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「ナイス改変」「大爆笑」 原作にないけど好評な「実写版オリジナル」の場面

マグミクス / 2024年3月23日 18時25分

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■ゾンビ映画で描かれた感動の場面

 毎年何本も作られるマンガの実写版作品では、原作の改変、さらに原作にはないオリジナルシーンを入れることが物議を醸す例は少なくありません。特に実写版映画は上映時間が短いことで改変が起きやすいですが、なかにはオリジナルの場面が好評だった作品もありました。いくつか例を振り返ります。

●『アイアムアヒーロー』(2016年)のロッカーの場面

 花沢健吾先生の同名ゾンビホラーマンガを実写化した『アイアムアヒーロー』は、『GANTZ』2部作をヒットさせ、後に『キングダム』シリーズ、『今際の国のアリス』も成功させた佐藤信介さんが監督を務め、脚本は『俺物語!!』『重版出来!』『逃げるは恥だが役に立つ』などを手掛けた野木亜紀子さんと、マンガの実写版作品で実績十分なふたりが組んだ作品でした。

 原作8巻までの内容を127分にまとめた映画版は、主人公の鈴木英雄が「ZQN(ゾンビ)」となってしまった彼女の姿をアパートの鍵穴越しに見る場面などの再現度の高さだけでなく、英雄が走って逃げながらどんどん街中がパニックに包まれていくのを見ることになる一連のシーンや、終盤のショッピングモール地下での「陸上ZQN」との「ラスボス戦」など、アレンジしたオリジナルの場面も評判を呼んでいます。

 なかでも「感動的だった」と絶賛されたのが、英雄がロッカー内で葛藤するシーンです。原作でもモールのフードコートのキッチンに隠れて葛藤する場面はありましたが、実写版はよりエモーショナルな演出になりました。

 生存者たちが暮らすショッピングモールの地下倉庫に食料を調達しに行く部隊に入れられた英雄でしたが、部隊は地下でZQNたちに襲われ、英雄はとっさにロッカーに隠れて出られなくなります。一方、生存者たちが生活していた屋上には身体能力が高い陸上ZQNが背面跳びで侵入して住人たちが殺され、英雄を待っていた半分ZQN化している女子高生の比呂美と看護師の藪は絶体絶命の危機となりました。

 藪はトランシーバーで助けを求め、それを聞いていた英雄はロッカーを飛び出して助けに向かう脳内シミュレーションを繰り返しますが、何度やってもZQNに噛まれるイメージしか沸かず出ていくことができません。しかしさらなる藪の叱咤の言葉で、ずっと行動をともにしていた比呂美を助けなければと、英雄は意を決して叫びロッカーを出ました。

 一連の場面は、英雄役の大泉洋さんの名演も相まって、特に印象に残った人が多かったようです。「一番良かったシーン」「凡人がなけなしの勇気をふるうって展開が大好きだからマジで泣いた」「原作の妄想の幻影と英雄がしゃべるシーンをカットしたうえで、あそこの葛藤に持っていくのが凄い」「感動させた後の『腕時計』で緩急付けて笑わせるのもナイス」と絶賛され、屈指の名シーンとなりました。

●『翔んで埼玉』(2019年)の「東京テイスティング」

 魔夜峰央先生が1982~83年に発表するも未完となっていたマンガ『翔んで埼玉』は、30年以上の時を経て実写版『テルマエ・ロマエ』の武内英樹さん監督、二階堂ふみさんとGACKTさんのW主演という豪華な布陣で実写化されました。埼玉県民が東京都民から厳しい差別を受けている架空の日本が舞台の同作は、埼玉差別撤廃を目指す主人公の麻実麗が伝説の埼玉県民「埼玉デューク」を探しに行くところで終わっており、映画版のそれ以降の物語はオリジナルです。また、埼玉と千葉の戦いも映画で付け加えられた設定でした。

 終盤の怒涛の展開ももちろん面白いのですが、GACKTさん演じる麗が白鵬堂学院でまだ「都会指数」の高い東京都民のふりをしていた序盤にも、映画オリジナルの場面がいくつかありました。なかでも爆笑を巻き起こしたのが「東京テイスティング」の場面です。

「東京テイスティング」とは麗が気に食わない生徒会長の壇ノ浦百美(二階堂ふみ)が彼を試すために行った、「瓶に詰められた空気を嗅いで、東京のどこの土地のものか当てる」という難題のことでした。NHKのさいたま放送局公式サイトに掲載された脚本家の徳永友一さんのインタビューによると、「(原作のスポーツ対決と比べて)もうちょっとディスりも含めた面白いものないかなって想像していて。GACKTさんといえば格付け(バラエティ番組『芸能人格付けチェック』)だから。東京のにおいをかぎ分けることできたらいいなあと。」と考え、この場面を思いついたとのことです。

 GACKTさんが自信満々に空気を嗅いで、3分10秒の間に次々と都内の土地を当てていく場面は、オーディエンスの真面目なリアクションも合わさってかなり笑えます。「オリジナル要素なのに原作にも普通にありそうなノリで好き」「狂気のオリジナルエピソードをブチ込む映画スタッフ(褒め言葉)」「スパイスと潮風の匂いで『西葛西』当てるところがいちばん笑った」などど、多くの人の印象に残る名シーンとなりました。

●『アルキメデスの大戦』(2019年)序盤の戦艦大和沈没シーン

 三田紀房先生の『アルキメデスの大戦』は、太平洋戦争終盤に沈没した「世界最大の戦艦」の戦艦大和建造を事前に阻止しようとした数学の天才、櫂直(かい ただし)を主人公にした、史実とフィクションが入り混じったマンガです。櫂に任務を依頼する山本五十六海軍少将は、「今後の戦争は航空機が主体となるため、巨大戦艦は不要」と考え、平山忠道造船中将が出した建造の見積もりの嘘を暴こうとします。

 原作の第1話は山本少将目線でスタートし、大和の模型が発表される「新型戦艦建造計画会議」がメインに描かれるのですが、2019年に山崎貴さんが監督した映画版は、まず1945年4月7日の戦艦大和が沈没する場面から始まりました。山崎監督が得意とするVFXのクオリティの高さで戦闘シーンとしての迫力も申し分なく、さらに歴史に詳しくない観客にも「巨額の予算を使って作られた大和とその乗組員がどうなったのか」と一発で分からせる重要な場面となっています。

 時事ドットコムニュースのインタビューで、山崎監督は冒頭の場面について「あれを見せてから、なぜこうなってしまったかを語るわけですから、マス(集団)としての兵士が凄惨(せいさん)な状況で死んでいく様子をちゃんと描くことは、この映画にとってすごく意味のあることでした。」と語っています。

 さらにこの冒頭では、大和がアメリカの戦闘機を撃墜するも海上にパラシュートで落ちたパイロットはすぐに救出され、それを見ていた日本兵が驚愕するという皮肉な場面も描かれました。「人的資源を無駄にしないアメリカとの差が明確に描かれた名シーン」「ここだけでなぜ負けたのかよく分かる」「米国の合理性と、あの後でも描かれる日本の非合理性が際立つ」などの感想も相次ぐなど、特にインパクトのある場面です。

 また、『アルキメデスの大戦』は菅田将暉さん演じる櫂が、終盤に「日本のために」大和建造を受け入れるというオリジナルの切ない展開も描かれており、ほろ苦い後味の作品となりました。 19.3億円と山崎監督作品のなかではそこまでのヒットとはなりませんでしたが、「実はこれが最高傑作だと思う」「アンビバレントな気持ちに追い込んでくれる脚本がよく出来ている」と根強い支持を受けています。

(マグミクス編集部)

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