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24時間豊胸にブームの予感と不安

ニューズウィーク日本版 / 2015年6月23日 11時44分

 手頃な料金でプチ豊胸をしてくれる美容整形外科医もいる。例えば、リアリティー番組『ボッチト』で、美容整形に失敗した人の「再お直し」を請け負うテリー・ダブロー医師。「原価は20ドル程度だ。それを患者のバストに注射するだけで2000ドルになるなんておかしい」

 どうしてもと頼まれればやるが、ダブローは基本的にプチ豊胸を勧めていない。「80%は、無意味だと思うから。20%は、わざわざリスクを犯す理由が分からないからだ」

 生理食塩水の注入にもリスクはある。全米美容整形学会のマイケル・エドワーズ会長は、「あまりパンパンに注射すると、皮膚組織が伸び切ってしまう恐れがある」と警告する。また手軽さと人気の高さから、ホテルの一室で施術する無免許業者が出てくる恐れもある。

「残念ながらアメリカでは無免許業者による美容整形手術がまかり通っている。痛い目を見るのは患者だ。美容整形手術を受けたいなら、十分な下調べをして、きちんと免許を持つ医者を見つけないと」と、オハイオ州コロンバスの美容整形外科医アン・テイラーは語る。

 下手に生理食塩水を注入すると、感染症を起こしたり、乳房組織がダメージを受けたり、最悪の場合、注射針が肺に貫通する恐れもある。

 金儲けのためだけにプチ豊胸を勧める医者もいるかもしれない。「効果が24時間しか続かないからといって間違っていると言うつもりはない。ただ、プチ豊胸は患者のメリットが非常に小さい」と、テイラーは語る。

 エドワーズはもっと辛辣だ。「パーティーに行くから胸を大きく見せたいだけなら、ブラにパッドを詰めれば十分だ」

[2015.6.23号掲載]
ポリー・モセンズ


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