LGBTQ+の割合は約10%? “彼氏が女装に目覚めたアラフォーカップル”のリアル
PHPオンライン衆知 / 2024年4月9日 11時50分
トランスジェンダー・性自認・LGBTQに関する問題がたびたびニュースになる昨今の日本。ドイツで知り合ったエリートエンジニアの彼氏・うさぎ君は突如として女装を始めます。パートナーである石野リサさんは、どんなことに戸惑い、どう対峙していったのでしょうか。ご自身の経験を語ります。
※本稿は、石野リサ著『彼氏が女装をはじめました...』(インプレス)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
LGBTQは珍しくない
2022年、私は43歳になっていた。そして西武新宿線沿いの郊外で開業医をしている。自宅マンションも高田馬場に移り、相変わらず障子や和物の骨董品に囲まれて暮らしている。母・アケミも「お宅のカマちゃん、元気?」と言ってくれるようになった。
この仕事をしていると、けっこうLGBTQの人って珍しくない。大学病院で働いている時も、事故で救急搬送されてきた紳士がピンクのレースの下着をはいていたことがあった。
周囲では、同僚の医師が2人、女性になっている。そのうち1人は体も適合手術を受けたが、男子時代のガールフレンドと暮らしている。もう1人はタイで近々オペする予定だ。うさぎ君の親衛隊(劇団の女の子たち)は私よりずっと若い子たち。彼女たちは違和感なくうさぎ君になつき、戯れている。
電通ダイバーシティラボの2023年の調査によると、LGBTQ+の割合は、9.7%なのだそう。これは世間の人が思っているよりずっと大きな数値ではないだろうか。なかでも女装家というジャンルはこの界隈で女装子と呼ばれている。
うさぎ君は女子のような、いや女子より美的感覚に忠実で、"かわいい"をリアルに追求する「男の娘」系だ。ただ、これはあくまでも生活スタイルやファッションに限定される嗜好性であり、性的嗜好は別。だから私も付き合っていけるのだろう。性のハードルはゆるい。
母・アケミも最近では「フツーの幸せはアンタを幸せにしないのかもね...」と言うようになった。達観だ。アケミが一番進化したのだ。
女装子として、かつての同僚との飲み会へ...
ある日、うさぎ君は満を持したように、かつての会社の同僚との親睦会に"女装子"として出かけることにした。
そう、白いワイシャツを着て海外出張を繰り返していた頃の同僚との飲み会だ。黒いラメ入りの体の線があらわなニットドレスを着込み、下着のラインが出ていないか、しきりに気にしている。
「あたし、キレイ?」
「キレイ、キレイ」私は答えた。
どう見ても私よりお肌も髪もツヤツヤで、いきいきしている。
同僚の企業戦士たちももう50を過ぎた、いいおっさんだ。ドイツに滞在していた頃はうさぎ君が一番年下だったから、定年間際の男性もいる。四ツ谷のこじゃれたレストランで、その飲み会は始まった。
「ハーイ、皆さん! あたし誰だか、わかるぅ?」
「???」
「野原でーす! うさぎ君と呼ばれていまーす。今日はカミングアウトがてら、みんなに会いたくて来ましたー♪」
ギョギョギョッ!! な空気。
「の、のはら? ホントに??」
「ホントでーす!」
その場にいた全員が凍りついたか、はたまた理解を示したか、わからない。でも、少なくともなんらかの啓蒙にはなっただろう。約9%の人間がすぐ身近にいるという事実に、そろそろ慣れてもいい頃だ。いや、うさぎ君に触発されて女装を始める男が出てこないとも限らない。
私はと言えば、現在、開業医として多忙な日々をおくっている。自分の采配でクリニックをマネジメントできるから、雇われ院長の頃よりずっと自由度が上がり、やりがいもある。ドイツ語の翻訳の仕事も頼まれるようになった。
別にうさぎ君に不満もないし、このままパートナーで一緒に年をとっていくのも悪くない。何と言ってもうさぎ君は興味深い存在だし、時々アッと言わせてくれるし、一緒にいて楽しい。
そりゃBMWに乗ってドイツロマンチック街道を疾走する駐在マダムになるという憧れがすっかり消えたわけじゃないけど、今のこの状態は居心地がいいし、無理に変えようとも思わない。
これでいいのだ~♪これでいいのだ~♪♪ 畳の部屋で上級煎茶を飲みながら、私は独り呟くのだった...。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ベッキー 意外!?「プライベートで会うくらい」仲良しなお笑い芸人とは 「家族全員にも会ってて」
スポニチアネックス / 2024年5月7日 13時3分
-
ハリウッドザコシショウ “ずっとオンでしゃべれる”お笑いタレント2人を告白「めちゃくちゃ仲いいよ」
スポニチアネックス / 2024年5月7日 12時45分
-
「嫁は叩かないと育たない」「正妻なんだから」。資産家に嫁いで子どもを奪われた女性の30年
オールアバウト / 2024年5月5日 22時5分
-
女子大生が卒業間近、男友達とラブホに。「最後に思い出がほしい」の真実は…――大反響・総合トップ10
日刊SPA! / 2024年5月2日 15時44分
-
「好きだったけどもう無理…!」彼氏への「愛が一瞬で冷めた瞬間と対処法」
ananweb / 2024年4月18日 21時0分
ランキング
-
1白いセダンで「あおり運転」してきたチンピラ風が、顔色“真っ青”になって警察に捕まるまで
日刊SPA! / 2024年5月17日 8時54分
-
2夏に役立つかも 警視庁が“簡易ハエ取り器”の作り方を公開
オトナンサー / 2024年5月16日 22時10分
-
3“激安焼肉食べ放題店”の元店員が暴露。「客に“得させないようにする”3つのワナ」
日刊SPA! / 2024年5月8日 15時54分
-
4今の時期はご用心「カラス襲撃」から身を守る方法 人を襲う理由や習性について鳥類学者が解説
東洋経済オンライン / 2024年5月17日 12時20分
-
5おひとりさまの老後の「住まい」どうする?3つの注意点
オールアバウト / 2024年5月16日 19時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください