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おひとりさま専用の喫茶店…だと?1人客限定にした34歳店主の思いとは 岡山の純喫茶

まいどなニュース / 2024年5月3日 15時0分

細い階段を上ると「おひとりさま」のオアシスがある

 「当店は一人喫茶専門店です」―。こんな看板を掲げる店が、岡山市中心部の表町商店街にある。「もなど喫茶店」だ。以前は普通の喫茶店だったが、どうしてこのような形態にしたのか。店主に理由をたずねてみると、さまざまな葛藤や客への思いやりがうかがわれた。

 暗めの照明にアンティーク調のインテリア、さりげなく飾られた観葉植物と水槽を泳ぐグッピー…。「もなど」の店内は、「ふぅ~」とひと息つきたくなるような落ち着いた空間が広がる。

 店主の石井寛子さん(34)は学生時代、カフェでアルバイトを経験。「お客さんがゆったりくつろいでいる姿を見て、『これを仕事にしたい』と思いました」と話す。「老若男女問わず癒やしを求める空間」として喫茶店にすることを決意。勉強のため、さまざまな店を巡る中で、良い喫茶店の「定義」に気づいたという。

 「家にいると、やらなければならない家事が見えてくる。でも喫茶店に行くと、誰かが空間を整えてくれていて居心地が良い。人がいれてくれたコーヒーはおいしいし、優しさも感じられる。私が魅力を感じる喫茶店は『素敵な主婦(夫)』のようだと思いました」と振り返る。

 大学卒業後、カフェや園芸店で働きながら開業準備。2017年7月、27歳の時に「もなど喫茶店」をオープンさせた。オープンしてまもなく、カメラの腕がある学生客が「クリームソーダ」の写真をインスタグラムに投稿したところ、それが大バズり。純喫茶ブームも相まって、客の絶えない店となった。

 ところが一人でゆったり過ごしたい常連客もいれば、メニューで映える写真を撮りたい客、数人でおしゃべりしたい客もいる。「お客さんに自分と向き合う時間を持ってほしい」という理想を掲げていた石井さんは悩んだ。「おしずかに」という注意書きを掲示し、大きな声の客に「もう少し声のボリュームを」と声かけをしたりもしたが、心苦しかったという。

 昨年、近くに大きなイベントホールができたことで、ライブ前後の団体客が増えた。土日はさらににぎわいが増し、常連客の中には、人の多い時間帯を避けて通う人まで現れた。「このままではどっちつかずになってしまう。店側が方針を決めなければ」と考え、4月18日から「一人専用」にリニューアルした。

 店内はカウンター席を増やし、テーブル席のいすは1脚のみにした。2人以上での入店は可能だが、「離れた席で、会話はご遠慮を」としている。以前は、ランチと夜ご飯の間にセットメニューを提供しない時間帯があったが、いつでも「ひとりご飯」を味わえるように変更した。

 評判は上々で、常連客からは「いつ来ても大丈夫だ」と喜ばれ、新規の客も増えたという。「うれしくてテンションが上がった常連さんがスタッフへ話しかける声が大きくなり、注意を受けたこともあった」と笑う。石井さんは、今後の店について「みんなをいつでも迎えられるような、根を張った大きな木のような存在でありたい」と話した。

(まいどなニュース/山陽新聞)

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