理屈です。

 小さい画面で見るなら、8Kまで求めずとも一般的な鑑賞には十分耐えうるでしょう。スイッチと同程度の画面なら、まずは2Kくらいの進歩でも十分でしょう。これでもスイッチの規格よりも向上(※備え付けのモニターで見る場合)しています。

●求めるものが違うカジュアル層とコア層…任天堂が出す答えは?
「備え付けのモニタはともかく、大画面に出力する時は4Kや8Kに対応すべきでは」と考える人も多いと思います。どの基準まで求めるかは人によって異なりますが、だからこそ絶対の正解はなく、意見が分かれるところです。

 ただし、大画面で高画質を楽しみたい場合、問題となるのはゲーム機の性能だけではありません。たとえば、ゲーム機側で4Kの出力に対応していたとしても、それを表示するTVやモニターも4K対応でなければ意味がありません。また、応答速度が低いとプレイヤーの操作と画面内の動きにタイムラグが生じ、心地よいプレイからかけ離れてしまいます。

 このほかにも細かい話は色々とありますが、4K対応で応答速度も良好なTVという条件だけでも、それなりに値が張るのは避けられません。すでに持っている人なら問題ありませんが、4Kや8Kに対応するゲームプレイ向けのTVを、スイッチを楽しむカジュアル層が広く所持しているかどうかは疑問が残ります。

「スイッチ後継機」に4Kや8Kといった高画質の対応を求めるなら、それに相応しいTVやモニターの所持も必須で、未所持なら当然出費がかさみます。それを含めたうえで考えると、任天堂の新型ゲーム機に「最高クラスの高画質対応が、必要不可欠」と断じるのは、やや性急のように思われます。

* * *

 スイッチでの体験をもとに、後継機に向けて「画質」の改善を求める意見が目立っています。ですが、描画そのものの美しさよりも、より多くの情報をスムーズに処理したり、滑らかな動きを過不足なく描写できるような処理性能の高さを求めた方が、ゲーム体験としての質が向上する可能性が大きいです。

 描画と処理性能。多くのユーザーはどちらをより強く望むのか。そして任天堂が、どんな答えを見せてるのか。新たなゲーム機の登場が、待ち遠しいばかりです。

(臥待)

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