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早大、網膜の複数箇所の電位を測定可能なコンタクトレンズ用技術を開発

マイナビニュース / 2024年5月9日 17時57分

画像提供:マイナビニュース

早稲田大学(早大)と山口大学は5月8日、市販のコンタクトレンズに搭載可能な、小さく透明で柔らかい多点マイクロ電極を開発し、これまで技術的な課題のあった、網膜の局所的な(複数箇所での)応答を測定できることを確かめたと共同で発表した。

同成果は、早大大学院 情報生産システム研究科の三宅丈雄教授、同・アザハリ・サマン助教、山口大大学院 医学系研究科 眼科学講座の木村和博教授、同・芦森温茂助教らの共同研究チームによるもの。詳細は、基礎研究と産業の間を埋める新材料の応用研究に関する全般を扱う学術誌「Advanced Materials Technologies」に掲載された。

網膜変性疾患の検査などで利用される網膜電図(ERG)は、光刺激に応答する網膜から発生する電位を角膜上のセンサ電極で測定する仕組み。実用性や安全性の観点で、レンズ形状に加工された硬質なプラスチック上に金属が配線された製品が市販されている。このような一般的な1電極によるERG計測は、学術的には全視野網膜電図(FF-ERG)と呼ばれているが、網膜の複数箇所での応答を取得できないなどの課題があった。

局所的な応答を測定する方法として、多局所網膜電図や多電極網膜電図があるが、それぞれ一長一短を抱えていた。そこで研究チームは今回、半導体微細加工技術と電気メッキ技術を組み合わせることで透明度、電気伝導度、柔軟性に優れるメッシュ電極を作製し、ERG計測可能な多電極化、市販のコンタクトレンズ上への接合および局所的絶縁化を試みることにしたという。

透明で柔らかい金属電極を作製するために、形状(Serpentine、square、zigzag、hexagon)、幅(5、7、9μm)、ユニット幅(200、500、1000μm)を変えたマイクロメッシュ電極が作製され、透過性および10%の歪みを加えた際の抵抗値変化が評価された。ここで用いられた金属は、電気メッキで作製された金である。

透明性に関しては、すべてのマイクロメッシュ電極において、80%以上の透過性が示されたが、10%歪においては、Serpentineとhexagonのみ歪みに耐えうることが判明した。ソフトコンタクトレンズを用いた場合、眼圧などの変化によってレンズに~3%程度の歪みが生じるため、検出電極の伸縮性が求められるとする。

次に、開発されたメッシュ電極が、市販のコンタクトレンズ表面に貼り付けて作製された。角膜とコンタクトする必要があるため、研究チームがこれまでに用いてきた、金マイクロメッシュ上にPEDOT導電性高分子が被覆された構造による電極技術が用いられた。複合化されたマイクロメッシュ電極においても、80%以上の透過性を有することは確認済みだという。

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