メイ首相はイギリスを「新・英国病」から救えるか?
ニューズウィーク日本版 / 2017年1月24日 21時0分
【参考記事】不安なイギリスを導く似て非なる女性リーダー
労働生産性も低い。アメリカとフランスの労働者が4日で済ませる仕事がイギリスでは5日かかる。それに加えてブレグジット(イギリスのEU離脱)の衝撃でイギリスの通貨ポンドが下落し、輸入品の価格が急騰。EUの関税同盟と単一市場から撤退することで、EUとイギリスの間で関税が復活する可能性も出てきた。いわば「新・英国病」だ。産業政策を求める声はいよいよ切実なものになった。
インフラへの投資計画もまだまだ控えめだ。1960年代、補助金がまだ経営が傾いた企業に対するバラまきの手段になる前の産業戦略は、イギリスの高速道路や電気・ガスのインフラ網の整備に貢献した。
それが今、ロンドンと北部の都市間を時速225キロで走行する高速鉄道計画「HS2」を、予定通り2026年の開業までに完成させることもできない。その間に中国は、全長3万キロの高速鉄道を開通させる予定だ。イギリスで地下鉄が走っているのはロンドンとグラスゴーだけだから、今後10年間で国内の20都市に地下鉄を建設するぐらいの目標が、より妥当だろう。
英政府の分析は的を得ている。シンクタンクや大学の専門家の意見によく耳を傾け、イギリスの国際競争力が見劣りする原因がよくわかる。だが、もし本気でイギリスを変えるつもりなら、もっと高い目標を掲げるべきだ。
トム・フォレット(英シンクタンク「レス・プブリカ」の上級コンサルタント)
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