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中国政府が遂にHuaweiと組む──「5G+4K・8K」で

ニューズウィーク日本版 / 2019年4月11日 19時19分

これらの国々は、基本的に5GにおいてHuaweiを排除するとは言わない。

中国にとって「一帯一路」は巨大経済圏であると同時に巨大軍事戦略圏であり、かつ巨大デジタル・シルクロードでもあるのだ。



5Gは通信インフラや社会インフラに寄与するだけでなく、軍事にも応用されることは明らかなので、Huaweiを採用するか否かは、今後の国際社会の趨勢を決めていく大きな分岐点となる。

欧州諸国はアメリカが「証拠を出さない」ことを理由に、「Huaweiを排除しない」方向に動いている。習近平国家主席が欧州を歴訪した最終段階で(3月26日)、EU欧州委員長は5Gに関して「特定の企業を排除するか否かは、EU加盟国がそれぞれ独自に決める権利を持っている」としてHuaweiの排除を唱えなかった。

李克強首相は4月9日、ベルギーの首都ブリュッセルで、欧州理事会のトゥスク議長、EU欧州委員会のユンケル委員長と共同で、第21回中国・EU首脳会議を主宰した。

そこでは中国・EUを「世界の2大安定パワー」であり「世界の2大主要経済体」であると位置づけた上で、「中国・EU投資協定」を2019年内に、ハイレベル協定を2020年内に妥結させることを約束した。

また「一帯一路」に関しては、中国・EU相互接続プラットフォームの枠組みの下で協力を強化するとしている。

李克強首相はその後クロアチアを訪問し、第8回中国・中東欧諸国首脳会議に参加して、「16+1協力」を強化すると述べた。中国は欧州を着々と中国側に惹きつけるのに余念がない。

習近平国家主席がイタリアを訪問した同じ日に、EUは首脳会議を開き、中国を「パートナー」と同時に「競争相手」と位置づけるなど、対中戦略の見直しに乗り出しているかに見えたが、トランプ大統領への批判的姿勢が、どうも中国・EU関係を近づかせているように見える。

そうでなくともHuaweiは欧州で強い。

ここに来ての、中国政府とHuaweiの提携は、その傾向を加速させるのではないか。今後の動きに注目したい。

[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』(2018年12月22日出版)、『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』(中英文版も)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)


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